ソーシャルデータによって転職潜在層との出逢いを生み出す
――ソーシャルデータを利用する理由は何でしょうか?
岡氏:採用サービスを運営している中で、転職顕在層、つまり今すぐ転職をしたいという人を中心とした採用に苦戦している企業が増えてきている印象を受けています。採用に対する感度の高い企業や採用担当の方であれば、「機会があれば話を聞きにいきたい」「今は満足しているけどもっと良い会社があれば採用担当と会ってみたい」と思っている転職潜在層にこそ優秀な人がいるのではないかと薄々感じ、実際に動き出している企業も少なくありません。
実際に、社員の人脈や自社で開催するイベントへの集客・勉強会への参加などから生じた人脈により、企業独自の方法で転職潜在層のデータベースをつくり、アナログに管理しているというケースをよく耳にします。ですが、長期的な視点で採用に繋げるための管理をすることは、企業にとってかなり手間のかかることです。また、完璧に管理できている企業はあまり多くない印象を持っています。
一方TalentBaseでは、約600万人の膨大なソーシャルデータを解析して、約180万人のビジネスプロフィールを生成することで、転職潜在層を含めたデータベースを構築しています。加えてTalentBase内の人工知能が180万人の中から企業が求める人材に類似した人材を発掘してくれるので、企業は手間をかけずに自社が求める人材データベースを生成することができます。
生成した人材データベースをトラッキングして、各人材の状況や自社との関係性などを継続的に管理することで、採用に繋げられるサービスとしての価値を高められるのではないかと考えています。
データを活用して、採用以外の出逢いも創出したい
――それでは、今後はどのような展開を予定されていますか?
岡氏:まずは、TalentBaseを採用サービスとして、人と企業が適切に出逢えるプロダクトにしたいと考えています。人を理解するための多角的なデータを蓄積することで、本人さえ知り得なかった情報をサービスを通して知ることができます。思いもよらぬ企業の採用担当から声がかることで、新たなキャリアの可能性に出逢うことができるかもしれません。
ただ、僕たちが最終的につくりあげたいのは、「人と◯◯との出逢いの場」です。そのうちの1つが、採用を目的とした「企業」との出逢いです。人のデータを蓄積するということは、言い換えると、その人の信用や個性を蓄積していることだと捉えています。信用や個性の蓄積が、まずは人と企業の出逢いを生み、さらには「人と人」や「人と情報」などの出逢いを生み出すところまで拡げていきたいと考えています。最終的には、人の人生をより魅力的にするような楽しい出逢いをつくっていけるプラットフォームにしていきたいですね。
ちなみに、3月のリリース時にTalentBase上で検索可能な個人のデータベースは約55万人でしたが、4月には約180万人へと増加しました。1か月で3倍以上に増えたことは、TalentBaseの価値向上につながっていると思います。ですが、あくまでも僕たちの目的は、人と企業が適切に出逢える、できる限りオープンな場を作ることです。その世界を実現すべく、今後も勝負していきたいと思います。

