売る側と買う側、どちらに注力?
これまでの3社の話を聞いて、道廣氏は「売る側と買う側でどういった訴求を意識しているのか」というCtoCサービスならではの疑問をぶつけた。そこでわかったのは、サービスの特徴で変わってくるという点である。
鋤柄氏と松浦氏は、ともに「売る側へのアプローチが難しい」と語る。メルカリもチケットキャンプも、良い商品数が増えれば増えるほど、自然と売り上げが上がってくる。しかし、その良い商品を出品してもらう訴求がとても難しい。
「オンラインの広告で、売り手向けの訴求をするのですが、買い手向けの訴求に比べるとどうしても効果が下がってしまいます。最近では、売り手向けはTVCM、買い手にはオンライン広告と広告チャネルで訴求先を変えるようにしています」(鋤柄氏)
「やはり売り手向けの訴求が難しいですね。CPAも売り手と買い手向けで全然違います」(松浦氏)
一方、「買い手を集めるのに注力している」と語るのは福崎氏だ。そこには、物を売っていない同社ならではの考えがあった。
「実は、教えたい人って意外と多いんです。好きなことでお金を稼ぎたい方が登録しに来ます。ですので、習い事に対しすでに興味がある顕在層、もしくは持ってくれそうな潜在層をいかに集めるかが重要です。また、教えたい人に関しては数よりも地域のカバー率を重要視しています。人の時間を切り売りすることになるので、様々なエリアに先生となる方が散らばっていた方が、多くのユーザーの獲得に繋がります」(福崎氏)
更なるユーザーグロースに必要なもの
ここまで三者から過去と現在について語られたが、どのような未来を見据えているのか。道廣氏が今後の展望を尋ねたところ、「アプリ内でのリターゲティングに注力したい」と鋤柄氏は語る。
「これまで、新規ユーザーを獲得することに重きを置いてきましたが、今後は、LTVや継続率を上げる施策に注力していきたいと思っています。その中で特に効果が出そうなのがアプリ内のリターゲティングです」(鋤柄氏)
福崎氏は、「エリアマーケティングへの注力」と「ストック型ビジネスへの挑戦」を挙げた。
「習い事を決める際の決め手って、近くにあるからとか、ポストに入っていたチラシがきっかけとかいう方はまだまだ多い。昨今、オンライン広告でもエリアを詳細に絞り込めるものも出てきたので、弊社としては、エリアマーケティングを強化していきたいですね。ストック型サービスに関しては、レッスンの教材化を進め、それを蓄積したプラットフォームを構築したいと考えています」(福崎氏)
最後に松浦氏は、鋤柄氏と同様アプリ内のリターゲティングを挙げるとともに、「mixiのデータベースマーケティング」「アプリとウェブのLTVの比較」の2つに注力したいと語った。
「mixi内の1,000以上のコミュニティとチケットキャンプ内のチケットに関する情報を現在リンクさせています。今後もmixiグループとして、グループ内のリソースはどんどん活用したいと思います。アプリとウェブのLTVの比較に関しては、もともとウェブサービスからスタートしたこともあり、アプリ起点の利用者と、ウェブ起点の利用者のLTVの伸びしろを比較して、今後の注力度合を考えたいです」(松浦氏)