重要なのは「中立公平な本音を聞き出す」こと
――生活者とテストをしているとのことですが、具体的な手法について教えてください。
本間氏:まず商品のサンプルが出来上がったら社内で試食を行い、開発者が納得するまで改善を加えます。その後、いよいよ消費者テストに進みます。テストに参加するのは、対象の食品(あるいは類似品)を食べたことのある方々です。1商品の調査ごとに100名以上の方にご参加いただきます。
人口構成に合わせた年代、地域(東名阪)で分布します。西友の主要顧客層が主婦なので、主婦を中心に参加してもらっています。ですが、メインターゲットが異なる商品の場合は、メインの層に参加してもらうこともあります。例えば、チューハイの場合は、男性にも参加してもらいました。現在、約1,300アイテムの調査を行い、延べ13万人以上の方にテストに参加していただきました。
消費者テストを受ける方には西友や「お墨付き」というブランド名、パッケージデザインなどの情報は一切与えない、ブラインドテスト形式で行なっています。客観的にその商品を味わって、評価してもらうためです。先入観があると評価が変わってしまいますからね。
通常、消費者テストは会場で試食をしてもらい、味・容量・価格の3点を総合して「非常に良い」「良い」「悪い」「非常に悪い」の4段階評価と、その理由をコメント欄に書いてもらいます。そのまま食べると評価がしづらい商品、例えばだしの素やパン粉などの商品については、ご家庭で普段通りに調理してもらって評価をしてもらいます。というのも、こちらで調理したものを出すと、調理済みの食べ物の評価になってしまいます。ご自分で使用して、中立かつ公平に評価してもらう必要がありますから。
厳しいコメントが商品化のヒント
――消費者テストではどのようなコメントがもらえるのでしょうか。
本間氏:評価の高い低いにかかわらず、詳しく具体的なコメントをいただけています。例えば「塩味が強すぎて素材の味がない」「風味がない」など、明確に改善すべきポイントを指摘されます。面白いことに、開発時点で自分たちでも少し自信のない商品は合格しない。逆に、自信があるものは合格することが多いです。そういう意味では、ユーザーの皆さんには、こちら側を見透かされているように感じますね。
商品に対するご意見を参考に改善をすることで、商品化できたものもあります。粉チーズも「みなさまのお墨付き」から出ているのですが、この商品は一回目のテストで「チーズの風味がない」というコメントをただきました。その結果、69.8%でギリギリ合格することができませんでした。そこで風味を増やすために、パルメザンチーズの配合率を100%に引き上げて再度テストに臨みました。その結果、無事に70%以上の方からご評価いただき、商品化できました。生活者は本当に敏感で、機微を感じとっていると思います。