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オウンドメディア最前線

キラーコンテンツは「食」、メディアは「あらゆるもの」 タニタ流ビジネスモデル・イノベーション

「健康をはかる」会社から「健康をつくる」会社へ

 ── その後、レシピ本の出版、丸の内タニタ食堂のオープン、映画へと続きます。

 そうですね。でもいずれも、こちらからアプローチしたわけではなく、外部から依頼を受けて実現したんです。レシピ本は、あるテレビ番組でタニタの社員食堂を取上げて頂いたあと、数社の出版社さんからご相談を頂きました。

 大手出版社さんは一定冊数の買取を希望されていたので「そこまでするほどでもないな」と見送りましたが……でも大和書房さんは真摯にこちらのリクエストに応えていただいたこともあり、チャレンジすることにしました。

 でも一冊を作るための作業量が、ハンパないんです。大量調理用のレシピを家庭用に落とし込んだり、内容をチェックしたりするのも弊社ですから。社内では「一冊で終わりにしよう」と言っていましたが、一冊目が異例のミリオンセラーとなり、読者の方々のニーズも重なって続編の出版に踏み切りました。現在、レシピ本は三冊出ていますが、現在、シリーズ累計で532万部となっています。

 ── 「社食」というコンテンツは、映画にもなりました。

 公開は2013年5月でしたが、3年越しの企画でした。その実現に貢献したのが2012年1月の「丸の内タニタ食堂」の開業でした。これで改めてタニタブランドの価値が高まり、世間の関心が高まったことが背景にあります。

 ── 注目される企業には、様々な企画も持ち込まれると思いますが、御社の場合はそれをきちんと形にしました。要因はなんだと思われますか?

 よく弊社では「偶然も実力のうち」と言っています。すべて外部さんからの持ち込みではありますが、そういった機会を生かしてきたことが結果的に良い方向に転んだのではないでしょうか。会社の進むべき方向を「健康はかる」から「健康をつくる」に移行していったのが、成功要因だと思います。

 ── と、申しますと?

 これまで弊社は「健康をはかる」ことに専門特化し、乗るだけで体脂肪を計測できる体脂肪計など、ユニークな商品を開発し、市場を切り開いて成長してきました。しかし短期間で類似の商品を、しかも安価で競合社が投入してきたことで、その優位性が失われていったのです。

 ── なるほど。

 弊社では健康を維持するには食事・運動・休養をバランスよく取ることを提唱しています。これまでは、それぞれを「はかる」という切り口から攻めてきましたが、減価材をはかった結果に対してどうするか、というサービスを拡充しています。

 なかでも「食」というコンテンツは競合社にはないコンテンツです。私もブランディングを始めて気づきましたが、500キロカロリー前後で美味しい食事を作るって、本当に難しいことなんです。自社のノウハウを掘り起こし、「食」という新たなコンテンツでお客さまに提示する。レシピ本と映画で、新しいブランドイメージが出来た実感がありました。

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コンテンツを切り替えたら、ビジネスモデルも変わった

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この記事の著者

齋藤 麻紀子(サイトウ マキコ)

フリーランスライター・エディター

74年生まれ、福岡県出身、早稲田大学第二文学部演劇専修卒業。 コンサルティング会社にて企業再建に従事したのち、独立。ビジネス誌や週刊誌等を通じて、新たなビジネストレンドや働き方を発信すると同時に、企業の情報発信支援等も行う。震災後は東北で起こるイノベーションにも注目、取...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2015/03/03 14:00 https://markezine.jp/article/detail/21818

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