SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

おすすめのイベント

おすすめの講座

おすすめのウェビナー

マーケティングは“経営ごと” に。業界キーパーソンへの独自取材、注目テーマやトレンドを解説する特集など、オリジナルの最新マーケティング情報を毎月お届け。

『MarkeZine』(雑誌)

第100号(2024年4月号)
特集「24社に聞く、経営構想におけるマーケティング」

MarkeZineプレミアム for チーム/チーム プラス 加入の方は、誌面がウェブでも読めます

事例で探る!デジタル時代の「共創マーケティング」

発売から売上30%増を継続!生活者が商品化を決める西友のPB「みなさまのお墨付き」成功の秘訣とは?


 注目が集まりつつある「共創マーケティング」とは何か、事例を交えて紹介する本連載。2回目は西友のプライベートブランド「みなさまのお墨付き」を紹介します。生活者に商品化の如何を委ねたこのブランドは、発売以来、+30%(前年比)の売上を継続しているといいます。成功の秘訣は一体何でしょうか? 

商品化を決めるのは、生活者

 今回は、連載1回目で紹介したファンが集まる共創コミュニティとは少し異なる共創事例を紹介します。「どの商品を販売するのか」は通常、企業内で検討して決めることです。しかし、その決定を生活者に委ねることで成長しているプライベートブランドがあります。

 生活者と企業が共にマーケティング活動を行う共創マーケティングの中で、商品の評価を生活者に任せ、商品開発から店頭販促にまで生かす。それが西友のプライベートブランド「みなさまのお墨付き」です。生活者延べ13万人と商品テストの共創により、売上前年比30%アップの成長を維持しています。同プライベートブランドの戦略企画を担当する、本間哲太郎氏に成功の秘訣を聞いてきました。

支持率70%以上の「お墨付き」で商品化

合同会社西友 マーケティング本部
プライベートブランド事業部
戦略企画担当 本間 哲太郎氏

――「みなさまのお墨付き」のブランドコンセプトと誕生した経緯を教えて下さい。

本間氏:「みなさまのお墨付き」は、消費者テストで70%以上の方が「非常に良い」「良い」と評価したものだけを商品化するというコンセプトで展開しています。支持率が70%未満の商品は、いただいたコメントを元に改良して再度消費者テストにかける。これを繰り返して商品開発を行います。

 そもそもこのアイデアは、世界最大の小売業者である米国ウォルマートのグループ会社で、イギリスの大手小売業者ASDA(アズダ)が成功させた「Chosen by You」というブランドをヒントにしています。これは文字通り、お客様に選ばれたものを商品化するという試み。プライベートブランド先進国であるイギリスにおいて、非常にお客様から支持されています。「みなさまのお墨付き」はこの成功事例を参考に、日本版にアレンジしたものです。

 西友では2005年から「グレートバリュー」というプライベートブランドを展開していました。これは、西友の親会社であるウォルマートのプライベートブランド名を日本においても展開したものです。ですが、アイテムが増えていく中で価格や品質などが多様化し、ブランドのコンセプトが曖昧になってきていました。

 そこで、ブランドのポジショニングを「消費者テストで好評価」かつ「有名ブランドのNB(ナショナルブランド)商品と同等以上の品質で、価格は1~2割低価格」と明確に定義した新しいブランド「みなさまのお墨付き」を2012年12月に立ち上げ、商品開発を始めたという経緯があります。過去の同等PB商品に比べ、「みなさまのお墨付き」商品の売上は前年比30%アップを継続しています。お客様にはご支持いただいていると感じています。

企画・開発・マーケティングを1事業部で実施

――新ブランドの立ち上げというと、大きなプロジェクトになると思います。社内の調整はどのように進めていますか?

本間氏:まず重視したのは「ブランド価値」の形成と提供をしっかり行うことです。以前は商品部が単独でPB商品開発を行っていました。ですが「ブランド価値」の提供を本質とした商品開発を行うため、マーケティングもPB開発に参画するようになりました。さらに、「みなさまのお墨付き」を中心とする新プライベートブランドの成長が著しいため、今後も西友の事業にとって大きな軸として位置付けることができると判断されました。そこで、2013年10月にマーケティング本部の中にプライベートブランド事業部を作り、その下に戦略企画、商品開発、サプライヤー開発の3つのチームを置いたのです。企画・開発・マーケティングまで1つの部署で完結できるようになったので、目的の共有がより確実になり、意思決定も早まりました。

次のページ
重要なのは「中立公平な本音を聞き出す」こと

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • Twitter
  • Pocket
  • note
関連リンク
事例で探る!デジタル時代の「共創マーケティング」連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

宮本 昌尚(ミヤモトマサナオ)

 株式会社トライバルメディアハウス 共創マーケティング部 部長。アクセンチュアのITコンサルタントを経て現職。ソーシャルメディアの黎明期から、ソーシャルメディアマーケティングの戦略策定や、オウンドメディアのソーシャル化支援、リスク対策、国内外のFacebookページ構築運用支援のプロジェクトマネージャーを勤める。その後、共創マーケティング部を立ち上げ、コミュニティの戦略策定から商品の企画提案を担当。過去に担当したクライアント...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

深谷 歩(フカヤ アユミ)

株式会社 深谷歩事務所 代表取締役 ソーシャルメディアやブロクを活用したコンテンツマーケティング支援を行う。Webメディア、雑誌の執筆に加え、講演活動、動画制作も行う。またフェレット用品を扱うオンラインショップ「Ferretoys」も運営。深谷歩事務所公式サイトhttp://officefukaya.com著書に 『小さなお店のLINE@集客・販促ガイド』(翔泳社)/ 『SNS活用→集客のオキテ』(ソシム) 『小さな会社のFacebookページ制作・運用ガイド』(翔泳社)/ 『小さな会社のFacebookページ集客・販促ガイド』(翔泳社)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2015/01/27 10:37 https://markezine.jp/article/detail/20985

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング