PCを持ち歩く全ての人がターゲット、話題の「Surface」の魅力
MarkeZine編集部(以下、MZ):昨年から今年にかけて、動画広告市場が盛り上がり、新しいプレーヤーも次々と登場しています。今回はマイクロソフトの「Surface」の広告キャンペーンに、日本市場での展開を強化しているTeads社のインリード広告を採用されたということで、ご担当者の青木さんと松田さん、Teads社の田中さんに、活用の概要や効果をうかがいます。まずは、Surfaceの特徴を教えていただけますか?
青木:Surfaceは、当社が初めて開発したタブレット端末です。日本では2013年3月に発売したので、2年半ほどになりますね。タブレットの携帯性と、ノートPCとしても使える高機能性を兼ね備えた“2 in 1”のデバイスで、着脱式のキーボードや手書き可能なペンなどを用いて多様な使い方ができるのが特徴です。
MZ:カラフルな製品展開も、目を引きますね。カフェなどで手軽に使っている人も見かけます。ターゲットはどのような層ですか?
青木:メインはビジネスパーソンですが、最近は大学生をはじめとした若年層、また女性ユーザーも増えています。Surfaceはモバイル性と汎用性が高く、仕事にも遊びにも用途が広く使えるデバイスです。だからこそ、我々はタブレットやPCなどのモバイルデバイスを持ち歩く人すべてがターゲットだと考えています。この2年半で認知も広がり、ユーザーの裾野はかなり広がっている状況ですね。
動画広告をプレミアム面に絞って出稿したい
MZ:Surfaceではこれまで、動画広告には積極的だったのでしょうか?
松田:そうですね、積極的な方だと思います。私は製品横断的にデジタル施策に関わっていますが、Surfaceでは以前から動画広告を使っていました。ただ、プレミアム面に絞った出稿の選択肢が少なく、媒体とのマッチングを重視して出稿できないかと思っていました。そんな折、Teadsさんからご提案をいただいて、プレミアム面のみに出稿できるということで、試してみることにしたんです。
MZ:各国のマイクロソフトから成功事例や商材の紹介などもあるのですか。
松田:ありますね。当社の広告展開においても、デジタルの比率は高まっており、最近では特に動画広告の活用が進んでいます。メディア環境の違いやプレーヤーの進出状況から、日本ですぐに真似できるものばかりではないのですが、Teads社はすでに日本でローンチしていたことと、海外での実績が分かっていたのでスムーズでした。
青木:Surfaceに限らず、当社では新しい施策をわりと積極的に取り入れていますね。その施策が浸透すると、ユーザーも慣れてしまうので、いち早く試すことで知見も先行者メリットも得られると考えています。
記事コンテンツの中でいかにキレイに広告を見せるか/動画広告の最適な形を追求
MZ:Teads社のインリード広告は、すでにグローバルのマイクロソフトで採用されていたんですね。現在の事業の状況を教えていただけますか?
田中:当社はフランス発のスタートアップで、2011年に設立しました。プレミアム面に絞ったインリード広告を扱っていて、現在は世界26都市で事業を展開し、2,000以上のクライアントに活用されています。ワシントンポストやフォーブスをはじめ、500以上のプレミアムパブリッシャーと提携しており、日本だと朝日新聞デジタルをはじめ、東洋経済オンライン、産経デジタル、ロイターなど多くのプレミアムサイトで配信が可能です。
MZ:やはり、プレミアム面のみへの出稿は、広告主には魅力なのでしょうか。
田中:そう思いますね。特に当社では、媒体とのマッチングだけでなく、記事コンテンツの中でいかにきれいに広告を見せるかという視点を重視して、媒体社とともに広告枠の開発も行っています。そのあたりも、ブランド企業には信頼をいただいていると思います。
MZ:具体的に、今回SurfaceのキャンペーンでどのようにTeads社のインリード広告を使われたのでしょうか?
青木:時期としては4月と6月の2回、活用しました。春商戦で試してみて手応えがあったので、6月に発売されたLTEに対応した新製品「Surface 3」のキャンペーンでも採用しました。
「ユーザーに強制的に動画を見せない」Teadsのインリード広告
MZ:4月の初回出稿で配信した媒体とクリエイティブ、効果などはいかがでしたか?
松田:この時点ではトライアルの位置づけでしたし、Teads社も提携先を増やしているところだったので、掲載したのは数媒体でした。テレビCMの素材を活用した30秒の動画です。
効果については、動画広告自体の評価指標を当社でも試行錯誤しているのですが、このときは完全視聴率を判断材料にしました。インリード広告はスクロールすればすぐにスキップできてしまいますが、意外と最後まで見ていただいた方が多かったです。
MZ:確かに、ある程度視聴しないと目的のコンテンツを見られないプレロール広告と違って、インリード広告はスキップするのが簡単ですよね。
田中:むしろ当社としては、スキップしやすいようにと考えているんですよ。経営陣の話からも、ユーザーに強制的に動画を見せないという姿勢が徹底されていると常々感じています。スクロールすれば消えますし、音はポインターをあてないと出ません。また、媒体によってはインリード広告の枠自体を閉じるボタンも付けています。
MZ:それなのに、予想以上に完全視聴率が高かったと。
松田:おそらく、媒体に来ているユーザー層と、Surfaceに興味を持っていただけるユーザー層がマッチしていたからだと思っています。
読者の満足度を重視する、プレミアム媒体社と一緒に広告枠を開発
MZ:4月のトライアルを経て、6月にはどのような展開をされたのですか?
青木:投下量は大きく増やしたわけではありませんが、媒体数は広げました。インリード広告の枠も、Teads社と各媒体との広告枠の開発が進んだことで、変わりましたね。
田中:2月の時点ではほとんどの媒体で、広告枠が記事コンテンツの下にあったのですが、1社ずつ交渉させてもらって、4月の時点ではいくつかの媒体で記事の中ほどに枠を設けることができました。
MZ:かなり密に、媒体社とすり合わせをされているんですね。
田中:はい、それも当社の強みだと思っています。とにかく広告の売上を伸ばしたいという媒体社もありますが、当社がお付き合いしているプレミアム媒体社はいずれも、読者の満足度を非常に重視されています。インリード広告枠を設けることで、コンテンツの離脱率やページの滞在時間はどうなるか、あるいは編集部に寄せられるクレームもチェックされていますね。それらに影響がないことを確認し、納得して導入いただいています。
MZ:ちなみに、プレミアム広告は在庫が限られるという話も耳にしますが、今回はそういった課題はなかったのでしょうか?
田中:在庫は問題ないですね。日本では現在、雑誌系やポータル系など40サイト弱と提携していて、月間約450万完全視聴の広告配信が可能です。今さらに、提携先の拡大に力を入れています。
動画視聴から実際のアクションへ、高まるVPAIDフォーマット展開への期待
MZ:日本での動画広告はプレロール型が先行し、インリード型は多くない印象です。それは今後、変わっていきそうでしょうか?
田中:動画コンテンツの大半をYouTubeが占めているので、おのずとプレロール広告が先に広がりました。ただ、広告主はプレミアム面に出稿したいだけでなく、ユーザーのシチュエーションに合わせて自社ブランドを発信したいと考えるようになっているので、プレミアム媒体をネットワークすることで、“人”を捉えたアプローチが可能になります。その点で、これから活性化していくと思いますし、結果的に動画広告市場を広げることにもなると考えています。
MZ:では最後に、今後の課題と展望をお聞かせいただけますか?
青木:今回はテレビCMを流用しましたが、今後は配信面とのマッチングも考慮したクリエイティブ展開を視野に入れ、より効率的にオーディエンスへリーチし、同時により効果的にメッセージを届けていきたいですね。
松田:効果測定指標も、もう少し明確にしていければと思っています。数値だけを追っているとユーザーの動きが見えなくなるので、定量と定性の両輪で効果をみていければ。Teads社にも、動画広告の評価指標を一緒に考えていただけることを期待しています。
田中:今、ブランド訴求力があるビデオ広告の最後の部分にインタラクティブ性を持たせるコンテンツを配信する、VPAIDフォーマットの展開も始めています。こちらだと、ビデオ広告の視聴測定に加えて、サイト誘導への効果を数値で把握できるので、当社でも事例を積み重ねて効果のあるパターンを探っていくつもりです。加えて、インリード広告接触者のオーディエンス分析やブランドリフト調査などにも、力を入れていきます。
ユーザーに強制的に動画を見せずに、高い完全視聴率を叶えるインリード広告を提供するTeads社。
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