商品情報以外へのフィード活用も加速
データフィード広告の代表例といえば商品リスト広告ですが、現在はEコマース以外の分野でも急速に活用が進んできています。Googleであれば、2014年10月に小売業界以外にも動的リマーケティングの利用がスタートし、すべての業界でデータフィード広告の利用が可能になりました。(参考記事:Inside AdWords-Japan「動的リマーケティングがすべての業種で利用可能に」)
この動的リマーケティングの開放に合わせて、AdWordsの管理画面の「共有ライブラリ」に「ビジネスデータ」という項目が新設されました。今後、AdWordsでデータフィード広告を掲載する場合、このビジネスデータを利用することになります。

このビジネスデータは、2014年10月に発表された「広告カスタマイザ」を利用することによって、動的リマーケティングだけでなく通常の検索連動型広告にも活用ができます。(参考記事:Inside AdWords-Japan「広告カスタマイザで広告文面を動的に変更」)
「広告カスタマイザ」は、ビジネスデータからデータを参照して動的に広告文を変更することができる機能です。ビジネスデータの在庫の情報を参照してシンプルな在庫連動広告を作成したり、締切日に合わせたカウントダウンなど、これまでの手動設定では実現が難しかった機能が管理画面から利用できるようになりました。今後は、Eコマース企業はGoogleマーチャントセンター、Eコマース以外の業種→共有ライブラリの「ビジネスデータ」という棲み分けで、データフィード広告は拡がっていくものと思われます。
データフィードを受け入れるプラットフォームも増加
Google以外のプラットフォームでもデータフィードを利用した広告は拡がっています。海外では、データフィードサービスを提供する米DataPop社がOmniAdsというデータフィードと購入者間の関連性を強化した製品を発表しています。米国では既にデータフィードの中間処理を担うプレイヤーが多数登場していますが、接続先を拡げるフェーズから、徐々にマッチングアルゴリズムの強化へと主戦場が移ってきているようです。(参考記事:DataPop Launches OmniAds)

日本でも、リクルートグループのIndeedや、求人検索サイトのキャリアジェットがデータフィードを受け入れていることで有名です。どちらも企業の求人情報を横断してデータベース化しているので、求人情報をフィードとして提供することで、情報の精度を高めることができます。

ソーシャルネットワークでも、データフィード最適化を行うフィードフォースがFacebookのニュースフィードに動的リターゲティング広告を配信するサービス「Feedmatic(フィードマティック)」を公開するなど、データフィードを活用した広告配信は急激に広がってきています。(関連記事はこちら)
データフィード化する運用型広告、運用者に求められるスキルも高度化
商品リスト広告が切り拓いたデータフィード広告の市場は、今後はEコマースだけでなく、求人、不動産、旅行など、さまざまな業種で一気に活用が拡がっていくものと考えられます。データフィード広告が威力を発揮するのは、リスティング広告でいえばキーワードが多く、情報の移り変わりが早い、運用コストが高かった分野です。データフィードを活用することで広告がほぼリアルタイムに最新情報と同期することができ、様々なメディアやデバイスに最適化された形で配信されるようになることで、人手でキーワードやURLを更新していた頃よりも拡張性や費用対効果が高い配信が可能になります。
第1回目の記事でも触れましたが、データフィード広告の利用が進めば進むほど、手動で行う仕事は高度化(上流工程へシフト)していかざるを得ないと考えられます。情報の鮮度や精度はフィードで自動的に担保される一方で、情報構造を理解し、メディアやプラットフォームごとに設計の部分を最適化することは、これまで以上に重要なスキルとして求められてくるでしょう。かつて必要だった人海戦術でのキーワード管理業務は大幅に減り、自動化とマニュアル業務の短所と長所を理解して適切に意志決定ができる人材に脚光が当たっていくのではないでしょうか。
次回は、データフィード最適化サービスを提供しているフィードフォースの川田さんにバトンタッチして、業界別のデータフィード構築や広告配信の最新事例を紹介してもらう予定です。引き続き連載をお楽しみ下さい!