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3周年を迎えた「LOHACO」一大キャンペーン TVCM×ネット広告の重複接触で購買喚起1.4倍に

 スマートフォン版やアプリ版Yahoo! JAPANトップページの刷新、それに伴う広告ソリューションのリニューアルと、近年まさにドラスティックな変革を続けているYahoo! JAPANによる本連載。今回は、アスクルとヤフーが運営する個人向け日用品通販サイト「LOHACO」の3周年キャンペーンを題材に、マス広告とYahoo! JAPANのプレミアムビジョンとの相乗効果について紹介。複数の場所で同一の動画素材に触れることで、認知や購買喚起の向上につながった。

初のTVCMを含めた一大クロスメディアキャンペーン

MarkeZine編集部(以下、MZ):今回は、日用品通販サイト「LOHACO」が昨年秋に実施した3周年キャンペーンについて、詳しくうかがっていきたいと思います。まずは、LOHACOの現状を教えていただけますか?

アスクル株式会社 BtoCカンパニー クリエイティブディレクター LOHACO編成本部 統括部長 岩津 徹氏(写真右) ヤフー株式会社 マーケティングソリューションカンパニー ディスプレイ広告ユニット プレミアム広告 サービスマネージャー 三和雅仁氏(写真中央) マーケティング&コミュニケーション本部 本部長 友澤大輔氏(写真左)
アスクル株式会社 BtoCカンパニー クリエイティブディレクター 
LOHACO編成本部 統括部長 岩津 徹氏(写真右)
ヤフー株式会社 マーケティングソリューションカンパニー
ディスプレイ広告ユニット プレミアム広告 サービスマネージャー 三和 雅仁氏(写真中央)
マーケティング&コミュニケーション本部 本部長 友澤 大輔氏(写真左)

岩津:アスクルは2012年4月にヤフーと提携し、10月にLOHACOを立ち上げました。食品や日用品を中心に、最近は医薬品やコスメも取り扱っていて、サービス開始から3期目にして年間売上約200億円、2015年7月には早くも累計利用者数200万人を超えるまでに急速に成長しました。

 スピーディーな配送が特に強みで、朝10時までの注文で最短当日配送しています。こうしたサービスや品ぞろえから、忙しいF1・F2層に主に支持をいただいています。

MZ:今回のキャンペーンでは、女優の榮倉奈々さんを起用したTVCMが、かなり多く流れていましたね。同じ動画をYahoo! JAPANトップ画面でのプレミアムビジョンにも展開されていました。

岩津:LOHACO初のTVCMでは、15秒、30秒の間にサービス名と世界観をしっかり伝え、最後はアプリ告知へつなげました。榮倉さんが歌う「ひみつのアッコちゃん」のテーマソングも好感度が高かったようです。

 9月末のCM発表会を皮切りに11月まで、2期に分けてTVCMを出稿し、前半にはYahoo! JAPANのプレミアムビジョンでの広告出稿を一週間。後半には取引先メーカー19社とのタイアップを含めた、中央線快速と京浜東北の各1編成(10両)を展開しました。同時にセールやプレゼント企画も行った、一大キャンペーンでした。

マス×ネット広告で認知から購買行動までをつなげる

MZ:背景には、どのような課題があったのですか?

岩津:いちばんの課題は、認知率の向上でした。ユーザー数が順調に伸びているといっても、キャンペーン前の一般生活者における認知率は40%を切る程度。これを、3人に聞いて2人が知っている程度まで引き上げたいと考えていました。

 ひとことで言えば、LOHACOの“メジャー化”を目指したのです。もともとヤフーの協力で、ネットで認知を獲得して集客へという経路は確立していたので、今回はクロスメディアのキャンペーンを計画しました。

MZ:かなりの予算を確保されたと思いますが、そのあたりは経営層とも意向が合致していたのでしょうか?

岩津:サービスをもう一段階ステップアップさせるために、戦略的にTVCMを使って認知を上げる必要があることは経営層ともすぐに合意することができました。同時に、ヤフー側とはネット広告とどう組み合わせるかを相談しました。

友澤:LOHACOは非常にユーザーの満足度が高いのですが、たしかにサービスの認知が低いと、純粋想起で検索窓に直接入力してたどり着いてもらう行動を促せないんです。ヤフーではこれまでもさまざまなリッチ広告の取り組みを行ってきたので、そのノウハウを活かして、テレビとネットを組み合わせる好事例をつくりたいと考えました。

テレビ、PC、スマートフォンは同じ“スクリーン”

MZ:なるほど、純粋想起率が高く指名検索されるブランドは、コンバージョン率も高そうです。

友澤:そうなんです。TVCMはたしかに記憶に残す力があり、幅広い層へのリーチが可能です。つまり認知は上がるのですが、ネット上の行動まで促せない。そこを、同時期にYahoo! JAPANのトップ画面で流し、すぐ隣りの検索窓で検索へ、という行動まで促すことを意図しました。

三和:これまでも、プレミアムビジョンを使った自社サービスのプロモーションにおいて、テレビと組み合わせると相乗効果があるという結果は得られていました。ただ、いずれもある程度の知名度があるサービスだったのが、われわれとしては課題でした。

 通常、新商品や新サービスは誰も知らない状態からスタートするので、認知率が課題のケースで「行動を促せる」という結果を得てLOHACOに寄与しながら、ヤフーとしては今後の事例にできればと考えました。

MZ:今回は、TVCMと同一の動画素材をプレミアムビジョンでも活用していますが、どのような考えがあったのでしょうか?

友澤:テレビもPCもスマートフォンも、同じスクリーンです、今、一日の中でこれら“トリプルスクリーン”に接触している時間はとても長くなっています。そこで今回は、トリプルスクリーンで可能な限りLOHACOに触れてもらい、印象を深めることを意図したので、同じ素材にしました。目的によっては、別の素材のほうが適していることもあると思います。

テレビのみに比べてテレビ×ネットは購買喚起1.4倍に

MZ:では、実際の結果を教えていただけますか?

三和:今回はクロスメディアキャンペーンの効果測定を行うため、TVCM接触とネット広告接触の両方を計測できる調査パネルを使いました。まず課題だった認知率ですが、40%弱がキャンペーン後には65.5%にまで上がりました。

 接触頻度は、当然ながらクロスメディアのほうが上がりました。5回以上接触者の割合は、TVCM(1500GRP)のみだと5割前後、プレミアムビジョンを含めると6割以上。合計接触数が4回以下のユーザーに対して、5回以上だと広告認知率が1.4倍になったことから、クロスメディアによる接触数増が広告認知の向上につながっていると分かります。

MZ:テレビのみと、テレビ×ネット接触の効果は変わりましたか?

三和:変わりました。TVCMのみ接触の場合とクロスメディア接触の場合の広告効果指数を比較すると、広告認知は1.1倍、興味喚起と利用意向は1.2倍、そして実際に検索、LOHACOのページの来訪、購入など何らかのアクションをとった人は1.4倍となりました。

岩津:事実、1週間のプレミアムビジョン展開中に、当時の1日の受注金額が過去最高になりました。さらに、キャンペーン後も認知率などが下がらず、この記録も今現在ではすでに塗り替えている状況です。

キャンペーン期間中のイメージが著しく向上

MZ:知名度が課題のサービスで、TVCM×ネット広告の重複接触が、明らかに認知や行動喚起につながっているという結果ですね。属性別の効果などは、いかがでしたか?

三和:中心ターゲットであるF1・F2層は、もともと知っている人が多かったためか、認知より興味喚起や利用以降の向上が目立ちました。おそらくTVCMを流したことで、メジャーなサービスなのだと興味を持ってもらえたのではないかと。逆にM1・M2層は、認知率やサービス理解度が高まっていました。

岩津:女性への効果でいうと、たしかに好感度の向上に手応えがありましたね。われわれが継続的に行っているブランディング調査からは、競合サービスと比べても、キャンペーン期間中に圧倒的にイメージが向上していました。「LOHACOを使ってこんな生活がしたい」など、世界観に共感いただいたことが分かりました。

友澤:ただ購買を促すだけなら、リターゲティングのほうが効果は高かったかもしれません。ただ、今回の目的として、やはりLOHACOが伝えたいメッセージや雰囲気を見せ切ることが先にあった。それを把握する指標をどう捉えていらっしゃるか、逆に聞きたいと思っていたのですが、やはり好感度などのブランディング指標なんですね。

岩津:そうですね。その上で、売上という実利も得られました。期間中、実際にLOHACOのオーガニック検索や初回購入が明らかに増え、翌月、翌々月を見たときのリピート率も高かったです。

コンバージョンを担うデジタルにはさらに投資してもよい

MZ:先ほど、キャンペーン終了後も効果が下がらなかったというお話がありました。これについてはどうご覧になっていますか?

友澤:GRPにもよりますが、TVCMはインパクトが高い分、効果が瞬間的である場合も多いと思います。以前から、ネット広告が下げ止まりの役目を果たすという結果は、われわれも把握していました。今回もそうした効果があったのでは、というのがひとつと、初回購入後のリピートはサービスの質次第でもあるので、その点だと思います。

 そもそものサービスの質と、コンテンツの質というベースがあるものをクロスメディアで見せたことで、複数接触の効果がさらに高まったのではないでしょうか。

MZ:なるほど。では最後に、今後の展望をお聞かせください。

岩津:一連の施策を通して、デジタルは必須だと実感しました。実際のコンバージョンは、デジタルが担うため、もっと投下してもいいかもしれません。今回は初めての大型キャンペーンでしたが、今後も戦略的に、特に次はスマートフォンも含めて取り組みたいですね。

三和:スマホでのブランディング、そしてアプリへの展開はわれわれの課題ですね。

友澤:そうですね、テレビ×PC×スマホのトリプルスクリーン連携を早急に確立します。同時に、テレビ×ネットでもリターゲティングや検索連動型広告も含めた複合的な施策を、全体的なROIを踏まえてハンドリングできるように、知見をためていきたいですね。

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この記事の著者

MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2016/03/04 11:00 https://markezine.jp/article/detail/23888