プライベートマーケットプレイスの未来
有園:なるほど。ところで、日本ではプライベートマーケットプレイスという領域が注目されてきていますが、特定のプライベート取引は、御社のDSPを使うとできるのでしょうか。
新谷:私どものPMPは「パブリッシャー・マネジメント・プラットフォーム」といいまして各広告会社やトレーディングデスクがSSPや媒体社と交わした契約をマネジメントする機能を提供しています。すでに欧米ではローンチしており、日本でも使えるのですがどのように使っていただくのが良いのか広告会社やトレーディングデスク、各SSPと話をしているところです。各キャンペーンの配信先をプライベート取引を探しにいくのかこれまでと同様にオープンで買うのかを選択できるようになっています。
有園:最後に業界の長い新谷さんにお尋ねします。プライベートマーケットプレイスというものは、これから、どういうふうに発展していくと思っていらっしゃいますか。
新谷:アメリカの方は、これから業界が変わっていく時期になってきた様子です。広告在庫が、プログラマティックなプラットフォームを介して買い付けられていくのは、これから増えていくのは間違いないと思います。通常の広告販売は、掲載可否から始まって在庫確認があって、それから発注して原稿審査があってと、クライアントと広告会社と媒体社の間でなんどもやり取りが必要なワークフローで運用されています。グローバルでは、このやりとりをプラットフォームで行っていくことでワークフローを改善していこうという動きがあります。

有園:それは純広告ですか。
新谷:はい。そういうものをオートメーション化しようという動きがあることに加えて、オープンマーケットから広告を買い付けるよりもっと質の良い広告を購入したいというクライアントのニーズも強くなってきています。
また、ビューアビリティを保証して欲しいといったニーズもが出てきているそうです。オープンマーケットで探すよりもプライベートなマーケットで買い付けるという話が、ワークフローのオートメーション化とデマンドサイドのニーズで、いろいろな在庫がプログラマティックになっていくと思います。そういった中でいかに広告主サイドのニーズの「質の高い」というのに下がりがちな単価(媒体価値)をどのように担保しながら答えていくか、が大きな課題になっていくのではないでしょうか。
有園:それは掲載面?
新谷:面というか、付加価値を何と捉えて、広告主、デマンドサイドのニーズに応えていくか。面かもしれないしオーディエンスかもしれない。
有園:そうすると、オートメーテッド・ギャランティード(Automated Guaranteed)やアンリザーブド・フィクスド・レート(Unreserved Fixed Rate)と呼ばれている領域のプライベートマーケットプレイスについては伸びていくだろうと。
新谷:日本は緩やかに伸びていくと思います。北米では急成長するという予測が出ていますね。
有園:SSPとかがプライベートエクスチェンジやパッケージを作るという話を聞いたことがあるのですが、それとは少し違う動きになるのかなと思っているんですが、どうでしょうか。
新谷:質って何だって話になりますが、媒体社としっかり話をしながら、媒体社さんにも収益を生むことができて、広告主もニーズが満たされることが、プランニングとして非常に重要になってくるはずなんですね。こういうことは広告会社の方々やメディアレップの方々が常日頃やられていることですので、さきほどのワークフローのオートメーション化なども含め、そこをどうアドプトするか、いつアドプトするかということではないかと思っています。
有園:その話と御社のパブリッシャー・マネージメント・プラットフォームというのは、いまいったプライベートマーケットプレイスという動きが出てきたときに、それを台帳として管理するので、プライベートマーケットプレイスが成長することによって、パブリッシャー・マネージメント・プラットフォームが管理するために必要になってくるということでしょうか。
新谷:そうです。
有園:パブリッシャー・マネージメント・プラットフォームという台帳が、これから発展していくプライベートマーケットプレイスを見越して用意されているような気がしていて。略すとPMPで同じなんだけど競合ではなく補完関係にあり、すでに先を見越して提供しはじめているのかなという理解でよろしいでしょうか。
新谷:そうですね。2015年はより多くのクライアント、パートナーである広告会社様やトレーディングデスク様との取引を拡大したいと思っておりますし、体制も強化しております。ご興味もっていただけるようであれば、お問い合わせいただければと思います。
有園:ありがとうございました。
本記事は「Unyoo.JP」の記事『急成長するtheTradeDesk、日本始動』を要約・編集したものです。長編のオリジナルコンテンツを読みたい方は、こちらをご覧ください!