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SNS起点で生まれるマーケティングトレンド

炎上から賞賛の嵐へ。OLD NAVYがツイートで伝えたかったブランドストーリーとは

多民族国家が抱える問題に対するOLD NAVYのアンサー

 ドナルド・トランプ氏による過激発言に注目が集まるアメリカの大統領選挙でも、しばしば議論の的となるように、アメリカにおける宗教や民族の多様性は、常にさまざまな議論を呼び、それが社会問題化することも頻繁にあります。

 今回のコンテンツがシェア拡散された最大のポイントは、さまざまな立場の人々がさまざまな意見を持つ人種差別という社会問題に対してOLD NAVYがはっきりとブランドの態度を示したことにあります。多くの人々が関心を持つイシュー(社会課題)に対して、ブランドとしてどのようなメッセージを発信するのか、そのイシュー自体に真摯に向き合うブランドの姿勢が、今回のコンテンツクリエーションのコアになっています。

社会のイシューとブランドメッセージをリンクさせる

 時にエンターテイメントとして、コンテンツの面白さを追求することは、“多くのユーザーに見られる”ためには必要なことです。しかし、ブランドが真に伝えたいストーリーがシェアされ、ユーザーによって“語られる”ことを目的とした場合、拡散させることだけでは達成できません。今回のOLD NAVYの事例は、その一つの方法として、ブランドの考え方や伝えたいストーリーを、すでにソーシャル上で顕在化しているイシューに重ね合わせて発信することが一つの有効なアプローチになることを示しています。

 今回のOLD NAVYの施策については、どこまでが事前に計算されたものなのかはわかりません。しかし、保守層による排他的イデオロギー(政治・社会思想)が存在感を増しているアメリカ大統領選挙の最中に、ブランドが持つ“多様性を尊重する思想”をシンプルな手段で発信したことは強いメッセージ性を持つこととなりました。異人種家族を発端に広く支持を得ることで、結果的に爆発的な情報拡散が生まれ、認知と好意形成につなげることができました。

 胸を打つストーリーを作るために必要なことは、時に誰かに否定されることをも受け入れながら、ブランドの態度をはっきりと示し、勇気を持って伝えたいことを述べることです。今回のOLD NAVYは、メッセージのポストの先にある議論も含めて、ブランドストーリーが“語られる”ことが熱烈な支持を生む原動力となるという証左の事例と言えます。

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この記事の著者

物延 秀(モノノベシュウ)

スパイスボックス 副社長。2006年スパイスボックス入社。プロデューサーとして大手企業のデジタル・コミュニケーションをワンストップで支援し、2012年以降はソーシャルメディアを中心とした「共感」と「話題」を生むコンテンツのプランニングとプロデュース、自社ソリューション開発を統括。2016年に事業統括責任者および執行役員に就任。2017年より現職。自社サービス:インフルエンサーマーケティング支援「TELLER」、コンテンツマーケティング支援「BRAND SHARE」、ROI分析プラットフォーム「THINK」、自社メディア:「newStory」自著:『新ヒットの方程式』~ソーシャルメディア時代は、「モノ」を売るな「共感」を売れ!~(宝島社)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2016/07/15 08:00 https://markezine.jp/article/detail/24772

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