デザインとデジタル、自分の領域にとらわれなくなった
――BAPAを通して、意識が変わった部分はありますか?
高橋氏:第一線で一流のものづくりをしてる人の授業は説得力があって、よい刺激になりました。例えば、DELTROの坂本政則さんの「100倍の細部からなるデザイン」や、PARTYの川村真司さんの「つくり方からつくる事」など。講師の方々の声には気づかされる部分もあるし、モチベーションもあがりました。
一方で、頭では理解したとしても、実現していく力は自分で試行錯誤を繰り返して、身体に刷り込んでいくことでしか得られないということも制作を通じて実感しました。その点で、BAPAで自分の思い描いたものをアウトプットに落とし込んでいったことは、やはり強みになったと思います。今後も、デザインもそうですし、プログラミングは学び中ですが、もっと技を身につけて高解像度で考えて質を高めていきたいと思います。
武田氏:BAPAの講義で一番印象に残っていることに、「モノをつくるときには根っこと、落とし穴を探せ」という言葉があります。モノをつくるときには、企画を考えますよね。企画の一番いいところ、その理由となっている部分が根っこです。そして、制作過程で根っこをなくして、違う方向に行くとすごく変なモノができてしまう。その、落とし穴にはまらないように、企画段階で、落とし穴と根っこの部分を明確にしておく必要があるという意味です。
例えば「Shibuya Sweet Lesson」でいうと、基本は女の子と会話するだけのコンテンツです。でも、それだけだと「へえ面白いね」で終わってしまう。だから、あえて恥ずかしいセリフや、ちょっと告白っぽいことをいってもらう。しかも、その自分の声が大音量で流れる。
この、「恥ずかしい・照れる」という気持ちの創出が重要なんです。女の子かわいい!という気持ちと、恥ずかしいという気持ちが根っこの部分です。そこからブーストさせていくことを狙いました。だから、この気持ちを削いでしまうことが落とし穴です。この、根っこと落とし穴を考えることは、現在の業務でも意識していますね。
「ニューエイジ」と呼ばれるような、すごい作品をつくりたい
――BAPAは一言で表すとどんな場所でしょうか?
武田氏:異なる土俵にいる若者が集まり一つのクリエイティブを目指すことで、作品に化学変化を起こしたり、自身に新しい何かを芽吹かせたりできる場所だと思います。BAPAを通じて、自らに多くの気づきやきっかけを感じることができました。
高橋氏:分野を飛び越えるための片道切符をもらえたような気がします。ただBAPAを卒業したことは一つのはじまりだと思うので、今後も分野を超えてものづくりをしていく事はしていきたいですし、ここで出会えた方々や1期生の皆とも一緒に何かを企めたらいいなと思います。
――最後に、ご自身の今後の目標を教えてください
高橋氏:「よくデザイナーって何をしているの?」と聞かれます。人によって捉え方はさまざまですが、どちらかというと私は表層的なものではなく、もっと大きな思想で捉えています。世の中には頭がフリーズするくらいにたくさんの情報があって、たくさんの技術が日々生まれています。その状況の中で問題を見つけ出して、解決するための手段を設計していくことがデザインだと思っています。
「MASS RHYTHM」で取り組んだ、見向きもされていない物事にスポットライトをあてる事とか、無意識的にやっていることに目を向けて価値を変換していき、人の心の温度が0.003%くらいは上がるようなことができたら、おそらく心臓がしびれますね(笑)これは長期的な目標ではありますが、ものづくりをはじめた大学の頃から変わらない気がします。
武田氏:BAPAにいたときは、web広告を制作する会社に入社すること・人生を変えることが目標でした。今回BAPAに参加してそれが叶ったので、次はBAPAを卒業していった人が「ニューエイジ」だと思われるような、「僕らの時代だ」といえるぐらい、すごい作品をつくりたいと考えています。
