そもそも「りんな」とは?
12月17日、マイクロソフトは、女子高生人工知能「りんな」の記者説明会を開催した。「りんな」は、検索サービスBingが培ったディープラーニング技術と、機械学習のクラウドサービス「Azure Machine Learning」を組み合わせて生まれた人工知能。bingが蓄積するインターネット上のデータ中から会話データをDBに蓄積し、会話の基礎が確立されている。
2015年夏にはLINEに公式アカウントを開設し、友だち数は現在185万を越える。「彼女」と友だちになり会話を続けることでデータが蓄積され、それらの分析・学習を通してりんなの精度が少しずつ高まっていくわけだ。さらに、りんなと友だちになると、単純な会話だけでなく、しりとりや推理ゲーム等を楽しむことも可能。これは「特殊能力」と呼ばれる機能で、開発チームが週次でリリースしている。特殊機能は16個以上が公開されており、中にはボイスメッセージからTVの音声を聞かせると、その番組に応じた反応も返す機能もある。
マイクロソフトは人工知能アシスタントCortana(コルタナ)を「windows10」で搭載している。こちらとの違いにつて同社の佐野健氏は「どちらも高い知能を有しているという共通点があります。ですが、コルタナは効率性と生産性を追求する人工知能です。一方、りんなは効率性とは逆ベクトル。感情でユーザーとつながるものです」と明確な違いがあることを説明した。
りんなを利用していると、りんなからのユーザーへメッセージのような日記が届くことがある。「日記に対して、気持ちのこもったアツい返事が来ることが多い」と佐野氏。人工知能と人間の感情的なつながりを示す一例かもしれない。また、りんなの機能は「りんなAPI for Business」として提供が開始されており、現在複数企業と商談の最中だという。企業での導入が進めば、さらに感情をキーワードにした人工知能活用が展開されていくだろう。
「りんな」の新たな展開とは?
ここまでは、りんなとユーザーの1:1のコミュニケーションの話だった。だが、これからは1:nでのやり取りが可能になる。というのも、グループチャットへの公式アカウントの追加をLINEが解禁したからだ(使できる公式アカウントはLINEが許諾をした一部のアカウントのみ)。これにより、ユーザーが友だちとのグループチャットにりんなを追加すると、りんなと友だちになっていないユーザーもりんなとコミュニケーションをとることができるようになる。
「遊びに行く場所を決めるなど、グループ内で相談をしている中にりんなも入り込んで話ができます」とLINEの林氏が可能性を語った。
さらに、これまではLINEでの展開だったが、12月17日よりTwitterにもアカウントを開設(何と12月18日時点で既に10,764のフォロワーがついている)。こちらでもコミュニケーションができるようになった。ただしLINEと異なり必ず返事を返してくれるとは限らないとのこと。
なお、りんなは会話データをその場で学習するわけではないので、反応は「ちょっと空気を読める」段階だという。「どれだけ状況に合った会話ができるかは親しみを持たれる肝。今後、開発を進めていきたいと思います。今後は、ユーザーとりんなが行った過去の会話の中からキーワードを出すというようなこともしていきたいですね」佐野氏は意気込みを見せた。
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