通常の編集方針と同じ考えをタイアップにも適用
押久保:昨年『MarkeZine』で青木さんにお話をうかがった際、2012年に“メディア化”を宣言され、明確な編集方針に沿って仕入れも採用も行っているとおっしゃっていました(参考記事)。「BRAND NOTE」も、その範疇なのでしょうか?(BRAND NOTEのニュースリリース)
青木:もちろん、そうですね。メディアとしての成長を考えて、以前からtoB事業も視野に入れていました。ただ、やはり一定のボリュームがないとクライアントの要望を満たせないので、タイアップの引き合いはあったものの着手に至っていませんでした。
ユーザーを育てることを優先し、月間PVが1,000万を超えて、ボリュームの点にも応えられるかなという社内的な状況が整ったのが去年のタイミングだったんです。
押久保:昨年のうちに、すでに3社の特集が組まれました。いずれも、通常のコンテンツのように御社の視点を通して、ブランドの姿勢がしっかり伝わります。こうした切り口は、どういう経緯で思いついたのですか?
青木:僕らの本業はECサイトなので、売れないと儲からないという制約の中で10年近く「売るためのコンテンツ制作」を続けてきました。見方を変えれば、これってすべて記事広告だったんですね。その機能を、直販ではなく間接的な販売に活かせば、それはつまり企業の記事広告になるだろうと。
本当に紹介したいと感じる企業の姿勢や商品を、普段の記事と同じように伝えるなら、お客様にとって価値があり、企業にも寄与するコンテンツになる。そう考えて、今のような形になったんです。
中立な立場だから、ブランドのストーリーを伝えられる
押久保:始めてみて、いかがでしたか?
青木:最初の例として、僕らのお客様と親和性が高いと常々思っていた良品計画さんにお声かけしました。ただ、こちらから企画しておきながら、実際トップブランドに対して僕らが何かの役に立つんだろうか……とも思っていました(笑)。
でも話してみると、トップブランドにはその立場ならではの悩みがあった。ブランディングがうまくいっていて、照明がきれいに当たっているからこそ、それ以外のサイドストーリーを自分たちから伝えにくいという状況があったんです。
それを引き出してほしいと聞いたとき、テレビ東京の『カンブリア宮殿』を思い出しました。
押久保:作家の村上龍さんの番組ですね。
青木:ええ。村上さんと小池栄子さんが、企業トップからいろいろな話を引き出していく。あれがもし、社長が一方的にしゃべるなら、聞き続けるのは難しいと思うんです。だから、僕らはあんなふうに企業と受け手の間の中立な立場で、ストーリーを伝えたいと思いました。
押久保:なるほど。では、キリンの加藤さんから、今回のタイアップの経緯を教えていただけますか?
加藤:お声かけしたのは、私からなんです。元々このサイトのことは知っていて、私もはじめはECサイトではなく普通のWebメディアだと思って読んでいました。Webには、新商品発売時などにリーチ目的で出稿することもありますが、今回はエンゲージメントを目的に、エッジの立ったサイトと組みたいと思っていました。