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【短期集中】オムニチャネル・マーケティング~実践現場からベスト・プラクティスを探る

「泥臭いことを率先してやる」 オムニチャネル・マーケティング構築プロジェクト舞台裏


 オムニチャネル・マーケティングについて、先進的なサービス事例として考察は多く目にしますが、実際にプロジェクトを進めていく上で、どんな問題が発生するのか、どのような点に注意すべきか、という「現場」からの考察はまだ少ないと感じています。なので今回は、自社のオムニチャネルプロジェクトへの参画経験に基づき、現場におけるプロジェクト推進のポイントやベスト・プラクティスについて紹介します。

いよいよ実践化した「オムニチャネル・マーケティング」

 国内では、ファーストリテイリング、セブン&アイが大規模なオムニチャネル展開を始めており、無印良品、カメラのキタムラ、東急ハンズなども積極的に推進しています。「オムニチャネル・マーケティング」は、CRM、O2O、ビッグデータといったキーワードが融合し、顧客向けのサービスとして形となった一つのモデルです。

 様態は、それぞれの企業が持つ顧客接点やバリューチェーンによって異なるので、サービスの数だけ多様化していくものだとは思いますが、共通して言えるのは、「One to Oneマーケティング」という顧客中心主義の実現に向けた指針であるという点です。

 消費者一人ひとりと適切なコミュニケーションをとりながら、チャネルを意識させない購買体験を提供することで、売上を最大化していくという流れは、大きなトレンドとなりつつあります。

 しかし、こういったワードの理解が浸透しても、いざプロジェクト実践時には現場ならではの課題が多く発生します。これから架空の、小売を展開する企業をモデルケースとして、現場の問題点について幾つか書いていきたいと思います。

敵は社内にあり!? 「社内の壁」がプロジェクトの邪魔をする

 まず、これはどんなプロジェクトに置いても言えることですが、同じ目標を掲げる社内のメンバー同士であっても、所属部署によって意見が異なってきます。ここでは例として、「クリック&モルタル」化プロジェクトを想定します。

  1. オンラインで購買した商品を、店舗で受取ができる
  2. 受け取り先店舗は、ユーザが任意で指定ができる
  3. 上記の機能は、スマートフォンアプリでユーザに提供する

 また、このプロジェクトに関わる部署と、その担当の仕事における価値観を整理すると、概ね以下のようになります。

関係部署の役割と価値観
関係部署の役割と価値観

 そして、プロジェクトが始まると、部署間でこんなやりとりが見られるようになります。

例1

  • EC部門:商品の送り先指定は、ユーザーの住所以外には現状できない。改修するとしても、予算はどこが持つんだ! どうせなら、ITで全て予算を持つべきだ!
  • IT/情シス:マーケティング機能の予算までうちで持つなんて、今までと違うじゃないか!

例2

  • 営業部門:これ以上、店舗の仕事を増やさないでくれ! うちの店舗倉庫に商品を置いてお店で接客するのに、他の店舗やECの売上になるのだけはやめてくれ! ただでさえ24時間営業できるECは有利なのに!
  • EC:ECがなかったら店舗に行くこともないかもしれないんだからECの手柄でもあるだろう!

例3

  • IT/情シス:在庫があるか確認するために、店舗の在庫システムにアクセスできる必要がある? 厳しい要件だ!
  • 販促:何故IT部門は、いつもできないできないばかり言うんだ!

 まさに初めの敵は社内といった体で 「社内の壁」がプロジェクトの邪魔をすることが実際に多くあるようです。サービス同様、組織を挙げてシームレスにプロジェクトに取り組むことが、実現のための重要なポイントだと思います。

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プレイヤーが多すぎてプロジェクトは「カオス」チャネル

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この記事の著者

工藤 元気(クドウゲンキ)

1985年生まれ。㈱ゆめみ取締役。大手小売・飲食・メーカーのマーケティングシステム、O2Oアプリ、CRMの大規模受託開発の企画・ディレクター・営業を兼務し、現在は企業のオムニチャネル推進のためコンサルティング、研究に従事。現場で培った経験を元に、新鮮で現実味のある情報をお届けします。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2015/12/28 15:45 https://markezine.jp/article/detail/23466

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