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大元隆志のマーケター訪問記

日本一の生活情報メディアをつくる!満を持してリリースしたライオンのオウンドメディア「Lidea」構想

Lideaの運用・編集方針、そしてコンテンツの評価軸は?

伊藤忠テクノソリューションズ ITビジネスアナリスト 大元隆志氏

――Lideaの編集方針について教えて下さい。Lideaの目的は販売に繋げていくことでしょうか?そうであれば、製品購買に結びつけるためのアフリィエイト的な記事が中心になるのでしょうか。

中村:いえ、そうは考えていません。あくまでお客様にとって有益な情報提供を目的としているため、製品購買に結びつけることを目的とはしていませんし、各記事を製品紹介に落とし込むことも必須とはしていません。例えば、「くらしのなるほど調査隊」などはライオンで調査したデータをコンテンツとして読み物に仕上げていますが、製品紹介等はありません。

――そうすると、自社のブランドにとって不利益になるような記事でも、生活者にとって有益なら掲載することもあると。

中村:コンテンツの内容には客観性、公平性を持つことを心掛けていきますが、率先して自社を毀損するような記事を掲載することはありません。但し、自社製品の中でも製品によっては競合する場合もあります。例えばAという製品があり、それを更に改善したBという製品が誕生した場合には、Bの製品の良さを書くと結果としてAの製品にプラスにはならないこともあるかもしれませんね。

――生活者にとって有益な情報を判断するのは誰が行うのでしょうか?

中村:Lideaに掲載するコンテンツの編集権限はライオン快適生活研究所長の伊野波にあります。但し、そこに至るまでに各コンテンツの企画などを決めるための「編集会議」が定期的に開催されており、ワンパク、コーポレートコミュニケーションセンター、暮らしのマイスターといったメンバーで会議を行います。ライオンの視点だけでなく、外部の方の客観的な視点も交えて生活者にとって“より”有益になるように努力しています。

――月に掲載するコンテンツ量の目標は?

中村:本数を申し上げることは難しいですが、毎日更新というわけではなく、毎週何本かの新しい記事を継続的に掲載していくといった感じです。

――それだと年間ではかなりのコンテンツ量になるわけですが、ネタ不足になる可能性もあるのでは。

中村:いえ、全然そんなことはないです。例えば洗濯という観点で考えると、衣類一つひとつで最適な洗濯の仕方があるわけです。衣類って毎年トレンドがあって今年の素材はこれが流行ってるけど、去年は違う素材だったとなると、洗い方というコンテンツでも毎年変化するんですね。生活者目線でトレンドを追うだけでも、作らないといけないコンテンツが山のようにあります。

 それに、今までは社内のメンバーだけでテーマを考えていたのですが、Lideaではワンパクさんなどにも入って頂いてディスカッションを行うんです。そうすると今だと年末の大掃除をテーマにした記事を考えているのですが、いろんな意見があってどんどんアイデアが膨らんでいくんですね。採用できる数には限りがあるので、泣く泣く来年に持ち越したりするテーマもあったりで、ネタ不足の心配はありません。

阿部:ライオンさんの凄さは膨大なコンテンツ量です。暮らしのマイスターの方々が過去に書かれていたコンテンツをリライトするだけでも十分過ぎるほどの資産があります。

――リライトは具体的にはどのような指示をされるのでしょうか。

阿部:コンテンツの内容や暮らしのマイスターの知識、経験そのものは素晴らしいのですが、暮らしのマイスターの視点と語り口で、伝えたいことを書いていたのが従来のコンテンツです。これを、読者の視点で、読者に伝わる伝え方で、全て再編集を行いました。どれほど良いコンテンツであっても、難しいことを専門家の視点と言葉で語っていては、生活者には伝わりませんからね。

――Lideaのコンテンツ評価軸は?

中村:話にくい部分ではありますが、PVだけを軸にしているわけではありません。PVはあくまでも参考程度に捉えています。というのも、カテゴリーによってはそもそもの領域が違うこともありますし、テレビ等で取り上げられたカテゴリは瞬間的にPVが増加することもあります。言わばコンテンツの質以外の部分でPVは増減してしまうんですね。まずはコンテンツが生活者にとって役に立つものになっているかが評価の中心であり、複数の指標を合わせて総合的に判断するようにしています。

――ちなみに、一番読まれるカテゴリーは何ですか。

中村:そうですね、年間を通して洗濯がキラーコンテンツです。

――マイスターの方は記事を書くことが評価になるのでしょうか?オウンドメディアで自社の社員に記事を書かせる場合には、それが稼働として認められるか、業績にどう紐づけるかが議論されると思いますが。

中村:暮らしのマイスターはそもそも弊社の中での情報発信のプロという位置づけですので、Lideaができる前からウェブや専門誌などを通じて情報発信の活動が行われていましたので、Lideaだけの評価基準は今の所ありません。

――なるほど、マイスターとはIT業界で言う所のエバンジェリストみたいなものですね。

中村:そうですね、それに近いかもしれません。

――最後に大プロジェクトとなったLideaですが、振り返ってみて何か一言ありますか?

中村:Lideaは勿論自分一人で完成したプロジェクトではありませんが、公開した時は自分の子供が生まれたような気持ちでした。これからはこの子が大勢の人の協力を得ながら一人立ちができるように見守っていきたいですね。

阿部:それとプロジェクトを進める中、暮らしのマイスターの方々に、Lideaへ対する理解を得ることが難しい場面もありましたが、公開日でもあった記者発表会の時には全ての暮らしのマイスターが勢揃いし、来訪された方々に前のめりにLideaの説明をしてくれたのです。その時、暮らしのマイスターの皆さんが、公開できたことを「本当にうれしい」と笑顔で言ってくれたのが、心からうれしかったですね。しかしながら、中村さんが言ったようにこれはスタートでしかありません。これからどうライオンのビジネスに活かしていくのかを一緒に考え悩みながら前に歩み続けたいと思います。

――長時間にわたり、お話を聞かせていただきありがとうございました!

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この記事の著者

大元 隆志(オオモト タカシ)

伊藤忠テクノソリューションズ株式会社 クラウドインテグレーションビジネス推進部 エキスパートエンジニア
国士舘大学 経営学部 非常勤講師

通信事業者のインフラ設計、提案、企画を12年経験。現在はCASBソリューションのセールス開発・プリセールスを担当する一方で、国士舘大学 経営学部にて学生向けに企業におけるクラウド、モバイル利活用について講座を担当する。最新のIT動向や技術動向分析が高く評価され、ヤフーニュース、IT Leaders、ITmediaマーケティング等IT系メディアで多くの記事を執筆。所...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2014/11/25 10:00 https://markezine.jp/article/detail/21354

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