コンテンツマーケティングを実施したが上手くいかない
ソーシャルメディアなどを活用し、気軽に低予算で始められることから、ここ数年で“コンテンツマーケティング”という言葉は定着し、実際に取り組む企業も増えてきました。しかし、この段階で「コンテンツマーケティングをやってみたけれど上手くいかない」という相談をクライアントから受けることが多々あります。
ここで説明しておきたいのは、「上手くいかない」というのは、けっして「コンテンツマーケティングが実践できない」という意味ではありません。「コンテンツマーケティングを実施しているものの、具体的な取り組みの評価方法がわからず、またビジネス成果に結びつけられている実感がない」という悩みを抱えているのです。具体的な悩みとしては、下記に2つが代表的です。
(1)コンテンツマーケティングの成果をどうやって計測すればよいかわからない
(2)コンテンツマーケティングの結果PVが増えたが、ビジネス成果に結びつかない
コンテンツマーケティングはあくまでも“マーケティング”施策であるため、成果を把握し、ビジネス成果にも結び付けなければなりません。例えば社内での追加予算申請の際に成果を把握していない、ビジネス成果に結びついていないと費用対効果(ROI)に苦慮してしまいます。では、どのようにコンテンツマーケティングの成果を計測すればよいのでしょうか?
コンテンツマーケティングの成果を、アトリビューション分析と同じ仕組みで見える化する
私たちのこれまでの経験から出てきた答えは、「コンバージョン率・数で計測。ただし直接効果だけではなく間接効果まで見る」です。
広告の効果検証では、「アトリビューション分析」の仕組みを使います。たとえば一度バナー広告に接触したユーザーが一定期間を経て、今度は自然検索でサイトに流入してコンバージョンした場合に、バナー広告が行動を間接的に促したと評価する方法です。要は、コンテンツマーケティング活動を“仕組みとして”はひとつの広告とみなして、その成果を計測していくのです。
ユーザーとの長期的な関係構築のプロセス全体を可視化する
コンテンツ閲覧後すぐにコンバージョンしない場合も、ユーザーの興味関心が高まった段階で別の経路でサイトを訪問してアクションに繋がれば成果とみなすことができます。つまり、長期的な関係構築を目的とするコンテンツマーケティングの意義と一致するのです。
※補足:アトリビューション分析は事前に「ユーザー行動仮説」を立ててから実行することをおすすめします。詳しくはこちらの記事をご参考に。
このコンバージョンデータの計測には、何かしらのツールを用いることになるのが一般的ですが、「さまざまな訪問ルートを網羅的に捕捉する」機能が備わったツールが適切でしょう。というのも、ユーザーはコンテンツマーケティングの一環として提供した情報に接触した後に、別サイトのバナー広告を経由するかもしれません。また、リスティング広告やお気に入りから再訪するパターンもあるでしょう。単純なアクセス解析ツールでは、ユーザーごとの接触履歴が確認できないため、それらの情報が把握できず、正しく効果を計測することができません。
ビービットが提供する広告効果測定ツール「ウェブアンテナ」は、コンテンツマーケティングの成果を、広告やSNSによるマーケティング施策やユーザーの主体的訪問経路と連結して計測・把握することができます。つまり、潜在顧客の注意を引き興味・関心を持ってもらい、検討を踏まえて意欲が高まりアクションを起こすというマーケティングのプロセス全体を可視化できるのです。時間軸を踏まえてユーザー行動を長期に追うことで、コンテンツマーケティングの成果を把握するが可能になります。
では、もう一歩進んだ段階に進みましょう。コンテンツマーケティングで提供する情報をカテゴリごとに数値測定し、仮説を立てた上で顧客への貢献パターン(例:潜在層が短期に複数回接触しやすいコンテンツ、検討層が1週間以内にアクションしやすいコンテンツ、など)を把握し、広告クリエイティブやサイト内導線の改善、新規コンテンツ開発に役立てているケースもあります。
さて、ここまではコンテンツマーケティングに関するよくある悩みについて回答してきました。そして次に、ビービットが考える「コンテンツマーケティングのポイント」について、一般的な言説と比較しながら解説していきます。ここで大切なのは、実施する企業自身が言葉を定義して自覚を持って進めていくことです。
コンテンツマーケティングの成果、きちんと計れていますか?
時間軸を踏まえてユーザー行動を長期に追い、コンテンツマーケティングの成果を把握しよう!
ビービットが提供する広告効果測定ツール「ウェブアンテナ」の情報はこちら。
ユーザーは、自分に役立つ商品やサービス情報を待っている
コンテンツマーケティングにおいて、しばしば「商品・サービスではなく、顧客にとって価値のある情報を伝えることが重要だ」と言われます。これまでは企業が広告や宣伝で自分たちの商品・サービスを一方的に説明し続けてきたことに、ユーザーが辟易していると。この状況に対して、「●●のコツ」「●●のまとめ」「●●のメリット」といった記事を週に数本更新し、PVを増やそうと励む企業は少なくありません。この流れは否定しませんが、少し視点を変えて考えてみましょう。
実際のところ、ユーザーが飽きているのは商品・サービスではなく、その企業の都合による一方的な紹介のしかたではないでしょうか。ユーザーは、商品・サービスが自分の状況にどう関係し、どんな課題を解決してくれるのか、あるいはどんな豊かな生活をもたらしてくれるのか、といった説明が十分にないまま購買へ促そうとする企業への不満をいだいているのではないでしょうか。これは、私たちがこれまで実施してきたユーザー行動観察調査から学んだことです。
その視点がなければ、「商品・サービスに言及するのはユーザーにとって好ましくない」と考えてしまい、「お役立ち情報」を延々と流し続けることになりがちです。その結果、いつまでもビジネス成果に結びつけることができないのです。明確なポリシーがある場合は別ですが、商品・サービス説明を怖がる必要はないのです。
「コンテンツ」マーケティングではなく、コンテンツ「マーケティング」
では次に、コンテンツマーケティングにおいて、顧客にとって価値のある情報とは何か、について考えていきましょう。この「価値」とは、“単純なコンテンツのクオリティ”ではなく、“事業者が捉える価値”を意味します。この視点が欠如してしまうと、変わり映えのしない普遍的な事実を伝えるコンテンツだったり、顧客の気をひくことを第一にした動画やCGなど、パッケージとしてのクリエイティブばかりにこだわるようになってしまいます。
たとえば、天気予報を思い浮かべてみましょう。テレビやインターネット上では、最新の情報に基づいた予報を私たちに届けています。確かに役には立っているし(ときに外れるけれど)、毎日のように閲覧している情報ですが、果たして「この会社の天気予報じゃないとダメ」というその情報提供元の企業に対する興味関心や指向性を高めていると言えるでしょうか……。私たち生活者は、その企業にとっての「顧客」になっているでしょうか。天気予報は立派なコンテンツではありますが、マーケティング活動としては捉えることは難しいでしょう。
また、コンテンツマーケティングの一環として発信されるコンテンツがPVを集めている背景には、取り組んでいる企業がまだ少なく、先行者利益的なところがあるでしょう。これからますますコンテンツマーケティングに取り組む企業が増えれば、間違いなく同業界内でテーマ重複や情報の類似が発生し、これまでのようにうまくいかなくなる可能性が出てくるでしょう(キュレーションサイトではすでにこのような現象が起きています)。
ユーザーの意識に残るために大切なのは、情報発信者の個性や観点であり、それが反映された商品・サービスの情報です。そのためには、やみくもにバズることを目的とするのではなく、誰のどんな状況にどのような独自の価値をもたらすのか、いわば当たり前の「マーケティング」を意識しなくてはいけません。
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コストをかけて継続的にコンテンツを発信する目的を再考しよう
一方で、自社サイトをメディア化し、ユーザーに価値ある情報を「定期的に」提供することでコミュニケーションを図ることが大切、とも昨今よく耳にします。SEOの観点からも、コンテンツの蓄積による資産効果があると説明を受けたことがある人も多いのではないでしょうか。
確かに、一度商品・サービスを利用してもらった顧客に定期的に情報を提供して良好な関係を継続し、アップセルやクロスセルにつなげていくことは、ビジネス成果に繋がるでしょう。しかしながら、いつどんな頻度で訪問するかわからない潜在顧客に向けて、コストをかけて継続的に新しいお役立ち情報を発信することにどんな目的・意味があるのか、立ち止まって考えたことはあるでしょうか。ここで言いたいのは、継続することに意味はないということではありません。「新しい情報を定期的に発信する」ことを、なんとなく正しいことと考えて疑問を持たずに実施していませんか?
さらにいったん始めてしまうと、コンテンツが増え、PVが増えることは可視化されやすいので、施策を続けていること自体にやりがいを感じて満足してしまうことも……。「これまで続けてきた」事実は、今後も続けることの理由にはなりません。
企業の活動はマーケティングの一環であり、価値の創造と提供による顧客の獲得です。繰り返しますが、商品やサービスを販売するという観点を忘れてはならないのです。ニュースサイトのようなメディアの場合は、収益は広告販売に拠るところが大きいため、PVを目標と設定することは一つのビジネス成果を計る指標として適切ですが、商品・サービスの販売が目的の企業がメディアを運営する場合は、売り上げにつながる、または極力近しい指標をビジネス成果として置いて追求すべきなのです。
あらためて“コンテンツ”の定義を再考
これまで、コンテンツマーケティングにおいて多くのマーケターが躓きがちな点をいくつか説明してきました。ここであらためて、「コンテンツ(content)」とは何かを考えてみましょう。
the ideas, facts, or opinions that are contained in a speech, piece of writing, film, programme etc.
(LONGMAN DICTIONARY OF CONTEMPORARY ENGLISH ONLINEより)
コンテンツとは単なるお役立ち情報のほか、伝える側(事業者)のアイデアや意見も含まれており、コンテンツマーケティングにおける“コンテンツ”はまさしくこちらの意味を指していると言えます。コンテンツを、企業というフィルタを通して生み出す。コンテンツを通じて読者(ユーザー)は企業や企業の商品・サービスに興味・関心を持ち、それが購買などの行動につながり、さらに多くの顧客に広がっていく。この不断の営みがマーケティングなのです。
さて、ここであらためてコンテンツマーケティングに取り組んでいるマーケターのみなさんに問いかけたい。あなたのつくったコンテンツを、今一度見直してみませんか。そこにあなたは映っていますか。
コンテンツマーケティングの成果、きちんと計れていますか?
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