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イベントレポート

ネイティブ広告の役割は潜在顧客へのコンテンツのディストリビューション/資生堂・ケンタッキーの事例紹介

 9月16~18日の3日間にわたり、東京国際フォーラムにおいて、今年で6回目となる「アドテック東京 2014」が開催された。2日目に行われた『ネイティブ広告/ブランドコンテンツの役割とは?』と題したセッションでは、インフォバーンの今田氏をモデレータとし、日本ケンタッキー・フライド・チキンの干場氏、資生堂の笹間氏、日本経済新聞社の種村氏をパネリストに迎え、広告主と媒体社、双方の視点からネイティブ広告に対する見解や実践事例が紹介された。

ネイティブ広告の役割は“コンテンツのディストリビューション”

 「ネイティブ広告については様々な議論が行われていますが、今日はネイティブアドとは何か?という話しではなく、実際に活用してみてどうなのか、といった議論をしていきたいと思います」と、モデレータのインフォバーン 代表取締役の今田素子氏は口火を切った。

株式会社インフォバーン 代表取締役 今田素子氏
「ネイティブ広告とは、メディア上においてユーザー体験の文脈に沿ったコンテンツを提供するオンライン広告の一手法である」(参照:IAB「The Native Advertising Playbook」

 「基本的にはコンテンツマーケティングにおいて、優良なコンテンツを人に届けていくディストリビューション(Distribution/配布・流通の意)の部分を果たすのがネイティブ広告だと考えています」(今田氏)

 なぜネイティブ広告が今、注目を集めているのだろうか。その背景には、メディアの視聴状況の変化がある。テレビの影響力の低下、デジタル領域における情報の増大、またメディア側としてはディスプレイ広告の効果の低下といった要因により、既存の手法では生活者に企業メッセージが届かなくなっているのだ。

 その一方で、スマートニュースやグノシー、アンテナといったサービスに代表されるキュレーションメディアの台頭が顕著である。つまり、キュレーションメディアで情報に触れる人が急激に増えているのだ。またTwitterやFacebookなどのソーシャルメディア上で情報を収集することも一般的になってきた。まとめサイトやブックマークサービスなども人気があり、これらのことから生活者が情報を得る手段が大きく変化していることが理解できる。ではこのような状況において、ネイティブ広告はどのような役割を果たすのだろうか

 「いわゆる潜在層、つまり自分に必要な商品かどうか意識してない人たち、まだ企業とのタッチポイントがない人たちに対して、情報を届けることがネイティブ広告の役割だと考えています。その前提で、今日は議論してきたい」と今田氏は語る。

キュレーションメディアでリーチ拡大!ケンタッキーのネイティブ広告活用事例

日本ケンタッキー・フライド・チキン株式会社 ジェネラルマネージャー 干場香名女氏

 パネリストとして登壇した日本ケンタッキー・フライド・チキン ジェネラルマネージャーの干場香名女氏からは、同社がネイティブ広告をどのように活用しているのか、またそこから見えてきた結論が紹介された。

事例1:3Dプリンターで、フライドチキンをつくってみた

 生活術や仕事術をはじめとした“ライフハック”情報を発信するブログメディア『ライフハッカー』に「世界初かも? 3Dプリンタでケンタッキーフライドチキンを出力したら想像以上においしそう」という記事を出稿したところ、キュレーションメディアでの拡散が75%以上を占めた。また記事公開と同時に、一気に波及したという。

 さらに詳しく分析すると、全体で合計約70万弱リーチ。記事広告のPVは約76,000。さらに記事広告からの流入は2,000超クリックで、自社サイトへの誘導率も高かった。またキュレーションメディアは推定約20万リーチ、ポータル&ニュースメディアでは推定約48万リーチ、ソーシャルメディアは推定約17万超リーチ、まとめ・個人ブログは推定約2万リーチという結果となった。

 「記事の内容と、メディアのオーディエンス(読者)がどんな人たちだったかによって、記事の流れ方(拡散の仕方)は大きく変わってきます」(干場氏)

事例2:おうちで「ケンタッキーフライドチキン」を完全再現できるか試してみた

 次に提示されたのは、女性向けのライフスタイルメディア『roomie(ルーミー)』に、「おうちで『ケンタッキーフライドチキン』を完全再現できるか試してみた」という記事を出稿した事例だ。

 先ほどのライフハッカーの記事と比較すると、キュレーションメディアから流入の割り合いは減少したが、記事の流れ方はロングテールに伸びており、「ここに記事コンテンツとメディアのオーディエンスの特徴が表れています」と干場氏は指摘する。

 詳細な分析結果をみてみると、先ほどのライフハッカーの記事よりはリーチは少ないものの、波及の仕方が大きく異なっていることがうかがえる。全体で合計約16万リーチ。記事広告のPVは約32,000超。キュレーションメディアは推定約5,000リーチ、ポータル&ニュースメディアでは推定約6万リーチ、ソーシャルメディアは推定約8万超リーチ、まとめ・個人ブログは推定約1万リーチという結果だった。

 「ここで学んだこととしては、我々が伝えたい内容と、それを伝えるメディア、そしてそこにどんなオーディエンスがいるのか。ここを意識しなければ、メッセージはうまく伝わらないということです」(干場氏)

事例3:5つのメディアに同じコンテンツをバラバラの切り口から同時に出稿してみた

 そして最後に、今年の3月末に同じコンテンツを5つのメディアに同時に出稿した事例が紹介された。同施策の本来の目的は、カーネルサンダースとポンタを組み合わせた会員組織『カーネルPontaクラブ』の会員を集めることだった。ただ会員を集めるのではなく、顧客にどんなメリットがあるのかををきちんとストーリーで伝えたいというところから、5つのメディアへ出稿したという。

 「記事のつかみのメッセージは、5つのメディアで全てバラバラにしています。先ほどのライフハッカーとルーミーの事例で話したように、そのメディアにどんな人が来ているかによって、読んでもらえるつかみも変わります。ビジュアルで見せるのか、機能押しでいくのか、ネイティブ広告は同じコンテンツを出すにしても、読ませたい人や出稿するメディアのオーディエンスによって見せ方が大きく変わります。効果としては、想定を大きく上回ったので、今後はネイティブ広告をどう活用していくかを、より真剣に考えていきたいですね」(干場氏)

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この記事の著者

安成 蓉子(編集部)(ヤスナリ ヨウコ)

MarkeZine編集部 編集長 1985年山口県生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。専門商社で営業を経験し、2012年株式会社翔泳社に入社。マーケター向け専門メディア『MarkeZine』の編集・企画・運営に携わる。2016年、定期誌『MarkeZine』を創刊し、サブスクリプション事業を開始。編集業務と並行して、デジタル時代に適した出版社・ウェブメディアの新しいビジネスモデル構築に取り組んでいる。2019年4月、編集長就任。プライベートでは...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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