ユーザーのアクセス地域や業種でコンテンツを最適化/ANAの事例
松村:「どこどこJP」の具体的な活用事例としては、ANAの取り組みがわかりやすいでしょうか。IPアドレスに紐付けられたアクセス場所に応じて、予約システムの出発地設定はもちろん、「東京発のおすすめツアー」などのコンテンツも適宜提供しています。また、ある不動産会社では、ユーザーのアクセス場所に応じて表示する物件の地域を変えています。
小川:なるほど、閲覧者の属性に応じてWebのコンテンツを出し分けることも容易にできるわけですね。
松村:ええ、また「どこどこJP」で判明した業種別などに合わせて、トップページのコンテンツを最適化することもできます。当社でも代理店さんとそれ以外のアクセスを分析・比較して、代理店さんのサイトの使われ方を観察し、改善を行なったこともありました。
小川:「どこどこJP」ではIPアドレスから企業名も特定できるわけですから、個別に「◎◎会社の方へ」みたいなアプローチもできますよね。
松村:いや、そちらはよほど工夫しないと気持ち悪がられます(笑)。せいぜい「情報通信事業者の皆さまへ」とか、その程度ですね。でも回線の属性データが取れるので、その競合ユーザーに「××をお使いの皆さまへ」と狙い撃ちを行なったことがあり、高い効果を得たことがあります。
小川:それは面白いですね。他にも属性に応じた情報をプッシュで送るなど、「GA×どこどこJP」をプライベートDMP的に使うのも面白いかもしれませんね。
松村:それは我々も考えていますよ。GAと連携して活用することで、どこどこJPで得られたデータをリターゲティング広告やアドワーズなどに活用し、より効果的なマーケティング施策を実現することができますから。
小川:ただメールシステムなどとは自動連携できていないので、手動でリストをつくったり、データを引っ張ってきていろいろ加工したり……といった手間はあるでしょうね。とりあえず、GAのIDを取ってセットするというのが、利用の第一のハードルでしょうか。
松村:実はすでに何度かテストはしており、簡単に連携できることはわかっていますが、どこまで担当者がやれるのかがカギでしょうね。DMP的な活用については、技術的というより、「使い方」や「運用」が一番の課題になると思います。