アクセンチュアは、世界のテクノロジートレンドに関する最新の年次調査レポート「Accenture Technology Vision 2015」(テクノロジービジョン2015)を発表し、将来のデジタルビジネスに影響を与える5つのテクノロジートレンドを予測した。
1、「個」客体験をもたらすインターネット(The Internet of Me)
日常のモノがオンラインへ移行するにつれ、顧客体験もオンラインに移行しており、個人の生活のあらゆるシーンに密着した多くのデジタルチャネルが生まれている。企業が「顧客の関心を引くために利用している、もしくは試している」と回答した新たなチャネルの上位には、ウェアラブル端末(62%)、スマートテレビ(68%)、スマートカー(59%)、その他のスマート製品(64%)が挙がった。
未来志向の企業は、新たなアプリケーションや商品、サービスを生み出す手法を変革し、かつ確実に利益につなげている。企業は個々の顧客体験をコントロールするために、顧客のプロファイルや状況に応じたカスタム化された体験を創造しているが、顧客からの信頼も必要となる。新たな利益を生み出すことに成功した企業の多く(60%)は、「カスタム化された顧客体験を生み出すテクノロジーへの投資が成果につながった」と回答。次世代の有力企業になるのは、この「『個』客体験をもたらすインターネット(The Internet of Me)」を実現できる企業だろう。
2、成果を売る経済(Outcome Economy)
インテリジェントなハードウェアが、デジタル世界と現実世界との最後のギャップを埋めようとしている。有力企業は、顧客が本当に望むもの、つまり単なる商品やサービスではなくより価値のある成果を生み出すために、IoTの活用に目を向け、ハードウェアとセンサーをデジタル機器に組み込み、高度に連携させようとしている。実際、回答者の87%はインテリジェントなハードウェアやセンサー、ネットワークの端末を多く活用しており、「企業活動はこれまでのように単に商品やサービスを売ることから(商品やサービスの利用を通じた)成果を売る体制に急速に移行している」と回答。そして回答者の84%は「商品から得られるインテリジェンスを活用することで、商品がどのように使用され、消費者がどのような成果を求めているのかについて理解が深まった」と評価した。
こうした「デジタルディスラプター(デジタル化時代の創造的破壊者)」は、競合企業に勝つために、単に物を売るのではなく、それによってもたらされる成果を売らなければならないこと、そのために物の活用やそれにまつわる体験価値までフォローすべきであることを認識している。これが新しい「成果を売る経済(Outcome Economy)」である。
3、プラットフォームの改革と進化(The Platform (R)evolution)
デジタル時代のプラットフォームとエコシステムは、飛躍的なイノベーションと成長を遂げている。プラットフォームを軸にビジネスを展開する企業は、デジタル経済において成長と収益を向上させる多くの機会を獲得している。事実、回答者の75%が「次世代のプラットフォームは大手のテクノロジー企業ではなく、業界のプレイヤーやリーダーによって構築されるだろう」と考えている。そして、回答者の4分の3近く(74%)が、デジタルビジネスのパートナーとデータを統合するために、プラットフォームを活用もしくは実験的に導入している。クラウドやモバイルの急速な進化は、プラットフォームに関するコスト面や技術面での障壁を取り払うだけでなく、業界や地域を越えた新たな企業活動の領域を作り出している。つまり、プラットフォームを基本とするエコシステムが新たな競争の舞台となっているといえる。
4、インテリジェントな企業(Intelligent Enterprise)
これまで先進的なソフトウェアの主な目的は、社員の効率的な業務運営と迅速な意思決定を支援することだった。しかし、本格的なビッグデータの時代が到来し、データの処理能力やデータサイエンス、認知技術が飛躍的に高度化した現在、「ソフトウェアインテリジェンス」によって、企業は高度な処理に基づく情報に従って、優れた意思決定を行うことが可能になった。
回答者の80%は「アプリケーションやツールが人間に近い知能を持つ『ソフトウェアインテリジェンス』の時代が到来している」と回答。さらに回答者の78%は「ソフトウェアは近い将来、環境の変化を学習しながら、過去の経験を踏まえたより高度な情報処理を行うようになるだろう」と考えている。「ソフトウェアインテリジェンス」によって、実務上のさまざまな知見やソフトウェアを活用した次世代のサービスが生み出されることで、企業全体にわたるイノベーションが推進され、新たな進化と発見がもたらされるだろう。
5、「ワークフォース」再考(Workforce Reimagined)
デジタル変革の潮流によって、人間と機械のコラボレーションがさらに求められている。調査に回答した企業の57%は、データの可視化のようにITの専門家が必要であった作業を、ユーザー側の社員でも行えるテクノロジーを導入している。直感的なインターフェースやウェアラブル端末、スマート機器の進化は、テクノロジーを通じて企業が労働力を強化する新たな機会を与えるとともに、人間と機械のコラボレーションを管理する上での新たな課題も生み出した。
回答を寄せた経営幹部の78%は、ビジネスの成功のためには社員とインテリジェント機器のコラボレーションの維持と管理が重要だと認識。そして回答者の77%は「3年以内には、『インテリジェントソフトウェア』やアルゴリズム、機械学習を利用する途上で、社員トレーニングと同等の労力を機械のトレーニングにも費やす必要があるだろう」と考えている。人間の能力とインテリジェントな技術が組み合わされることのメリットを認識し、双方を活かした新たなワークフォースを再考、構築することが企業を成功に導くだろう。
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