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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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MarkeZine Day 2025 Retail

デジタルマーケティングで変わる「おもてなし」

データ活用をデジタル領域にとどめてはいけない、ライオンが目指す「Data To Offline」


「アクロン」を夏場に使ってもらうにはどうすべき?

深田:営業部門から取得してほしいデータの要望は出ていますか?

中村:現段階では、こちらから提案をしています。まだ特定のブランドを対象にスモールトライを続けているフェーズなので。今後、成功体験を重ねていけば要望も出てくるかと思いますし、そこで効果が出れば他の部署でもデータ利用のイメージを持ってもらえるかと考えています。

深田:具体的にどのようなトライをされているのですか?

中村:たとえばおしゃれ着用洗剤の「アクロン」は「毛糸洗い」のイメージが強いため、どうしても夏場は冬に比較すると売上シェアが落ちてしまっていました。この課題を解決するために、2015年の夏、ブランドサイトから得られたデータをヒントに施策を実施しました。

 夏場になるとアクロンのサイトには、「浴衣」「水着」「帽子」などの検索ワードでアクセスされるようになります。そこで、バナー広告・店頭POP・テレビCMで一貫して「浴衣」「水着」の洗濯ニーズを訴求したところ、シェアがアップしました。

アクロンのブランドサイトでは、季節別にアイテムの洗い方等が紹介されている

深田:データから訴求ポイントを決めたのですね。

中村:もう一つの事例として歯磨き剤の「デントヘルス」があります。デントヘルスのサイトはメインキャラクターに北大路欣也さんを据えていて、50代~60代の男性をメインターゲットにしていました。しかし、サイトのアクセスデータを解析してみると、多くの30代~40代女性がスマートフォンからアクセスしていることがわかりました。

 理由をリサーチしたところ、生理や妊娠など女性特有のホルモンバランスの崩れなどから、女性は歯周病になりやすいことがわかりました。そこで、若い女性には歯槽膿漏対策ニーズがある、と仮説立てを行い、若い女性をターゲットにしたメディアキャラバンを実施しました。

 結果的に、女性誌をはじめ多くのメディアに取り上げていただけましたので、データの有効性が示せたのではないかと思います。このような事例を増やしてきたことで、社内からも注目されるようになっています。

オウンドメディアとメディア企業の関係をどう考えるか

深田:以前、楽天マーケティングの濱野さんとお話した際に、メディア運営はデータとユーザーを持つメディア企業にまかせ、広告主は本来のマーケティングに注力してほしいというメッセージを伺いました。

 御社ではオウンドメディアLideaを運営されていますが、企業はメディアを自分たちで持つべきなのか、それとも結果が見えたら楽天マーケティングさんのようなメディアと連携するべきなのか、その点はどう思われますか?

中村:当社は生活情報もサービスの一つと捉える文化があります。例えば、歴史を振り返ると1933年には、洗濯の悩みや質問についてリアルの場で相談を受ける「家庭洗濯相談所」を開設しています。

 我々の持つ多岐にわたる生活情報を役立ててもらうために、デジタル社会の今、現代人が使いやすい形態にしたものがLideaなのです。ですから、Lideaはマーケティング活動そのものですし、情報提供が先に立ったうえで、副次的に、集積したデータを次のコンテンツや他の施策に活かすという発想に立っているともいえます。そのため、他のメディア企業からデータをもらうよりも、自分たちで作ったほうが機能的だと考えています。

深田:確かにECサイトの購入データの場合は、関心を持ったユーザーが購入に至った結果なので、購入一歩手前の層の関心事項などを把握するには足りないかもしれませんね。となると、御社が自前でやる判断を取ったことも頷けます。

中村:加えて、ユーザーのニーズは毎年同じではありません。ニーズの変化を捉えるためにはオウンドメディアのデータが必要だと考えています。リアルタイムで活用できるのは、おっしゃるような購入一歩手前のユーザーの行動データですから。

深田:楽天マーケティングさんの文脈は、ニーズを探すというより、プロモーションへの活用でした。目的が変われば方法も変わりますね。

中村:さらに、私たちは独自のデータを元にした販売店様の支援を目指しているので、当社でデータを持つことは重要です。もちろん、当社で補えない部分を他のメディアと連携することも必要だと考えています。Lideaが得られるデータは当社の事業ドメインの範囲に限られますから。

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課題はユーザーへの啓蒙・メディアとの連携

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この記事の著者

深田 浩嗣(フカダ コウジ)

15年にわたりモバイル領域でのデジタルマーケティングを提供しECを中心に200社以上のWebサイト立ち上げ・改善を実施。2014年、株式会社Sprocketを設立、Web接客手法でコンバージョンを最適化するツール「Sprocket(スプロケット)」を開発・販売する。短期的なCVRの向上にとどまらず、中長期的なLTVの向上を...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

深谷 歩(フカヤ アユミ)

株式会社 深谷歩事務所 代表取締役
ソーシャルメディアやブロクを活用したコンテンツマーケティング支援を行う。Webメディア、雑誌の執筆に加え、講演活動、動画制作も行う。またフェレット用品を扱うオンラインショップ「Ferretoys」も運営。深谷歩事務所公式サイトhttp://officefukaya.com

著書に 『小さなお店のLINE@集客・販促ガイド』(翔泳社)/ 『SNS活用→集客のオキテ』(ソシム)
『小さな会社のFacebookページ制作・運用ガイド』(翔泳社)/ 『小さな会社のFacebookページ集客・販促ガイド』(翔泳社)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2016/04/27 18:32 https://markezine.jp/article/detail/24244

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