モバイル版「Google AdSense」が拓く、インターネット広告の新たな価値
なお、グーグルではソフトウェア開発におけるキャリア間の隔絶を撤廃するようなインフラ構築にも着手している。携帯電話向けプラットフォーム「Android」は、無償のオープンソースライセンスとなっており、その上に構築されたソフトウェアについては著作権によって保護される仕組みだ。Lagerling氏はあえて「Android」に言及した理由を次のように述べた。
「『Google AdSense』でもなんであろうとも、携帯でPCと同等の恩恵を享受するためには的確なブラウザが必要。『Android』はその環境づくりに大きな価値がある」
つまり、グーグルのあらゆるサービスが連携し合い、端末やキャリアの違いに関わらず、情報検索・閲覧が可能になることで、インターネット広告の裾野が広がり、より高い価値を生み出すことを意図しているわけだ。
現在、インターネット内のコンテンツは、ブログやSNSの普及もあり、飛躍的に増加しつつある。たとえ個人のサイトであっても、『Google AdSense』に対応すれば、容易に広告出稿の場としての価値を提供することができる。モバイルによって閲覧の頻度も向上し、グーグルのアルゴリズムが適応されて広告とユーザーの親和性が高いものになれば、いっそう広告価値は向上するだろう。それはすなわちサイトオーナーや広告主にとって喜ばしいことである。
「グーグルのサイトの閲覧時間は短ければ短いほどいい。それは、ユーザーが欲しい情報をすぐに手に入れたということだから」とLagerling氏は語る。PCサイトでの広告配信において大きなアドバンテージを持つ同社だけに、携帯サイト進出の効用は大きく期待される。2007年9月のサービスが開始されてから既に、導入サービスも複数登場しているという。インターネットの巨人が、携帯市場にどのような風を送り込むか、今後もグーグルの動向から目が離せない。