CRMを統合を実現する5つのプログラム
システム環境が整った2012年から2013年はEloquaを活用し、CRMの統合を行った。「プロセスの構築に非常に長い時間がかかった」とウェーバー氏が語る統合は、次の5つのプログラムによって構成されている。

新規または更新された連絡先からの問い合わせや、ウェブサイトの訪問があった場合に、データの標準化が行われる。マーケティングおよび営業活動に利用ができるレコードだけが、2種類のリードスコアリングと、リードルーティング(スコア付けされたリードを適切な営業に引き渡すための処理)がされて、CRMに送られるというものだ。これらはグローバルなプログラムであるため、各拠点で応用することができるという。
なお、スコアリングはサイトの閲覧や資料ダウンロードといった見込み客の行動から関心の度合いを測る間接的なスコアリング(Implicit Scoring)を行い、年齢や企業規模、BANT情報等から明示的なスコアリング(Explicit Scoring)が行われる。間接的なスコアリングはリアルイベントやウェビナーへの参加に一番高いスコア付けがされているという。

初めてのグローバルキャンペーン、その結果は
テクノロジー、プロセスの構築を終え、最後に着手したものが人材の整備だ。組織体制の変更や新しい市場進出戦略の立案などを行った。「私たちが目指したものは、エンドツーエンドのマーケティングプロセスを達成することです。そのためには、新しい環境で作業をすることができる人材が必要でした」とウェーバー氏。自社の社員だけでなく、広告代理店やテクノロジーベンダーと共に、一つのチームとして新しい環境で業務が円滑に進むように準備を進めたという。
そして、2014年9月から、同社初のグローバルでのマルチチャネル・マルチタッチのキャンペーンが7言語・11か国で実施された。その結果、約600万のインバウンドのインプレッションや、2万以上のソーシャルエンゲージメントなどを実現している。

「これらの数字を見ていただければ、0の状態から4年間でどれだけの展開があったかがお分かりになるかと思います」(ウェーバー氏)
プロジェクトを成功に導いた4つのキーワード
最後にウェーバー氏は、大規模なマーケティング環境整備を実現できた鍵として「チームワーク・時間・計画性・目標設定」の4つを挙げた。部門や国を横断したチームワークを持ち、時間をかけて取り組み、ローカライズを考慮した早期の計画立案を意識し、実行前にゴールを設定することが重要だったという。
特にウェーバー氏はチームでプロジェクトを進めること、コミュニケーションをとりながら進めることの難しさと大切さを主張する。同社では、社内外のプロジェクト関係者50名ほどで定期的に会議を行い、中央制御的にグローバルに情報を発信したという。だが、文化や商習慣は国によって異なる。
そのため、プロジェクトを進める中で様々な異議やフィードバックが出てくる。その際にコミュニケーションをきちんと図り、話し合いを重ねて本当に必要なものかを見極める必要があったという。「やはり、どれだけコミュニケーションをとれるかが大きなカギだと思います」(ウェーバー氏)
4年間の取り組みで、同社のマーケティング環境は変貌を遂げた。しかし効果測定や人材戦略など、様々な面で最適化は続いている。「2015年にはセントラルフィードバックを導入したいと考えています。4年間のジャーニーで、“できないこと”が“できること”にかわりました。ですが、まだまだ成長の余地はたくさんあると思います」ウェーバー氏は、マーケティング・オートメーション活用に意欲を見せ、セッションを締めくくった。