日本におけるミレニアル世代のポテンシャルとは?
「日本のミレニアル世代」のポテンシャルはどのようなものだろう。少子高齢化といわれながらも、日本における人口は「総人口の21%」にあたり、アメリカと比較すると少ないものの、全体の5分の1を占めており、無視できない数であることは間違いない。
さらに国勢調査のデータでは、1カ月に個人で自由に使える金額はミレニアル世代が全世代トップクラスとなっており、1位の60〜64歳についで2位。月額でいうと約4万円にのぼる。
他の世代と比べ所得は低いが、自分の意思決定次第で好きなものを買える金額は多いというわけだ。なお、利用の内訳は、食品・交通費・衣類がトップ3を占め、次に多いものがゲーム代であることも特徴的といえる。
そして、マーケターにとって無視できない「デジタルネイティブ」である点においても、他の世代との明確な差異が見える。まず、スマートフォンの保有率は他の世代と比較しても最も多く、接触時間も圧倒的に多い。さらにSNS利用者人数も最も多く、発信力がある。また、日本人口におけるミレニアル世代のボリュームとスマートフォンの普及率×年代別人口で試算するとミレニアル世代が最も多く、デジタル施策を行うなら、ミレニアル世代をおさえることが重要なのだ。
こうしたデータを踏まえ、幸村氏は「マーケターにとっては無視できないどころか、少なくともデジタル上においては“量でも質でも”価値あるターゲットだといえます」と力説する。
ミレニアル世代をへのマーケティング、4つの注意点
ミレニアル世代に対して、具体的にどのようなマーケティング手法をとるべきか。いくつか課題があるという。第2の課題は、従来のマス広告中心のマーケティングが効きにくいということ。マス広告が効かなくなったと指摘は多いが、ミレニアル世代のマスメディア接触時間は、接触の多い世代の半分程度だ。
マスメディアの代わりに接触しているものが、スマートフォン経由でのデジタルメディアだ。この変化を背景に、第2の課題である個人による興味関心の多様化が発生している。たとえば、ミレニアル世代の女性が最も使うとされるトップ3のサービスでも、重複ユーザーは23万人にとどまる。どこかのサービス、どこかのメディアに出しておけば皆が見てくれる、とはいかないわけだ。
幸村氏は、このミレニアル世代を対象としたマーケティングで意識すべきポイントを4つ挙げている。
- 飽きっぽい:デジタルネイティブの特徴として、待たずに今すぐに手に入れたいという欲求が強い。
- 押し売りを好まない:広告よりも、SNS等によって発信される第三者による評価を重視する傾向がある。
- 購入したがらない・持ちたがらない:ブランド品や高額品などステータスを得るための消費には関心が薄く、所有欲も低い。
- モノよりコト:体験型の消費(旅行、コンサート、パーティーなど)を好み、その経験・体験をソーシャルで友人と共有することに喜びを感じる。
この特徴から幸村氏は「既存のメディアは通用せず、かといって接触するデジタルメディアは分散している。さらには、性格的に飽きっぽいし、押し売りをきらうし、なかなか買わないし、コトじゃないと動かないという消費者として非常に難易度の高い、これまでとまったく異なる消費者像が浮かんでくる」と分析する。
それでは、マーケターはどう対応したらいいのか。幸村氏は、次の4点を注意点として挙げる。
- 常時接続しているスマートフォンベースであること:いつも肌身離さないスマートフォン経由でアプローチすることは必須。
- 一定ボリュームが集まるところで施策を行う:効率性を高めるため、なるべくミレニアル世代が集まるところで施策を行う。
- 企画はシェアしたくなるようなイベント感をもたせる:シェアしてもらえる企画をたてることができれば、拡散によって効果が高まる可能性がある。
- 関係構築に努めること:単純な押し売りは嫌がられるので関係構築を意識する。たとえばデータをためて、継続的に相手の動向を見ながらアプローチするといった仕組みをもてることが望ましい。