10年以上も蓄積した分析ノウハウが集結「Power BI」
Azureの高度なデータ分析機能では、具体的にどのようなことができるのだろうか?
相澤氏は「特に優位な点は、素早くかつ多様な切り口で行える現状分析と、機械学習を通した精緻な未来予測の2つです」と語る。
「現状分析には『Power BI』というソリューションが有効です。Azureでの基本となるデータベースの『Azure SQL Database』とつなげることで、データ分析のための包括的なサービスを利用できます」。
これにより地域別や顧客層別など、さまざまな切り口でデータを即座に切り出すことができる。例えば良品計画では、「無印良品 ネットストア」などの利用者から日々集まる膨大なデータを分析。分析結果に基づいた割引などのオファーが、適切なタイミングで行えるようになった。また「Power BI」には、過去10年以上にわたってマイクロソフトが蓄積してきた分析のノウハウが反映されているため、直感的に使えるインターフェースでありながら、「分析の深さについては大きくアドバンテージがあると考えています」と相澤氏。
他方、未来予測とは、前述のパーソナライズアプローチなどを可能にするもの。こちらは「Azure Machine Learning」という機械学習ソリューションが有効に働く。データベースと接続することで精緻な予測分析を行い、適切なターゲットへ適切なアプローチをすることができる。
注目集まるマシンラーニングで予測分析に高い成果
そもそも、この機械学習機能は、マイクロソフト自体が自社製品の潜在顧客へのアプローチに活用していたものがベースになっているという。「当社の研究開発部門であるマイクロソフトリサーチで開発したのが始まりでした。その後、1998年にHotmailの迷惑メール除去機能に採用したのを皮切りに、最近では英語をはじめ6言語の音声認識と翻訳を行うSkype翻訳など自社製品のマーケティングに活用してきました。その仕組みを、体系立ったソリューションとして展開したのです」と相澤氏。
「Azure Machine Learning」でも、すでに複数の成功事例が挙がっている。例えば、全国でさまざまな講座を展開する朝日カルチャーセンターでは、ユーザーと講座のマッチングに導入し、効果を発揮しているという。各ユーザーの属性やサイト内行動を学習し、運営している相当数の講座の中から、そのときレコメンドするのに最適な講座をピックアップ。そして受講者に対して最適な講座が表示されるよう自動的に変更を行い、Web画面に反映している。
また、売上予測にも効果的だという。スマートフォンやタブレットを使った注文システムを飲食店などへ展開するIT企業のセカンドファクトリーは、現場で得られる知見を活かそうと、同システムを使って昨年から夏に江ノ島で海の家を自社運営している。今年は「Azure Machine Learning」を使って、昨年のデータを元に売上予測モデルを作成し、材料を過不足なく仕入れられるように試みた。すると、予測と実際の状況がかなり合致し、販売の機会を最大限に捉えられたそうだ。