普及するSMB向けテクノロジー

このような動きを後押ししているのが、自動入札ツールをはじめとするテクノロジーの台頭である。比較的低コストでシンプルな機能のツールが、広告主が満足する運用クオリティを担保しつつも、大幅な業務効率を実現。結果、広告代理店も一定の収益が残せるようになるので、SMB領域での活用が広がっている、
主なサービスとしては、自動入札ツールではADFUNEやTHREeがこの領域で導入を広げている。名古屋に本拠地を置くカルテットグループが提供する、検索連動型広告運用総合支援ツールのLisketなども、ユーザー数が15,000を突破するなどの実績を作っている。
また、先述のソウルドアウトの子会社テクロコは、クラウドソーシングによる検索連動型広告運用サービスの提供を開始。優秀な運用担当者のノウハウやサポートをクラウドソーシングで広告主が手軽に利用できるという、ユニークな運用業務支援環境を広告主向けに提供している。
無論、媒体側もSMB領域での需要の掘り起こしに取り組んでいる。ヤフーは今年7月、いわゆる小額予算のオンライン広告主向けに、簡単な操作で広告作成や入稿・運用までを自動サポートする「らくアド」というサービスの提供を開始している(プレスリリース)。
同社のリリースによれば、このサービスの思想もまた、特に中小企業の広告主の課題である、広告運用と管理の負担を軽減し、インターネット広告の導入障壁を解消することを目的としていると述べている。
これらの動向からテクノロジーが、これまで業界の支援の手が薄かったSMB領域に埋もれている検索連動型広告の潜在需要を、これから掘り起こすのではないかと予想できる。
検索連動型広告領域は、課題先進市場
ネット広告市場でいち早く成長を遂げ、そして市場環境の変化により成熟化が進んだ検索連動型広告だが、その内側ではプロダクトサイドの改善や、需要を喚起する新しいテクノロジーの普及など、様々な動きとともに発展を続けている。
検索連動型広告領域は、市場の成長痛をテクノロジーが解決し、そして新しいフェーズの創出の繰り返しを、他の市場に先んじてきて行ってきた、課題先進市場であるとも言える。
SMB領域での検索連動型広告の活用という、さらなる需要を掘り起こすために行われてきた取り組みは、今後需要発掘フェーズに差し掛かかるであろう、他の広告商品やデジタルマーケティング関連サービスにとってのお手本となるのではないだろうか。
