ビジネスモデルの変革を迫られるパブリッシャ―
天気情報サイト「The Weather Channel」を運営するThe Weather CompanyのVP Jeremy Hlavacek氏のセッション「How Combining Big Data & Programmatic Advertising Can Be a Winning Digital Marketing Formula」では、パブリッシャーサイドのマネタイゼーションの課題と、The Weather Companyの新しいビジネスモデルが紹介された。
The Weather Companyは、世界最大級の天気情報を保持するパブリッシャー。アメリカで、もっとも契約されているケーブルテレビのチャンネルThe Weather Channelを、ラジオでは700以上のチャンネルに情報を提供し、インターネット上では月間6億ユーザーのweather.comの運営などをしている。
デジタル広告業界の大きなトレンドとしては、プログラマティックバイイングが大きな市場を形成したことや、インプレッション単価が下落していることなど、パブリッシャーにビジネスモデルの変化を迫る要因がいくつか挙げられた。
その背景には、常にインターネットと接続されたスマートフォンなどのデバイスの普及や、ソーシャルメディアやブログをはじめとしてコンテンツを公開することが容易になったことにより、インターネット上の情報量が爆発的に伸びたことがある。それによって、それらのコンテンツが消化されているかどうかは別として、インプレッション(広告在庫)の量が増えたことにより単価が下落しているのだ。
The Weather Companyのような伝統的なパブリッシャーにとっては、コモディティ化した枠として売ることは、単純に広告枠を売りに出した場合よりも、広告主との間に中間プレーヤーが増えることによる利益率の低下や、表示される広告が事前に把握できないためにリスクが大きいことなど、プログラマティックな広告取引を導入するハードルが高い。
しかしながら、業界全体の傾向としてインプレッションの単価が安くなってきている中で、固定CPMの単価を維持できるパブリッシャーは少ない。The Weather Companyも同じ状況に陥っているという。