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来たるべき検索連動型広告のパラダイムシフトに備えて【SMX Advanced 2015レポート】

Buyボタンが大きな流れに/広告とコマースの融合

 その他の施策に関しては、Googleを含む大手プラットフォーマーによる「Buyボタン」がまずは挙げられる。会期中かなり話題になっていた。Facebook、Twitterに続き、この数週間で立て続けにInstagram、Google、Pinterestも同様にBuyボタンの導入を発表または表明してきた。データフィードをテーマにしたセッションでは、この流れを「広告とコマースの融合」と説明していた(一部広告でない施策もある点は注意)。

 前述のキーノートでも、Dischler氏からGoogleのBuyボタン(正式名称はまだ未定の模様)について言及があった。5月27日のRe/Codeカンファレンスで、オミッド・コーデスタニ最高事業責任者が、「Buyボタンを設置することを認めているが、Buyボタンはモバイル経由のコンバージョン率の低さを解決し、モバイルでの売買を加速することが主たる目的である」と主張した。口頭での解説では、BuyボタンからGoogleが用意した特別なページにユーザーは移り、そこでクリックやページの遷移も最小限に、購入を完了することができる。年内に開始する予定だ。

 商品データベースは広告主企業がデータフィード経由でプラットフォーム側に提供し、商品出荷は広告主が行う仕組みだ。各社これからの取り組みなので、詳細の仕組みは不明だが、顧客情報/購入履歴情報を巡る不安の払拭、ユーザーの受け入れ度合い、商品データフィードの環境整備など課題は少なくない。ただ、受け入れられた場合、モバイルでの売買が加速する可能性は秘めている。この機能を計画するにあたり、広告主にかなりヒアリングを実施したようで、「試してみたい」という声は多かったようだ。そのためか、Dischler氏もBuyボタンの仕組みに一定の自信を持っている様子だった。

業種別モバイル広告フォーマットは今後も増える

 すでに発表している自動車、ホテル、金融などのそれぞれの業界に特化した広告フォーマットは、今後も他の業界にも展開していくことが明らかにされた。「セッション時間が短いモバイルでは、もっと迅速にユーザーに答えを提供しないといけない」「モバイルではユーザはリッチなコンテンツを求めているので、その観点でモバイルファーストを意識した製品を開発していく」とDischler氏は主張。新製品発表イベントでも、モバイルのクエリー数がデスクトップPCのそれを10ヵ国で抜いたと話があったが、そういった状況は今後も進んでいく方向にはあると思うし、それに合わせていくのは当然だろう。「テキスト広告はなくなるのか?」という問いに対しては、すぐになくなることはないが、特にモバイルユーザーに向けて改良を加えていく模様だ。

オフラインデータ、アトリビューション、リマーケティング機能も拡充

 オフラインコンバージョンの計測に対しては、さらなる取り組み中のようで、Dischler氏も積極的に話していた。とある有名シューズブランドでは、店舗で購入された商品数のうち18%は検索に影響されたものとのことだ。確かに、オンライン・オフライン両方に対する影響度合をよりよく理解できるようになれば、広告利用の状況はまた変わってくる。

 アトリビューション関連機能も、買収したAdometryやGoogle Analyticsなどで提供されているアトリビューションモデル選択などの機能は、AdWords管理画面に直接実装されていく方向のようだ。アトリビューションに関しては、SMX全体でもセッションも多く、興味関心はあるが、実施に関しては課題も多く、なかなかできていない企業が海外でも多いようだ。多くの場合、1)計測環境が複雑で大掛かり、2)組織的な問題、で取り組めていないことがほとんどのようだ。モデルが理解できる/構築できる人材が少ないことは、他のアトリビューションのセッションでも指摘されていた。Googleとしてはすぐに、かつ比較的簡単に使える環境を提供することで、利用を促進していきたい考えだ。リマーケティングに関しても多くは語らなかったが、機能は拡充していく方向のようだ。

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AdWordsの管理画面インターフェースは完全刷新の予定

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この記事の著者

杉原 剛(スギハラ ゴウ)

アタラ株式会社 代表取締役CEO
ノバセル株式会社 エグゼクティブディレクター

KDDI、インテルを経て、オーバーチュア(現Yahoo!検索広告)、Google日本法人で広告営業戦略を担当。2009年にマーケティングのコンサルティングサービスやツールを提供するアタラを創業。プラットフォーム広告、リテールメディアなどの最新情報を発信する、日本では数少ないプラットフォームビジネスアナリストでもある。「プラットフォームの思考回路」チャンネ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2015/06/10 12:00 https://markezine.jp/article/detail/22573

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