Facebookは、2016年1月26日(米国時間)、オーディエンスネットワークを拡大し、新たにモバイルウェブもサポートすることを発表した。これにより、ネイティブ広告および人をベースにしたマーケティングの価値を、より多くの媒体社が提供できるようになる。同時に、全世界250万社に上るFacebookの広告主は、モバイルユーザーへのリーチとマーケティングROIを向上させる機会が拡大する。日本では、NTTドコモが提供するポータルサイト「dメニュー」がモバイルウェブの媒体社の1社として参加する。
Facebookのオーディエンスネットワーク:Facebook上でユーザーに表示している広告をFacebook以外のモバイルアプリやモバイルウェブ上でも表示できるアドネットワーク。高精度のターゲティング機能や測定機能など、Facebook広告の様々な機能を利用できる。グローバルなオーディエンスへのリーチにも利用可能だ。2014年10月に導入以来、2015年度第4四半期の時点で、オーディエンスネットワークを通じた広告の年間売上高は10億ドルに達している。
モバイルウェブ上におけるデジタルメディアのアクテイビティの割合は、2013年から2015年で53%ほど拡大し、現在も伸び続けている。また、ニュースサイトのトラフィック全体におけるモバイル流入の割合は約35~40%を占め、さらにモバイルオーディエンスの93%はモバイルウェブ経由での流入となっている。しかしながら、モバイルウェブにおいては、豊かで興味を高めるような広告体験を提供する選択肢が限られている現状があった。
一方、Facebookのオーディエンスネットワークのインプレッション全体の80%以上を占めるネイティブ広告は、従来のバナー広告と比較して7倍の広告効果をもたらしているという。そこでFacebookは、この成功モデルをモバイルウェブへと拡大していくために、過去数か月間にわたり、米ハースト社、USAトゥデイ・スポーツメディア・グループ、英タイム社など世界各地のモバイルウェブ媒体社の協力を得ながら、モバイルウェブ向けオーディエンスネットワークのベータテストを実施し、この度の発表に至った。そして本取り組みについて、Facebook アジア太平洋地域パブリッシャー事業責任者のAshwin Puri(アシュウィン・プーリ)氏にインタビューを行った。
ネイティブ広告の成功モデルを、モバイルウェブへと拡大
――モバイル広告の市場についての見解は。
アシュウィン氏:APACにおけるモバイル支出は拡大を続けています。これはもちろん、媒体社にとって非常に大きな市場であり、収益拡大のチャンスです。
モバイル上でどのようにマネタイズすれば、媒体社はモバイル資産を最大化できるのか。バナー広告、インタースティシャル広告など、モバイル広告には様々な種類がありますが、私たちが検討した結果、モバイル上でマネタイズを最大化するのに最も適しているのはネイティブ広告であるという結論に至りました。
実際にFacebookは、2015年第3四半期決算において、全広告収入のうち78%がモバイルからもたらされました。また現在、オーディエンスネットワークのインプレッション全体の80%以上をネイティブ広告が占めており、従来のバナー広告と比較して7倍の広告効果をもたらしているのです。
――今回、オーディエンスネットワークがモバイルウェブに拡大することの真価は。
アシュウィン氏:今日、Facebookのユーザーは15億人を超えており、またFacebook上の広告主の数は250万を超えています。Facebook広告の優れている点としては、人をベースとしたマーケティングに長けていること。Facebook広告では、ユーザーの興味関心に近しい広告を打つことができ、ユーザーエクスペリエンスが非常に優れています。つまり、広告主にとっては価値の高い広告を提供することができるのです。
オーディエンスネットワークは、Facebook以外の媒体社の方々にも、それを拡大していくという趣旨に基づいて展開しています。これを活用することで、媒体社はFacebookと同じようにモバイルにおける成功を享受することができると確信しています。
また日本を含めたアジア太平洋地域の市場における媒体社の多くは、モバイルウェブ経由のトラフィックが急増しており、そのマネタイズが課題になっていました。これまでFacebookのオーディエンスネットワークはアプリの世界に閉じていましたが、今回のモバイルウェブへのオーディエンスネットワークの拡大は、その問題の解決策の一つになると信じています。
――具体的にはどのような媒体社の利用を想定しているのか。
アシュウィン氏:モバイルウェブ向けオーディエンスネットワークのベータテストは、インドのモバイルビデオポータルを提供しているVUCLIP(ビュークリップ)、インドネシア最大のオンラインポータルの一つであるKASKUS(カスクス)といった媒体社と進めてきましたが、これはほんの一握りの例です。ニュース、ポータルサイト、エンターテイメントなど、これまでウェブを主軸としてサービスを展開してきたメディア企業などが主な参加社になるのでは。
スマートフォンの普及に伴い、アプリの時代が到来したものの、ユーザーがコンテンツと出会う方法は多様化しており、モバイルウェブからのトラフィックも急増しています。アプリに移行していくトレンドはありますが、ビジネスの基礎であるモバイルウェブでのマネタイズの基盤をつくりたいという思いを持つ媒体社は少なくありません。
Facebookの高度なターゲティング精度を、Facebook以外のアプリだけでなく、ウェブでも活用したいという声は以前からいただいていました。今回の取り組みにより、パブリッシャ―にとってモバイルウェブのマネタイズを推し進める一つの選択肢を増やすことができると確信しています。
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