SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

直近開催のイベントはこちら!

MarkeZine Day 2025 Retail

MarkeZine Day 2015 Autumn

ブランド体験の提供・売上最大化を目指して、メガネスーパーとギャップジャパンが進めるオムニチャネル

先行発売キャンペーン、ストアとECでの効果とは

 両社の取り組みを受けて、パネルディスカッションがスタートした。

石黒氏:Gapさんは、ブランド体験の統一のためにデータの統合を進めていらっしゃるとのことです。一方、メガネスーパーさんがDBの統合を進めていらっしゃる大きな理由は、ECの利便性向上なのでしょうか?

川添氏:どちらかというと、店舗の利便性向上が大きな理由ですね。従来の店舗での接客は、POSの情報に入っている「前回の度数」や「生活環境などのメモ」といった定性データをもとに商品をご提案していました。ECを拡大していくにつれ、実店舗で購入されたお客様がECを利用して、次にまた実店舗で購入するという流れが少しずつ増えています。ですから、ECのデータがわからないと来店されたお客様に正確なご提案ができなかったり、不便さを感じられてしまう。そこを解決するために、DBの統合を考えました。

メガネスーパーのデータ活用イメージ
メガネスーパーのデータ活用イメージ

石黒氏:店舗の利用をベースにされているのですね。Gapさんは既にデータの統合をされているそうですが、それを活かして行われた施策はどのようなものがありますか?

遠藤氏:昨年、子供服の限定コレクションを展開した際に、銀座ストアでの購買頻度が高いお客様を抽出・招待した、オン/オフラインでのプレショッピング(先行販売)を行いました。「銀座でもオンラインからでも参加できる」というアプローチのメールを送信したところ、オンラインでの売り上げが記録になるほどの結果をえられました。

 実店舗では、お母様がお子様と一緒に写真を撮れるフォトスポットを用意しました。いわゆるソーシャルの“絵作り”ですね。狙い通り、イベントに参加された方はInstagramやFacebookに写真を投稿してくれました。すると、フォロワーやお友達と「先行販売いいなー」「明日から発売だそうですよ」といったコミュニケーションが生まれ、発売期間のセールスにもつながりました。

川添氏:例えばDMならば、セグメントすることで情報を届けるコストを下げられ、リターンの精度があがるというメリットがあります。メールならさらに配信コストが下げられるので、ブランドのロイヤルユーザーに配信しても良いかなと思いますが、それでも特定店舗のお客様だけに案内を出した理由は何でしょうか?

遠藤氏:店舗も限定したコレクションだったからです。「早くしないと売り切れちゃいますよ」という案内ができるので、マイニングした方がメッセージが届くし、精度が上がると考えました。ただ、これをもっと広い範囲でどうするのかという、データの活用はまだ試行錯誤している段階です。

オンラインでのDMノウハウをWebでも

石黒氏:今お話しいただいたのは、スポットでの施策ですね。データを統合することによって、恒常的に行っていきたい施策はありますか?

遠藤氏:今トライしているのが、デニムをお買い上げになった方に、そのプロダクトのライフサイクルが終わるタイミングで、買い替えを促進するようなリピート需要を作るキャンペーンです。

 Gapの主力商品はデニムなどのパンツ、いわゆるボトムスです。パンツはサイズが決まっていて、一定の周期で買い換えるリピーターが多い。ですから「去年、原宿店で購入したデニムの新モデルが出ました。いかがですか?」と1年後にメールを送る。スタッフのコメントを一緒に載せる。そういったことで個人的な信頼関係を作れないかと考えています。進捗としては、まだまだ試行錯誤の段階ですね。

川添氏:当社も、まさに遠藤さんの取り組みに近いことをやりたいと考えています。今Webではできていなくて、店舗の顧客DBを活用していることがハガキのDMです。購入履歴をもとに、月に数十パターンのセグメントとそれに応じたクリエイティブを作成して、メガネのご調整をオススメするとか、クーポンをオススメするといったようなことをしていて成果を得ています。

 これをオンラインでも実現できないかと。DMに関してはクリエイティブの精度や、リターンの精度を上げる仕組みができているので、そのノウハウをデジタル化させたい。ですが、メールアドレスの取得率が低いという課題を抱えています。まずはそこを10万ほどの規模にしないと効率は上がらないのかな、と。

遠藤氏:メールアドレスを取得するために、どのような取り組みをされているのですいか?

川添氏:店舗での記入や、ポイントカードがあるので「メール登録でポイント付与」といったアピールをしています。ただ、オススメするプロセスを店舗で徹底するのが非常に難しい。その点でLINEを活用する方が早ければ、LINEの公式アカウントをビジネスコネクトのアカウントと統合してしまうのも、アリかなと考えています。他にも、電話番号も取得しているのでSMSも注目しています。

次のページ
進むLINE活用、両社は何を狙うのか

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
関連リンク
MarkeZine Day 2015 Autumn連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

野本 纏花(ノモト マドカ)

1983年生まれ。成蹊大学経済学部卒業。大学卒業後、大手IT企業にてレンタルサーバーサービスのマーケティングを担当。その後、モバイル系ベンチャーにてマーケティング・プロダクトマネージャーを務める傍ら、ライター業を開始。旅行関連企業のソーシャルメディアマーケターを経て、2011年1月Writing&Marketing Com...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2015/12/22 12:00 https://markezine.jp/article/detail/23365

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング