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博報堂DYデジタルで活躍する人材に聞く、デジタルで求められる仕事術

 博報堂DYグループのデジタルビジネスを推進する目的で発足した、博報堂DYデジタル。同社で現在活躍しているプロデュース本部の布山麗央氏とメディア・ソリューション本部の小杉祐美子氏に、デジタルで求められる仕事の進め方、またその実行を可能にする同社の組織体制について聞いた。

デジタル未経験?英文科出身?意外なバックグラウンド

MarkeZine編集部(以下、MZ):今回は、博報堂DYグループのデジタル部門の中核会社として発足した博報堂DYデジタルで活躍されているお二人のキャリアや現場の魅力などを伺います。まず、それぞれの経歴についてお話しいただけますか?

博報堂DYデジタルのお2人
(左)株式会社博報堂DYデジタル メディア・ソリューション本部 メディアユニット
メディア企画グループ プラナー 小杉祐美子氏
(右)同社 プロデュース本部 プロデュースユニット 第四プロデュースグループ グループリーダー 布山麗央氏

布山:私は、グラフィックや映像の制作会社で、5年ほど制作進行を経験してから当社の前身である博報堂DYインターソリューションズに入社しました。

 しかし、入社当時はWebに関しては素人同然で「Flash? HTML?」というレベルだったので、よく採用されたなと未だに思っています(笑)。入社後はアカウントプロデュース、いわゆる制作領域のプロデューサーというポジションでした。その内に、博報堂に常駐してデジタルプロモーションの企画制作やオウンドメディアの戦略立案・制作進行などデジタルに関わる幅広いプロデュースをクライアントと直接向き合いながら、経験してきました。

 現在は、グループリーダーとして部下のマネジメントも行いつつ、引き続き様々なクライアントを担当しています。

小杉:私は、大学時代に広告会社の方が講師をされた授業で広告コミュニケーションの仕事を知り、「絶対に広告業界に入る」と決めました。学科は英文科だったのですが、グラフィックデザインをダブルスクールで学んでデザイナーのスキルを身につけ、制作会社のグラフィックデザイナーとしてキャリアをスタートしました。

 その後、転職を重ねながら、WebデザイナーやWebプラナーを経て、現在はコミュニケーションプラナーとしてデジタル領域を軸にそれ以外の様々なメディアも活用したコミュニケーション全体の設計を行っています。

圧倒的な効果を生んだ、SNSとCMの粋な掛け合わせ方

MZ:お二人ともにデジタルを軸にしつつも、他のメディアに関する経験もお持ちなのですね。これまでに担当された案件で印象に残っているものはありますか。

布山:最近でいくと、とあるブランドのソーシャルメディア(以下、SNS)アカウントの立ち上げ・運用プロデュースを担当したクライアントの製品リニューアル時に行った広告プロモーションに関する案件です。この案件では、リニューアルに合わせてCMキャスティングしたタレントさんのSNSアカウントをCMより先行して立ち上げ、CMの内容と連動する形で運用することで話題を集めた後にCMがONAIRされる、という設計でした。

 起用したタレントさんのSNS上での影響力の大きさをうまく活かし、結果として想定していたよりもさらに大きな反響を集め、リニューアルに大きく貢献できた案件となり、クライアントからも高い評価をいただけました。

 このプロモーションの設計上、先行するSNSアカウントの運用はかなり重要なポジションなので、クリエイティブディレクター、プラナーとも打ち合わせを重ね、社内のソーシャルマーケティングのチームとも連携し、話題を最大化するには、実際どのようにアカウントを開設し運用していくべきかを徹底的に考え抜きましたね。

ファンの心を掴み、CM待ちさせるまでの企画とは

MZ:小杉さんはいかがですか。

小杉:私はスマートフォンゲームのアプリダウンロード促進を目的に行ったプロモーションが心に残っています。

 CMと連動して、CMが放送されてから1時間以内にTwitterで指定のハッシュタグを使ってみんなでつぶやくことで、キャンペーンサイト上でゲームのボスを倒し、アプリのアイテムをプレゼントする企画です。この企画ではターゲットとなる層に対して、どのようにアプローチすることで効果を最大化できるかを考え抜き、CMからSNS、キャンペーンサイトまで、チームで綿密に設計しました。

 結果として、毎日1時間限定のキャンペーンだったにもかかわらず、想定を上回る反響があり、キャンペーン参加者からは多くのポジティブな感想が集まりました。

布山:最終的に「CM待ち」みたいになっていましたよね。

小杉:CMが流れる番組を事前にお知らせしていたのですが、中にはターゲットが普段見ない番組もあって、「なんでこの番組見てるんだろうw でもボスを倒したいから待つ」といったツイートもありました(笑)。このキャンペーンを通じてマス広告にSNSをうまく掛けあわせることで効果も大幅に向上することが理解できました。

厚い信頼があるからこそ、分業を可能に

MZ:ちなみに、お二人が一緒にお仕事をされたことはありますか? もしあれば、お互いの印象を教えてください。 

布山:一緒に行った案件は数少ないのですが、私はとても信頼をおいています。かなり前になりますが、一緒に仕事したクライアントのグローバルサイトをリニューアルする案件では、企画面において本当に頼りになりました。グローバルの案件だったこともあり、多方面に対する調整が大変だったのですが、自分の業務に専念できました。

MZ:信頼をおけたからこそ、うまく分業できたわけですね。

布山:そうしたかったので、小杉さんに私からお願いしたというのもあります。

小杉:私も、絶大な信頼をおけるプロデューサーだと思っています。先述のリニューアルの際、私は今とは別の部署で企画制作を担当していたのですが、プロジェクトがスムーズに進むように調整ごとは布山さんが全てやってくれました。結果として、私はいかに良いアウトプットをつくるかを集中して考えることができました。

MZ:互いに連携し合いながら、お互いの仕事における役割を果たせるのは素晴らしいですね。

総合広告会社でありながら、施策の施行までフォロー

MZ:ここまでお二方のキャリアについてお伺いしてきました。今度は、博報堂DYデジタルという企業として強みを教えて下さい。

小杉:まず、総合広告会社のデジタル領域を担っている点が大きな強みになると思っています。デジタルのみを専門に扱う企業では、極端にいえばWebサイトを使って何かを行うところまでしか発想が広がっていきません。

 しかし、テレビや雑誌、新聞などもデジタル化が現在進んでおり、データも集まっています。広告コミュニケーションは、それらも踏まえた統合的なものであるべきです。

 個々の商品・サービスにとって、本当に良いコミュニケーションとは何かを考えて、例えばCMとSNSを掛け合わせたり、あえて新聞だけで行ったり柔軟な発想ができるのは総合広告会社の強みだと思います。

MZ:確かにそうですね。先ほどお話しいただいた事例も、企画の中でデジタルが必要なだけであって、Webありきの企画というわけではないですもんね。

布山:また、他社であればコンサルティングに主軸を置く企業が多い中で、当社は施策の実行まで携わるという強みがあります。企画プラニングから制作プロデュース、メディアの運用にいたるまで、デジタル全領域のスペシャリストが沢山集まっているので、コンサルティングから施策実行までワンストップで支援できます。さらにデータ分析・活用のスペシャリストもいるので、実施して終わりではなく、結果はどうだったのか、次にどう活かすかを考えるところまでPDCAが回せるところがポイントです。

今後求められる人材像とは

MZ:先日の辻社長への取材(詳しくはこちら)で、貴社はデータ・メディア・クリエイティブの3軸で展開していくと伺いました。お話の中で、お二人はクリエイティブを軸にしていると感じたのですが、データとメディアに関する部門の方との連携はいかがでしょうか。

布山:もちろん、頻繁に連携しています。特に私はプロデューサーなので、クライアントのデジタル担当や博報堂の営業など、社外の様々な方ともやりとりをしています。ご要望も単なるWebキャンペーンをしたいというものから、データを駆使して売上を上げたいというケースまで様々です。

 そのような多岐にわたる案件を、全てプロデュースするわけですが、どうしても私一人ですべての知識を深くインプットしておくのは不可能ですし、専門性も損なわれてしまう可能性もあります。そのため、データやメディアのスペシャリストとの密な連携は必須だと思っています。常に連携を意識することで、自分にも各分野の最先端の知識を取り入れることができ、得意先に対しフロントで話すことができるのかなと。社内では全員同じフロアにいるので、連携しやすい体制にもなっています。

MZ:ありがとうございます。では最後に、今後の展望や野望を教えてください。

布山:デジタル領域のマーケターのほとんどは、何かしら1つの領域のスペシャリストであることが多いのですが、プロデューサーというポジションの人材においては「多様性」みたいなものが今後求められる気がしています。デジタル領域だけではなく、SP制作や動画制作など、多様な能力を持つ人材はとても重宝されるはずなのですが、現在はまだ少ない状況です。多くの人と協業し、各分野のスペシャリストと仕事ができるこの環境でさらに多くのことを学び、インタラクティブプロデューサーとして多様性をもった人材になれるよう日々精進したいと思います。

小杉:昨今データ活用が進むにつれて、広告コミュニケーションが手法やシステムに振り回されがちになっていると思います。

 ただ、伝える先は人間で、感動したり心を動かされたりする本質は、昔から変わらないと思っています。だからこそ、手法ばかりではなく、どうすれば感情が動くのかをテクノロジーに惑わされず突き詰めることが重要です。その上で、テクノロジーやデータ、メディアを最大限活用した企画を立てていきたいです。

博報堂DYデジタル>コーポレートサイト

現在、博報堂DYデジタルでは、積極的に人材の採用を行っています。詳細はこちら

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この記事の著者

東城 ノエル(トウジョウ ノエル)

フリーランスエディター・ライター
出版社での雑誌編集を経て、大手化粧品メーカーで編集ライター&ECサイト立ち上げなどを経験して独立。現在は、Webや雑誌を中心に執筆中。美容、旅行、アート、女性の働き方、子育て関連も守備範囲。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2016/09/20 18:23 https://markezine.jp/article/detail/24989