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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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MarkeZine Day 2025 Retail

MarkeZine Day 2015 Autumn

ブランド体験の提供・売上最大化を目指して、メガネスーパーとギャップジャパンが進めるオムニチャネル

進むLINE活用、両社は何を狙うのか

石黒氏:川添さんがLINEについて触れられましたね。LINEは近年定着した強力なチャネルの1つだと思います。こちらは、現在どのようにつかわれていますか? また、今後考えられる使い方は何でしょうか。

川添氏:メガネスーパーではLINE公式アカウントが1つと、LINE@のアカウントが2つ、加えて、全店舗でアカウントを持っています。そのなかで、公式アカウントは月に2回、主に店舗のキャンペーン情報とクーポンを必ず配信しています。

 クーポンを配信する理由は、やはり送客効果が最も高いからですね。毎回送信をしてもROIに良い結果として反映されます。メガネはいつ買い替えが起こるのか我々では把握が難しい商材です。普段から高頻度でクーポンを提供することで、買い替えの時に「メガネスーパーからクーポンが来てたな」と思い出してもらうという戦略ですね。

 一方、LINE@は「お店トーク」という問い合わせの機能があるので、前回購入された方であれば会員IDと購入数をご連絡いただくと、LINEからコンタクトレンズを注文できる体制を作っています。

遠藤氏:LINE@でオーダーを受けるというのは、実際いかがですか?

川添氏:まだ件数として少ないですが、すでにLINE@経由のリピーターも存在します。「前回と同じものを」とメッセージを送れば注文できるみたいな。とはいえ、LINEで注文ができることや、そもそもコンタクトレンズを通販で購入できることの認知を高めていく必要があると考えています。拡大していくには地道な努力が必要ですね。

遠藤氏:なるほど。Gapの場合は、LINEを立ち上げたのが今年の8月からです。LINE活用の目的は3つ持っていて、1つ目が「ブランドのニュースをきちんと届けること」、2つ目が「GAP MEMBERSHIPのプログラムに誘導すること」、そして3つ目が「ビジネスコネクトでLINEをビジネス・プラットフォームとして、売上を上げるためのツールとして使うこと」です。現段階で達成できているのは2つ目まで。3つ目はこれから着手したいと考えています。

 オンラインのアカウントとLINEのアカウントをきちんと紐付けて、お客様が気に行ったり、品切れで買えなかった商品を登録しておくと「もう少しで売り切れちゃうよ」とか、「あの商品が入荷しました」とかいったメッセージを送れたら、よいコミュニケーションになるのではないかと思います。

有用なデータ、使いたいデータとは

石黒氏:具体的なデータの話についても伺いたいと思います。このデータを持っていてよかった、逆にこのデータがあれば良いのに、と感じるものはありますか?

川添氏:持っていて良かったのは、メガネの度数のデータですね。店舗で購入経験のあるお客さまなら、ECで「前回と同じ度数で買います」と選択するだけで、手間なく購入できます。仕組みはシンプルですがECでの売り上げシェアの約2~3割はこの注文方法なんです。

 ほしいデータというよりも、データの統合ができたら、お店で購入された方だけでなくECのお客様にもDMを送付するとか、統合したデータを分析してDMの精度を上げるといったこともやってみたいですね。もちろん、メールやLINEビジネスコネクトでそれをやることも検討しています。

遠藤氏:しいてあげるなら、お子様の「あり・なし」情報は有用ですね。キッズとベビーのカテゴリーはプレミアムな位置付けなので、カテゴリー別のプロモーションをするときに、役に立っています。

 あったらいいなというデータは、ストアで商品を見てオンラインでお買い物されたお客様をトラックするためのデータ。今はお客様から申告いただかない限り、紐付けができません。すべてトラックできないと、ストアの人間が「どうぞECで買ってください」と言ったときの貢献度合いを測ることができません。マーケティング的にも重要ですが、スタッフのモチベーションを上げるためにも、実現できると良いと思います。

石黒氏:アプリで位置情報を使ってチェックインしてもらえば、実現できそうですね。

遠藤氏:お客様の自然な購買行動に介入するのは、ちょっと違うのではないかと思っています。チェックインのキャンペーンも試みたことはありますが、結局インセンティブのために行動を起こすことになってしまいました。もう少しうまくデータ化できるソリューションがないかと考えています。

石黒氏:この点は、お客様のステージによっても違うのかもしれませんね。最後に、データ活用を推進する上では組織も重要なテーマ化と思います。組織の障害やその乗り越え方があれば、教えていただけませんか。

川添氏:当社の場合は組織自体の障害は特にないですね。あとは時間とお金の問題。どのタイミングで、何をやるかを決めて、着実に進めていきたいです。

遠藤氏:当社の場合、ECの部署はアメリカにあるので、ある意味で組織は分かれています。ですが、毎日電話やビデオ会議をしているので、障害だと感じたことはないですね。むしろ、マーケティングのチーム全体が、自分の担当が何であろうと、“いかに全員で同じカスタマージャーニーを描けるか”が重要だと思っています。そこを意識して、取り組みを続けていきたいですね。

石黒氏:両社ともに様々な試行錯誤をしつつ、着実にオムニチャネル化を進めている姿がうかがえました。本日はありがとうございました。

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この記事の著者

野本 纏花(ノモト マドカ)

1983年生まれ。成蹊大学経済学部卒業。大学卒業後、大手IT企業にてレンタルサーバーサービスのマーケティングを担当。その後、モバイル系ベンチャーにてマーケティング・プロダクトマネージャーを務める傍ら、ライター業を開始。旅行関連企業のソーシャルメディアマーケターを経て、2011年1月Writing&Marketing Com...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2015/12/22 12:00 https://markezine.jp/article/detail/23365

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