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MarkeZine Day 2015 Summer(AD)

テレビ×デジタルの活用で需要を創出! データアーティストが語る、データ活用の最先端

 「新たな需要の創出」の重要性を唱えるのはデータアーティストの山本 覚氏だ。7月31日(金)に開催した「MarkeZine Day 2015 Summer」では、テレビの放映データとデジタルデータを駆使して需要をつくり出し、購買行動に入る前からのオムニチャネル——ユーザー行動の最適化について、さまざまな実例やテストケースを交えて提案した。

ウェブマーケティングには、需要創出が求められている

 さまざまな顧客行動を可視化し、チューニングを図ることで成果を高められるウェブマーケティングの世界では、需要の刈り取りばかりが進み、ビジネスが行き詰まることもしばしば起こっている。「本質的には、新しい需要を生み出していくことが求められると考えている」と語るのは、データアーティストの山本覚氏だ。

 東大大学院のイノベーション政策研究センターにて人工知能を研究してきた山本氏は、その経験を元に同社にて現在LPOツールをはじめとするシステム開発や、大手代理店との協業などによるデータを駆使したマーケティング支援に取り組んでいる。

 経営理念に掲げているのは「論理をシステム化し、ひらめきに集中する」ということ。「人工知能やデータを駆使して、システムで解決できる部分はシステムに任せ、人間は人間でしかできない仕事に集中できるようにしたいという思いで事業に取り組んでいます」と山本氏。

データアーティスト株式会社 代表取締役社長 山本覚氏
データアーティスト株式会社 代表取締役社長 山本覚氏

 同社が提供するLPOツール「DLPO」は、4年連続で国内LPOツール売上No.1を誇っている。そのためLPOのイメージが強いが、メインで展開しているのはLPOを含む認知から購入までのデータを統合したソリューション開発およびコンサルティングだ。ユーザーの一連の行動を最適化し、オムニチャネル化を支えている。「認知から始まる購買行動の最適化に加えて、今、テレビのデータを掛け合わせて認知以前に働きかけることに取り組んでいます」と山本氏は語る。

LPOで重要なのは「この来訪者はどんな人なのか」を知ること

 一般的に購買行動の流れには、認知、興味、欲求、購買の各段階がある。この最後の部分にかかわるのがLPOだ。検索や広告からサイトへ流入したユーザーに対し、最適なもてなしを図って効果を最大化する。最適化というと、ABテストなどを通して、具体的にどうサイトを改善するかに注目しがちだろう。しかし山本氏は課題と改善点の発見、そしてユーザーの過去の行動履歴に基づいたターゲティングが重要だと語る。

 例えばサイト内の行動情報からは、いつ・どこからアクセスしているのか、どの広告から流入したのか、どのページを回遊したかを知ることができる。加えて、DMPを介して得られるさまざまなサイト外の情報を踏まえると、かなり精緻なターゲティングを行うことができる。「ユーザーはサイトに来た時点で、一人ひとり考えていることが違います。それに応じてコミュニケーションをプランニングすることも、オムニチャネルの思想のひとつだと考えています」(山本氏)

ターゲティングを支える技術
ターゲティングを支える技術

 ちなみにDLPOと連携しているDMP「IntimateMerger」はユーザーカバー率が高く、来訪するユーザーの姿を相当詳しく把握することができる。これにより、同社がサポートする企業事例では、直帰率やCVRなどについて大幅な改善が見られている。

 「Intimate Merger」では、個々のユーザーが日々検索しているワードのサンプリングも可能だ。ネットショップ開設サービスを提供するある企業では、その情報を活用し、ユーザーの関心を踏まえてLPを改善。CVRが数10%向上したという。

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コトとモノの「意外なつながり」を見つけ購買喚起へ

 このように、LPOは一見すると購買に近いところでの最適化と思われがちだが、もう少し離れた興味や欲求を持つ段階に位置する、SNSや各種のオウンドメディアで接触している情報などのデータを使うことでも、より精度を上げていくことができる。さらにこうして集めた情報は、LPOだけではなくDSPや動画広告、PRなどへも活かせる。「あらゆるインプットを統合して分析し、それぞれのアウトプットに活かす。これも購買行動を最適化するオムニチャネルのひとつだと考えています」(山本氏)。

 さて、ここまではあくまで、すでにある需要をできるだけ捉えるための考え方だ。山本氏は「ここからが本題」とし、テレビの放映データを使った需要の喚起を提示する。高度な人工知能による分析システムで、“コト”と“モノ”との意外なつながりを見出し、戦略的に需要を生み出すという取り組みが進んでいるというのだ。

 意外なつながりを見出すとは、どういうことだろうか? 山本氏は効果のあった分かりやすい事例として、あるスポーツ飲料を挙げる。一般的にスポーツ飲料は夏によく売れ、冬に売上を上げるのは難しい。だが、このスポーツ飲料を販売する企業は「乾燥する冬には体も乾いている」という文脈で、購買を促す広告キャンペーンを展開。大きく売上を伸ばしたという。

潜在需要を創出するテレビを活用せよ!

 「この事例では、コトとモノのつながりをテレビCMなどの広告に活かしました。ただし、ここで言いたいのは、テレビCMを打ちましょうという話ではありません。実は、テレビは潜在的にさまざまな需要をつくり出している。それに便乗しない手はない、とお伝えしたいのです」と山本氏は続ける。

 テレビに露出した情報は、実際に人の行動に影響を与えている。例えばデータアーティストでは、2015年春に相次いで新商品が市場に投入された、ある食品カテゴリ「A」に関してテスト分析を実施。すると、テレビで「A」が取り上げられた当日~1週間以内程度のタイミングで、「A」の検索数とツイート数が明らかに上昇した。こうした行動にも表れているように、関心が高まって購買へつながることも容易に想像できる。取り上げる情報によって、テレビは確かに潜在的な需要を生み出しているのだ

商品カテゴリ「A]のツイート数

 ちなみにテレビに露出した情報は、データアーティストと提携する協力企業が24時間365日モニタリングし、データベース化している。これを分析システムに導入し、意外なつながりを機械的に発見しようという試みを、同社とデータアーティストは連携して展開。目下、具体的に企業が活用できるソリューションを開発中で、秋口には提供開始を予定している

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トレンドと自社商品との意外なつながりを見つける

 現在開発中のシステムでは、いつどのようなキーワードがトレンドになっているのかを可視化し、自社が扱う商品などとの関連を見出せることが、第一の機能だ。この分析結果を例えば前述のDMPに取り込んでLPOに反映すると、LPのバナーをトレンド情報に合わせて変えるといった施策を行える。適切な商品、あるいは同じ商品でも適切なメッセージを表示させることが可能だ。

 先の食品カテゴリ「A」を例に挙げると、仮に自社が「A」あるいは類似カテゴリの商品を扱っていた場合、テレビでの露出によって潜在需要が高まったタイミングでLPに「A」や関連商品のバナーを掲出すれば、誘導効果が期待できる。さらに、「A」や関連商品のどういった部分を強調すべきなのかといったクリエイティブの部分でも、ターゲットの属性や趣味・趣向、バナー枠の特性などを分析して調整し、効果を引き上げることが可能だという。

 「A」そのものや関連商品を扱っているなら、マーケターが自分で考えて操作することも難しくはない。だが、その方法では限界がある。前述のシステムでは、膨大な情報量を素早く分析することで、人的な作業では見出せない関連性を瞬時に見つけることができる。そのため、トレンドを逃さず、効率的なアプローチを重ねていけるのだ。

 「テレビでよく語られているワードは、それだけ人々に刷り込まれているキーワードなのです。これらと自社とのつながりを見出して活かしていく方が、元々浸透していないキーワードを活用するよりもずっと大きなマーケティング成果を得られるはずです」(山本氏)。

土用の鰻ならぬ「卵」、データとアイデアの力でブームを起こす

 また、購買というゴールではなく、広報活動におけるプレスリリースの記事化といった課題にも、テレビの情報は活用できる。データアーティストではこのシステムを活用し、大手広告代理店の広報活動を支援。ほぼ時差のないタイミングで、トレンドワードをプレスリリースに組み込みながらPDCAを回したところ、実際にメディアに取り上げられる数が増えているという。

 コトとモノの新たな結びつきをマーケティングに活用すれば、これまでにない需要を生み出すことができる。その実践を兼ねて、直近でデータアーティストでは「土用の丑の日」のうなぎに代わる別のヒット商品の創出に取り組んだ。

 7月によくテレビに登場する食材、年間の推移、うなぎとの関連や近年のトレンド上昇などを分析した結果、「卵」が最有力候補に。実際に流行させるべく、PR目的で企画や調査を実施した。例えば、人工知能領域で流行の兆しを見せているディープラーニングという人工知能に「卵」を学習させた結果をSNSに投稿するなど、話題化を図り、予想を超える反響を得ているという。

 「実は『土用の卵』は文化的にも存在していたこともあり、本当に7月は卵の需要が伸びました。すでにある需要をオムニチャネル的にパーソナライズして効果を引き上げるとともに、こうした新たな需要の創出に今後も力を入れていきます」と山本氏。テレビのデータを活用し、“コト”と“モノ”のつながりを見出せるソリューションのリリースが待たれるところだ。

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この記事の著者

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2015/09/04 11:00 https://markezine.jp/article/detail/22931