「タダ」をキッカケに、コンテンツ販売を伸長
「これから注力して取り組みたい」と語るコンテンツ事業の報告では、最初に電子コミックの成長が紹介された。現在は約3万2000タイトルをラインナップしている。「タイトル数が増えれば、情報料(収入)も上がってゆく」と述べた。
特に、1話目を無料で読ませるサービス『タダコミ』が人気だという。有料の2話目以降を読みたくさせるという仕掛けで、「(ユーザとCPに)Win-Winの関係ができている」と述べた。このほか、タイトルの検索結果にCPのダウンロードページへの誘導導線を設置したり、端末にビューアのアプリをプリインストールするなどの取り組みも売上拡大につながっている。
この"無料コンテンツからの集客"という手法はゲームや音楽の分野でも成功を収めている。無料でゲームを楽しめる『タダゲーム』は、1番組あたり視聴数平均が4万回/週に上る。同じく無料の音楽情報番組『タダ歌ばん』では誘導先のサイトでのコンバージョンレートが高いとCP各社に好評だという。
ゲームコンテンツ全体の売上については「3Gへの移行が遅れている」(同雨宮氏)と現状を認めたうえで「昨今3Gの機種が増え、従量課金・月額課金どちらも売上が伸びている」とした。
音楽については「ソフトバンクとして、もっと力を入れていかなくてはならない分野」と指摘。前述の『タダ歌ばん』のほか、新い取り組みとして音楽サービス『S!ミュージックコネクト』が紹介された。PC用の音楽プレイヤーと音楽ポータルサイトを一体で提供し、WMAの楽曲を携帯電話端末に転送して楽しめるというサービスだ。競合社の同様サービスを徹底的にベンチマークしてユーザビリティを分析。「後発である分、使いやすさににこだわった」とアピールした。
機能による差別化から、ユーザビリティによる差別化へ
さらに「携帯電話がどんどん便利になり、もっと手放せない端末になってゆくのは、キャリアとして喜ばしいこと」と語り、ソフトバンクモバイルでも『おサイフケータイ』のマーケット構築に積極的に取り組んでいるという。ユーザビリティ向上(アプリのプレインストール)やプロモーションによる効果が上がっている。
今後のソフトバンクモバイルの方向性について「多少個人的な見解」と前置きした上で「携帯電話は、機能面の差別化から、お客様にとって便利な機能の差別化になってゆくのではないか」という見方を示し、「ユーザーの求めるコンテンツやサービスをユーザー視点で提供してゆく」と、ユーザビリティへのこだわりを強調。「CP、ユーザーとともに、新しいモバイルインターネットを推進していく」と力強く語った。