話題のCtoCサービス、グロース戦略の過去・今・未来
2016年2月23日、『U30のマーケティング担当が語るCtoCサービスのユーザーグロース戦略』と題したセミナーが開催された。同セミナー内では、フリマアプリを運営するメルカリ、習い事マッチングサービス「サイタ」を運営するコーチ・ユナイテッド、そしてチケット売買サービス「チケットキャンプ」を運営するフンザという、CtoCスタートアップとして注目を集める3社のマーケターによるパネルディスカッションが行われた。
モデレーターは、サイバーエージェントのインターネット広告事業本部、スマートフォン局局長の道廣敬典氏が務めた。同氏は現在の部署に営業として入社後、自社のアドテクノロジーに関するプロダクトの立ち上げに従事した経験を持つ。
「今回のパネルディスカッションでは、過去と現在と未来という形で、サービスとプロモーションとマーケティングについて振り返りたいなと思っています」と道廣氏は語り、登壇企業のマーケティング戦略の過去・現在・未来について聞いた。
アプリリリース10か月後にTVCMを出稿
まず、話し始めたのは、国内で2,400万DLを誇るフリマアプリ「メルカリ」を提供するメルカリの鋤柄直哉氏だ。同氏はオンライン広告をはじめ、テレビやイベントといったオフラインの施策まで統括している。そして、話を聞いて驚くのは、同社のマーケティング活動の展開の速さだ。
「私が入社した時は、アプリリリースからまだ半年程度で、自社内でFacebook広告を運用していた程度でした。しかし、サービスがある程度成長することは予測できたため、すぐに予算を拡大し運用を進めました。リリース10か月後には、TVCMにも取り組んでいましたね」(鋤柄氏)
モデレーターの道廣氏はこれに驚くと同時に、ひとつの疑問を投げかける。それは「リリース10か月のアプリがTVCMを出稿して効果があるのか、また効果検証ができるか」というものだ。この疑問に対し、鋤柄氏は「十分な効果があった」と語る。
「効果検証に関しては、TVCMの出稿期間とそうでない期間のダウンロード数の差異を見て、その差異をCPI(Cost Per Install:1インストールあたりの単価)に割り戻して効果があったかを確認しました。実際の結果としては、オンライン広告のみの時期に比べ3倍近い効果を上げていたため、十分投資した価値がありました」(鋤柄氏)
そして、メルカリの2,400万ダウンロードの理由はこれだけに留まらない。特に注目すべきはクリエイティブに対する考え方だ。「TVCMは誰にでもわかりやすく、オンライン広告はできる限り細かく」をベースに、オンライン広告ではメルカリに集まっている商品ジャンルやユーザーの年齢を軸にしたターゲティングを行い、TVCMは老若男女問わず見て「メルカリとは何か」がわかるクリエイティブ設計を心がけた。
他にも、タレントなどを活用したPRイベントをはじめ、フリーマーケットを実際に開催して楽しみを実感してもらうなど、オフライン上の施策も功を奏し、現在の数字に至ったという。