検索エンジンマーケティング(SEM)が本格的に普及し始めてから満10年を迎える今日。DSPやDMPなど、新たなテクノロジーやツールが続々と登場し、マーケティングが大きく変化する中、検索が果たす役割を再考するイベント「Search Summit 2014」が開催された。会場には約400人もの参加者が早朝から集った。
オープニングキーノート「リスティング男子という生き方」には、“sembear”こと治田耕太郎氏をモデレータとし、アナグラム 代表取締役の阿部圭司氏、セプテーニ オペレーション本部 本部長 兼 MANGO 代表取締役社長の高橋勇太氏がパネリストとして登壇した。テーマは運用者としてのキャリアと今後の課題。「リスティング運用を辞めたいと思ったことある?」「リスティング男子はモテるか?」といったやわらかい質問も挟みつつ、リスティング運用チーム作りで心がけていることなど、登壇者たちの知見が語られた。
治田:運用チームの規模が大きくなってくると、どうしても業務の平準化をする必要性が出てきます。その時にスタッフの個性と、業務の平準化のバランスで悩まれたことはありませんか?
阿部:ありますね。去年のサーチサミットの時は、いかに属人性を排除するかが勝負だと思っていました。だけど今はその真逆で、属人性が突き抜けていれば十分だと考えています。僕としては、平準化はあまり時代に合っていないと思うんです。突き抜ける人間は、どこまででも突き抜けて、それを完成させればいいと。押さえつけるのはやめようと決断しましたね。
高橋:僕も阿部さんと同じで、のびのび運用できるようになればよいと思っています。ただ、人がやらなくていいこと、システムを使えば短時間で解決すること、そういった業務を見定めて新しいシステムの導入を判断したりしています。なので僕自身が今抱えているミッションでいうと、阿部さんが思っていることを実現する裏側を担っています。
治田:では時間も迫ってきましたので、最後に一言お願いします。
高橋:人がモノを探す行為、それは絶対になくならないでしょう。そのモノを探すプラットフォームが、ヤフーやグーグルではないところで、これから起きてくるのかもしれません。その一方でリスティング業務では、顕在化されたニーズに対して、的確に広告などを返していく、そんな一連のPDCAを回していく力を付けられるのがこの仕事の醍醐味です。他の運用型広告に関しても、顕在層に対してそれができなければ、広げていくことは難しいでしょう。なのでリスティング業務で身に付く力は、デジタルマーケティングに従事する上では必須だと考えています。
阿部:今はテクノロジーを使って、いかに属人性をカバーできるかということにトライしています。毛嫌いするのではなく、もっとテクノロジーに寄り沿っていく姿勢が重要な時代になっています。テクノロジーに飲み込まれるのではなく、テクノロジーに指示できるような人材になっていけば、この業界はまだまだ面白くなるでしょう。なので一緒にこの業界を盛り上げていければ。
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