Web営業部と二人三脚で進めるコツ
短期間、少人数できっちりローンチにこぎつけ、さらに効果を出している秘訣はどこにあるのだろうか?
現在、取り組みのコアメンバーは高橋氏、久保田氏を含めた約5名で構成されている。この中にはWeb営業部長の田中順一氏も含まれているという。高橋氏らがCRMに責任を持つ立場であるのに対し、オンラインでの売上に責任を持つ立場の人物だ。
実際にMarketing Cloudの導入を決定したのも高橋氏と田中氏の2名だという。高橋氏はWeb営業部との関係を「二人三脚」と例える。CRM側が「質」、Web営業側が「量」と異なるものを目指す中、心がけたのは「客観的に定量で評価できるものを最初に作ること」だという。
「ここがあいまいなまま進めてしまうと、事業として存続できない」と高橋氏。その一方で、導入を検討する初期段階での判断基準は、投資対効果だけではなかったという。「実は、売上の向上など、数字ありきではないんです。やればお客様にとってのハッピーが増える、だからやろう。と決めて、その後で評価基準を定めたことが良かったのかもしれません」(高橋氏)
なくてはならないブランド・店舗であるために
実店舗でブランドを展開しつつ、[.st]という単一のプラットフォームによって、クロスブランドでのコミュニケーションを行う土台が整った同社。「このサイトやお店に来たら、新しいトキメキ・価値を発見できる、とお客様に実感していただける方法を検討しています」と、高橋氏は次の展望を語る。
この点で、Marketing Cloudへの期待も高い。「自由度が高いツールですから、機械学習機能を利用して、集めたデータから我々でも気付けなかった商品の組み合わせを提案するなどの利活用ができればと考えています」と久保田氏は意欲を示す。
「当社の企業理念は“なくてはならぬ人となれ/なくてはならぬ企業であれ”というもの。お客様にとってなくてはならない存在になるために、なくてはならないブランド・店舗とは何なのかを常に考えていきたいですね」と両氏。アダストリアの挑戦はこれからも続く。
カスタマージャーニー研究プロジェクトチームのコメント
加藤:デジタルマーケティングの成功に不可欠なのは、血の通った「顧客視点のコンセプト」。アダストリアさんの場合、「顧客のトキメキ」を軸にしてカスタマージャーニーが再設計されています。そこからシナリオ、データ、クリエイティブなどを組み合わせたMAのプログラムへ展開されることで、理念に命が吹き込まれ機能する。最初の段階で社内外からの声を徹底的に「顧客のトキメキジャーニー」へ反映できている点が、顧客とよりよい関係を生み出す源泉になっているのだと感じます。
押久保:顧客が「○○したい」と思った瞬間を捉えアプローチする、いわゆるマイクロ・モーメントという概念を耳にするようになりました。「顧客のトキメキ」を軸にしたカスタマージャーニーの再構築は、まさにマイクロ・モーメントとつながる思考と言えるでしょう。「トキメキ」という言葉を用いている点も、衣料品・雑貨を扱う企業ならではの感覚で、興味深かったです。
カスタマージャーニー研究プロジェクトとは?
「カスタマージャーニー」、顧客の一連のブランド体験を旅 に例えた言葉。デジタルやリアルの接点が交差し、顧客の行動が複雑化する中、「真の顧客視点」に立って、マーケティングを実践する重要性が増してきました。
カスタマージャーニーに基づいたマーケティングの必要性は、その認知が進む一方で、「きちんと“顧客視点に基づいたシナリオ”を作成し、運用できている企業はまだまだ少ない」多くのマーケターに意見を聞くと、そのように認識されています。
今回、押久保率いるMarkeZine編集部とセールスフォース・ドットコム マーケティングティングディレクターとして、各企業とジャーニーを研究してきた加藤希尊氏を中心に、共同でカスタマージャーニー研究プロジェクトを立ち上げました。本プロジェクトでは、「顧客視点のマーケティング」における成功例を取り上げ、様々なアプローチ方法をご紹介していきます。その他の成功例はこちら。
アダストリアの「トキメキ・ジャーニー」を支えるテクノロジーをチェック!
カスタマージャーニーを再構築し、顧客との新しいコミュニケーションを開始したアダストリア。同社の戦略やシナリオ、コンテンツの例は本記事で紹介されましたが、具体的にはMarketing Cloudをどのように活用しているのでしょうか?
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