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総社員数約9,000名のグローリーから学ぶ、社内コミュニケーション活性化を促す動画活用に求める条件

 金融機関や店舗で利用される通貨処理機の製造・販売で圧倒的なシェアを持つグローリー。海外を含め100以上の拠点を持ちグループ総社員数約9,000名に上る同社にとって、情報を浸透させることは重要課題のひとつであったが、動画を活用することによりその課題は確実に解決に向かっているという。その成功の秘訣を聞いた。

グループ全体で100以上の拠点に対し動画コンテンツを瞬時に配信

 昨年、デジタル領域で最も注目されたキーワードのひとつが「動画」だろう。マーケティング活動においてもその有用性は広く認知され、企業による導入も進んでいる。動画活用がすでに当たり前になっている中、今年は具体的な活用方法が問われる年になりそうだ。

 もちろん、社内コミュニケーションも例外ではない。通貨処理機や自動販売機、通貨端末機、レジなどの開発・製造を手掛けるグローリーは、社内コミュニケーションにもいち早く動画を取り入れ、大きな成果を挙げている企業だ。

 世界100カ国以上に展開するグローリーグループの創業は1918年(大正7年)、国内拠点数は約100ヵ所、海外現地法人が約40社、グループ総社員数は約9,000名に上る。主な取引先は、造幣局や全国の銀行・金融機関など、高い信頼性が求められる機関がほとんどだ。そのため国内だけでも、本社のほかに北海道から沖縄まで全国津々浦々で販社や複数の営業拠点を抱え、きめ細かいサポートに当たっている。

 そんなグローリーが、社内コミュニケーション活性化のために動画コンテンツの活用に乗り出したのは1990年のこと。現在は国内外の拠点に社内報の動画配信を行い、タイムラグのない情報共有を実現している。

グローリー 総務本部 広報部 広報グループ シニアスタッフ 西川智子氏(写真右)、同広報グループ スタッフ高松恵大氏(写真左)
グローリー 総務本部 広報部 広報グループ シニアスタッフ 西川智子氏(写真右)
同広報グループ スタッフ高松恵大氏(写真左)

 グローリー 総務本部 広報部 広報グループ シニアスタッフの西川智子氏は次のように語る。「社内報は冊子体/動画と2形態あるのですが、文字では伝えられない『人柄』や『臨場感』も、動画ならうまく伝えられます。そこで弊社製品の導入事例や、経営層からの訓示などは動画に収め、当初はDVDに落として国内外の拠点に配布していました。梱包作業やDVDの回収等にも多くの工数が掛かっていました。また、海外拠点では配送リードタイムが5~6日生じ、その時間を考慮して制作締め日も圧迫されていました。それらの解決策として動画配信プラットフォームの導入を検討し始めました」

広報部として動画コンテンツの活用を目指すも、無料動画共有サイトは却下

 西川氏によると、「グローリーが動画配信プラットフォームに関心を寄せるようになったのは2010年ごろ」だという。

 グローリーが動画配信プラットフォームを導入することで実現したかった点は主に2つ。広報・PR観点から社外に向けた動画活用と、社内の情報伝達のタイムラグを防ぐ、いわゆるエンタープライズ観点からの動画活用だ。そこで、まず検討したのは無料の動画共有サービス。無料動画共有サイトは最もポピュラーなサービスであったが、無料というメリットはあるもののデメリットも見つかった。特に大きなデメリットは次の2点だ。

コンテンツの制御が不可能

 例えば同社の製品情報の動画を公開しても、「関連動画」ということで競合企業の動画とセットで紹介される可能性もあるし、またコンテンツのダウンロードも防ぎ切れない。内容が古くなったコンテンツを、どこの誰とも分からないユーザーがいつまでも抱えていては、公開情報の質も落ちる。また同社グループの海外拠点のひとつである中国で展開できないのもネックだ。

セキュリティ面

 万が一DVDの動画が外部に漏れてしまったらグローリーの信用が失墜する。例えば取引先への導入事例は、「社内閲覧用のみ使用」という条件で取材に応じてくれる企業が多いので、万が一その動画が外部に流出すると、これまで築いてきた信用を失うリスクがある。

動画を活用した社内コミュニケーションの成功事例と実現方法をご紹介

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投資対効果に見合うプラットフォームを選定したい

こうした点から、有料サービスの動画配信プラットフォームの検討に入ったが、社内の承認を得るには投資対効果に見合ったプラットフォームでなければならない。当然、導入コストとランニングコストを含めてのトータルな意味での投資対効果だ。また、選定基準としては先にも挙げた「コンテンツの制御」「信頼性の高いセキュリティ」という条件は絶対に外せない。そして、日々の運用において重要な「使い勝手のよさ」や困った時に頼りになるサポートの手厚さなど、機能面だけではないトータルで質の高いエンタープライズ用途を対象にしたサービスを望んでいた。

 こうした点から、有料サービスの動画配信プラットフォームの検討に入ったが、社内の承認を得るには投資対効果に見合ったプラットフォームでなければならない。当然、導入コストとランニングコストを含めてのトータルな意味での投資対効果だ。

 また、選定基準としては先にも挙げた「コンテンツの制御」「信頼性の高いセキュリティ」という条件は絶対に外せない。そして、日々の運用において重要な「使い勝手のよさ」や困った時に頼りになるサポートの手厚さなど、機能面だけではないトータルで質の高いエンタープライズ用途を対象にしたサービスを望んでいた。

 そのような観点から動画配信プラットフォームの選定に当たる中、西川氏は偶然Jストリームが開催した動画活用セミナーに参加し、Jストリームの担当者と直接話をする機会を得た。

 当初、Jストリームからもらった提案は、機能は豊富にあったものの、予算的に厳しかったが、2012年にJ-Stream Equipmediaがリリースされると導入に踏み切った。月額固定でやりたいと思っていたことのすべてが実現できると感じたからだ。

必要条件である工数削減/セキュリティ向上を実現

 社内報動画の企画・制作にあたっているグローリー 総務本部 広報部 広報グループ スタッフ高松恵大氏は「課題となっていた工数削減・セキュリティ向上という目的は達成されたと思います」と導入後の感想を述べる。

工数削減

 現在、社内報動画は月に1本のペースで制作されている。以前はこの動画ファイルを拠点数だけDVDで配送していたが、今はファイルをアップすればそのままイントラネットで視聴できるようになった。

 また、拠点側でも半期に一度、DVDを広報部に返却するという決まりがあり、この工数も無視できないものになっていたそうだ。半期に一度なので、DVDの紛失や返却漏れの可能性もある。一方、広報でも100か所以上の拠点から返却があったDVDをすべてチェックしていたため、運用に工数がかかっていたがその課題が解決されたわけだ。

セキュリティ向上

 グローリーでは、より強固なセキュリティ環境で動画を再生するためドメイン制限を行っている。その理由の一つは取引先との信頼関係を保持するためだ。「J-Stream Equipmediaはこうした厳しいセキュリティ要件にも対応可能です」(高松氏)。

動画を活用した社内コミュニケーションの成功事例と実現方法をご紹介

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  • 【日時】2月4日(水) 15:00~17:45(受付開始 14:30)
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導入後の運用で体感した想定以上のメリット

一方で、導入後に運用することでわかったメリットもある。主にはマルチデバイス対応と動画タグの利用だ。かゆいところに手が届く充実した機能を、月額5万円という低コストで利用できているという。

 一方で、導入後に運用することでわかったメリットもある。主にはマルチデバイス対応と動画タグの利用だ。かゆいところに手が届く充実した機能を、月額5万円という低コストで利用できているという。

マルチデバイス対応

 「動画をアップすると、自動的にマルチデバイス対応の配信ファイルを生成するので、デバイスごとに動画を管理しなくて済みます」(高松氏)。以前は動画コンテンツ用に、Flashを使った動画を作成、Webで公開していたが、スマートデバイスはFlash未対応のため、わざわざ「スマートフォンの方はこちら」と分けて管理していた。

 また、グローリーグループでは、社内報動画については朝の決まった時間に一斉視聴するという社内ルールがある。短時間勤務者やその日時に外出などがあれば視聴できなかったが、今はイントラで一定期間配信しているため、「後でも見られるようになったのが良かった」という社員の声も上がっているそうだ。また視聴だけでなく、蓄積された動画コンテンツを別部署でも活用しやすくなるという効果も生まれた。

動画タグの利用

 広報・PR観点で成功を収めたエピソードには、同社工場の生産ラインを紹介した動画コンテンツがある。複数のヒト型ロボットが稼働する生産ラインの動画が話題となり、多数の海外ニュースサイトで紹介され、再生回数は瞬く間に1万回を超えた。

 「これまでなら、問い合わせをいただいたニュースサイトにDVDを送付する必要がありましたが、動画のタグを先方のサイトに組み込むだけなのですぐに拡散しました。内容が古くなれば、こちら側で差し替えることが出来るので安心です」(西川氏)。

 また高松氏も、「タグの利用で簡単に拡散できるのがとても良かった。これは利用して初めて分かった便利な機能です」と絶賛している。

 そして海外拠点向けに、英語の再生プレーヤーを提供してもらうなど、同社ならではの要件にJストリームは柔軟に対応していった。このため、英語版のプレーヤー制作が不要となり、コストが抑えられたという。

エンタープライズ目的での動画活用をさらに推進

 グローリーが構想していたとおりの運用は実現できているが、実はまだ満足しているわけではない。西川氏は、「もともと構想していたとおり、動画活用の領域を増やしていきたいです」と意欲を見せる。現在は社内での利用が主となっているが、外部に公開できる動画コンテンツを増やし、広報として活用していきたいようだ。

 また高松氏も、社内向け動画コンテンツのアーカイブ化が進む中、やはりその一部を外部向けに有効活用したいと考えている。特にイベントや、人が語っているシーンなどは「動画の方が感情や雰囲気などをより豊かに伝えられます」(高松氏)として、こうした分野で動画コンテンツを積極的に制作していく方針だという。そしてこうした動画を社外でも活用できるよう、体制や仕組みづくりに注力しているそうだ。

 そして二人が構想していることが、もうひとつある。それは社内ネットワークをより強化することだ。現在、グループ会社と本社が同時にアクセスすると、回線に支障が出るため、一斉視聴はグループ会社のみで本社は別のシステムを使っているという。これを統合し、ネットワークを強化することで、グループ全体がさらに動画を活用できるようになることを期待している。

 2014年は動画が注目された年だったが、これからは動画を「いかに使うか」が問われることになる。グローリーそしてグローリーグループは、その点ですでに次フェーズへと進んでいるのだ。

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この記事の著者

岩崎 史絵(イワサキ シエ)

リックテレコム、アットマーク・アイティ(現ITmedia)の編集記者を経てフリーに。最近はマーケティング分野の取材・執筆のほか、一般企業のオウンドメディア企画・編集やPR/広報支援なども行っている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2015/01/27 11:00 https://markezine.jp/article/detail/21594