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DMP導入にあたり、ANAとキリンが乗り越えてきた壁と活用の道筋~組織体制から社内理解の得方まで

トップダウンでDMPを導入したキリンがぶつかった壁

安成:ところでキリンさんの場合は、ANAさんとは逆に、上層部からDMPの導入を進めるよう、お達しが出たそうですが。

高柳:そうですね。デジタルマーケティング部では、「お客様の行動データや反応からインサイトを獲得し、最適なおもてなしを実現する気づきを得る」「今の、これからのお客様とのデジタルのタッチポイントを通じた顧客体験を提供する」をミッションに掲げていることもあり、お客様のデジタル化が進んでいる今、キリンが取り組まない手はないだろうと。

安成:実際、どのように導入していったのでしょうか。

高柳:キリンはAWSを使ってほぼオリジナルでプライベートDMPを構築しました。というのも、当時はまだ様々なチャネルを一元管理できるソリューションがなかったためです。ただ、今はまだデータを蓄積している段階で、本格的な活用はこれから。試行錯誤をしている段階です。

安成:トップダウンで導入したこともあり、現場での運用もスムーズに進んだのでしょうか?

高柳:いやいや。上層部は積極的ですが、逆に3つの事業会社のマーケティング部の現場では、まだデジタルを使い慣れていない側面もあり、実際の施策でどのように活用するのか、イメージがわかないという問題がありました。理想はわかるが、なかなか具体的なところまでドライブがかからないというところが一番の壁でした。

安成:ちなみに、デジタルにあまり詳しくない部署の方には、DMPを何と説明して理解を得ていったのでしょうか。

高柳:“お客様リストを作る場所”だと説明しています。DMPを理解してもらうために気をつけたポイントが2つあります。「普段使っている言葉を使って、共通言語を作ること」「具体的にわかりやすくすること」です。たとえば「キリンの飲料をSNS上でオススメしてくれるお客様に優先的にキャンペーンの案内を届けたほうが喜んでいただけるのではないでしょうか?」と説明すると、「たしかにそうだよね」とすんなりわかってもらえて、「他にもこういうことはできないの?」と現場の方々からもアイデアが出てきたりもする。DMPという言葉を意識させないことが大事なんです。

安成:では最後に、今後の展望について教えてください。

高柳:キリンのブランドのフィロソフィーである「Quality with Surprise」は、私なりの解釈だと、お客様に感動を与えるということ。これをDMPを活用することで実現していきたいです。キリンのファンの方たちが来てくれる工場をはじめ、まだまだ活かしきれていないタッチポイントをデジタルと絡めて活用を進めていこうと思っています。また、弊社のCMOの言葉で「サイエンスにはハートが必要」というのがあるのですが、規模より精度を大切に、お客様や一緒に働く仲間のことを大切にしながら、お客様が感動を感じられるようなデータ活用を進めていきたいですね。

西村:デジタルを活用して、ANAのサービスをお客様にとってもっと便利で温かいものにしていきたいと思っています。具体的な取り組みとしては、iBeaconを使ってアプリで空港内の道案内をするサービスを始めました。ANAのサービスは便利でクールだと、お客様に選んでもらえるきっかけになればいいなと。

安成:今日ご登壇いただいたANAとキリンの2社は、DMPの導入過程は異なっていたものの、お客様へのおもてなしを実現したい、ブランドのファンを育て良好な関係を築いていきたいといった、データ活用の先にある目指している目的は同じだということがわかりました。今日は貴重なお話をありがとうございました。

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この記事の著者

野本 纏花(ノモト マドカ)

1983年生まれ。成蹊大学経済学部卒業。大学卒業後、大手IT企業にてレンタルサーバーサービスのマーケティングを担当。その後、モバイル系ベンチャーにてマーケティング・プロダクトマネージャーを務める傍ら、ライター業を開始。旅行関連企業のソーシャルメディアマーケターを経て、2011年1月Writing&Marketing Com...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2015/11/10 08:00 https://markezine.jp/article/detail/23321

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