限られたマーケティング予算の中で、いかに外部環境の変化に対応していくか
スマートフォン領域における企業のマーケティング活動を支援しているアイスリーデザイン。同社は先日、毎年スペインで開かれているモバイル関連の見本市「Mobile World Congress」に出展し、多くの気付きを得てきたという。「最先端のスマートフォン(以下、スマホ)やウェアラブルデバイスを目にし、デバイスの進化はまだまだ止まらないと感じた」と同社 ソリューションプランニンググループ マネージャーの斉藤隆祐氏は語る。
「今日の市場を牽引しているAppleは、2年ごとにiPhoneのメジャーなバージョンアップをしています。解像度やネットワークのスピードはそのたびに進化しており、それに追随するように各社も新しいデバイスを市場に投入しています。また、通信回線も3年ごとに10倍の速度を実現しています。改めてモバイルの向かっている方向を整理すると、デバイスの多様化とハイスペック化、そして通信の高速化でしょう。
こうしたデバイスや通信回線の進化によって、コンテンツをリッチ化できるメリットがある一方で、そうした外部環境の変化にあわせて対応していくことは容易ではない。マーケティング予算をなかなか増やせないという現実に向き合いながら、限られた予算の中で成果を上げ続けるにはどうすればいいのか、ご紹介していきましょう」(斉藤氏)
グロースハックを成功に導く方程式
限られた予算・体制で、いかに成果を最大化するか。これは長年にわたってマーケターが向き合ってきた課題の一つだ。その一方で、昨今ではテクノロジーの発達に伴い、従来のリスティング/SEM、SEOといった施策に加えて、FacebookやTwitter等のプラットフォームを活用したソーシャルメディアマーケティング、DSP/SSPやDMPといったアドテクノロジーを活用した施策、オウンドメディアの隆盛と共に注目が集まるコンテンツマーケティングなど、マーケティング手法は多様化している。新たな効果の良い施策を求めて様々な手法に挑戦し、試行錯誤を繰り返しているマーケターは多いだろう。
また集客手法だけでなく、サイト改善のための分析手法も多様化しており、最近注目を集めているのは「グロースハック」というキーワードだ。言い換えれば、A/Bテストを高速で回し、改善を積み重ねていくことだが、多くのECサイトを支援してきた同社は、グロースハックの成功方程式を、次のように導き出した。
「目的がLPO(Landing Page Optimization)だけであれば、CVRを上げればいいという単純な話ですが、ECサイトにおける最終的な目的はCVRだけでなく、RPV(Revenue Per Visitor:一人当たり売上高)を見ていく必要があります。集客にお金がかかったとしても、RPVを軸として見ていくことで、投じた費用を最大限に回収できるようになります。弊社のグロースハックでは、CVRとRPVという2つのKPIに着目しながら、売上向上の支援をしています」と斉藤氏は説き、ECサイトにおけるグロースハックの定石として、次の図を提示した。
「ECサイトでは、ユーザーがサイトに入ってくる経路は、トップページとは限りません。まずは閲覧数が多い場所を、次にボトルネックになっている箇所、そして最後にCVRに近い場所という順に、テスト項目を絞って改善を進めていくことがポイントとなります」(斉藤氏)