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デジタルマーケティングを成功に導くWebコンテンツ管理(AD)

顧客を個客に~最適な顧客体験を描くために必要な「コンテクストマーケティング」とは

 1人のユーザー情報が、同じ会社の事業部ごとで別々に管理されているケースをよく耳にする。各事業間の情報が連携せず、分断してデータを管理しているからだ。その状況に疑問を投げかけ、事業の垣根を越えて横断的にユーザー情報を一元管理できるプラットフォームを提供するのが、グローバルで展開するサイトコアである。今回はマーケティンググループの2名のキーパーソンに、プラットフォームのあり方について話を聞いた。

課題はユーザーデータの一元管理

 クレジットカードのグレードを上げたにもかかわらず、相変わらずWebではグレードアップをプッシュする広告が出続けたら、みなさんはどう思うだろうか? 新車を買った翌日以降、いつまで経っても相変わらず新車訴求のディスプレイ広告が出現したら、いかがだろう? ほとんどの人は、ブランドやメーカーに対し不信感を抱き、気分が良いとはいえないのではないだろうか。

 こうしたチグハグな現象が起きるのは、同じ企業内で1人のユーザーを1人のユーザーとして認識できていないからである。同じ社内でも、各事業部、各ブランドが独自のデータベースでユーザーを管理し、事業部間で情報連携をしていないことで、あたかも別のユーザー情報のように管理されてしまう。ユーザーからすれば、「同じ会社から、何度も情報が来る」と感じてしまう。

 これらを解消する考え方に、「コンテクストマーケティング」がある。デンマークに本社を置く、Web CMSというソリューションを中心にグローバル展開を行うサイトコアが提唱している考え方でもある。

(左)サイトコア株式会社 マーケティング グループ アジア地域担当本部長 安部知雄氏
(右)サイトコア株式会社 マーケティング グループ フィールドマーケティングマネージャー 堀内章代氏

 「私たちは2001年の創業以来、貫いている考えが“コンテンツ重視”です。お客様一人ひとりの琴線に触れることがもっとも大切で、ユーザーのその時々の状況に合ったコンテンツを提供することが、ビジネス最適化の必然の流れだと考えており、それがコンテクストマーケティングです。その中枢にCMSを据えて、時代のニーズを捉えながら自社開発を繰り返し、提供すべきプラットフォームを絶えず改善しています」(安部氏)

企業の課題は、上質で快適な顧客体験を提供できるようになること

 CMSと聞くと、コンテンツ管理システムを思い浮かべる読者がほとんどだろう。しかしサイトコアが提供し、ここで便宜上呼ぶCMSとは、DMPツールに近いデジタルマーケティングプラットフォームを想像すると誤解がない。つまり、コンテクストマーケティングを実現するためのプラットフォーム開発というわけだ。

 このようなプラットフォームへのニーズが日本国内で高まりを見せている。なぜなら現代の消費者は、企業の姿勢やあり方にますます敏感になっているからだ。企業色や製品色の濃い情報、広告一辺倒なクリエイティブが敬遠されるからこそ、ユーザーの状況にあわせて、適切にコンテンツを出し分けることは必須の課題である。

 ユーザーはより上質で、快適な顧客体験を求めている。一方で、企業側がユーザーの期待に応えられているかというと、疑問符がつく。

 「2016年に、アメリカのITソリューションを手がけるアバナード社とサイトコアでグローバルの共同調査を実施したところ、今後1年で投資したい領域の第1位がカスタマー・エクスペリエンス(68%)でした。さまざまな企業が顧客体験の重要性に気づきはじめて、今後のビジネス課題は、きちんとした顧客体験が可能なシステムやプラットフォームを社内に完備することです」(安部氏)

サイトコアとアバナード社が2016年、世界の意思決定者880人を対象に行った共同調査の結果より

コンテクストマーケティングのポイントや活用事例の
資料ダウンロード

 今回記事にてサイトコアが解説した、「コンテクストマーケティング」に関する資料を現在配布しています。コンテクストマーケティングの基本的な考え方から活用法などを、米ミズノやロレアルといった企業事例を交え紹介します。詳細はこちらから

購入後のアクションやパフォーマンスにも配慮しよう

 ここまでで見えてくるのは、社内に散在したユーザー情報が横断的に共有されて、一元管理できるプラットフォームが導入できていないことの悲劇ではないだろうか?

 「お客様を獲得するまでは必死に取り組みながら、獲得できた時点でお客様へのケアが止まっている企業が多いと私たちは感じています。カスタマージャーニーという言葉がかなり浸透してきましたが、商品を初めて知ってからコンバージョンに到達するまでだけではなく、購入後のアクションやリピートする過程までも含めたカスタマージャーニーを考えることが、コンテクストマーケティングの実現には不可欠です」(安部氏)

 そこで、サイトコアではコンテクストマーケティングに重要な観点を3つ挙げている。「コンテンツの管理」「コンテクストのインテリジェンス」「コミュニケーションのデザインと自動化」である。

 「いわゆるコンテンツマーケティングで目にするのは、大量のコンテンツを作り置きした状態です。結局、ユーザーが自分で情報を探さないといけない。レコメンド機能があっても、メーカーの論理に乗っかった押し売りのような状態だったりします。こうした状態では、いつまでも欲しい情報にたどりつけない。やがて企業からユーザーが離れてしまう。私たちが考える3つの観点に共通して底流するのがコンテクスト。一人ひとりの文脈にかなった状態を提供することです」(安部氏)

 一元管理した情報を通じて、一人ひとりの把握が可能だからこそ、そこから複数のモデルパターンを見出すこともできる。それらのパターンに最適化したコンテンツを作っておき、各パターンに適合するユーザーにコンテンツを自動で出し分けていく。それらを可能にするのが、サイトコアのプラットフォームであり、効率的でありながら、それぞれのユーザーに寄り添うスタンスを保つことができる。

顧客のライフステージにあわせて、コンテンツを出し分ける

 それでは、サイトコアのWeb CMSを導入して、劇的にビジネスが改善した事例を紹介する。オランダやベルギーなどを中心にしたベネルクス企業であり、グローバルに展開するダノングループ傘下のNutricia(ニュートリシア)は、乳幼児の栄養食品を取り扱う世界的メーカーである。

 一言で乳幼児といっても、たとえば1歳未満の乳児と1歳以上の幼児では、大きな違いがある。Nutriciaは、顧客を「妊娠活動中」「妊婦」「乳児(1歳未満)」「幼児(1〜2歳)」の4つのステージに分類。各ステージのユーザーをリアルタイムで判別しながら、コンテンツの出し分けを行い、見事に右肩上がりの成長軌道へと乗せ、現在も堅調に売り上げを伸ばしている。

NutriciaのWebサイト、トップページより
NutriciaのWebサイト、トップページより

 まさしく、顧客の立場にあわせてコンテンツを用意し、発信できるというコンテクストマーケティングを具現化できる、サイトコアのプラットフォームが最も得意とするところである。

 「Nutriciaは、2013年に事業統合するまで、各国単位で独自のCMSを使い、同社内のブランドごとでユーザーなどの各種情報をバラバラに管理していました。4つのステージごとに製品ブランドも分かれていましたが、各情報が横断的に情報共有されていないため、乳児のステージにいるユーザーに相変わらず妊婦ステージの情報を訴求しつづけるような事態が起きていました。

 サイトコアのプラットフォームを導入したことで、これらの情報が統合。一人のユーザー情報がつなぎ込まれ、適切な状態に改善しながら、その人にあった情報が提供されるように生まれ変わりました」(堀内氏)

 Nutriciaでは、月日とともにステージが変わるカスタマージャーニーを「マザージャーニー」と呼ぶようにして、母親(顧客)のステージと連携したコンテンツの提供を実現した。

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月次平均成長率75%、月次平均購入リピート率140%を達成

 Nutriciaの場合、月日の経過で顧客である母親のステージが自然と変わっていく。それらにも最初の訪問時より、顧客情報を登録していない匿名の段階から追跡するようにしている。

 「匿名の状態でも、のステージを一度選んでおけば、次回のサイト訪問時からリアルタイムで識別できるようになっています。もちろん、その後顧客情報が登録されれば、匿名時分の情報とデータ同士でつなぎ込まれます」(堀内氏)

 また、データの統合や社内の事業間を横断して管理できていることを土台に、そのノウハウをオムニチャネル展開にも応用している。たとえば、Nutriciaは自動販売機も用意しており、オフライン時のデータも追跡、統合を可能にした。つまり、母親の購買履歴データが管理されているので、母親のIDを使って自販機にログインすれば、普段何を購入しているかがわからない父親でも、簡単に購入できる。

 「Nutriciaの成果が顕著で、サイトコア導入前後で比べると、月次平均成長率が75%、月次平均購入リピート率が140%の増加を記録しています」(堀内氏)

提供したいのは、個客に最適化したプラットフォーム

 サイトコアのプラットフォームは、ただのCMSではなく、DMPツールに近いと先で触れた。ただし、一線を画しているのは「コンテクストマーケティング」という、文脈を意識しながら、一人ひとりのユーザー、顧客を個客と見てコンテンツを配信しているからだ。単なる効率性、自動化を優先していない。

 「いわゆる狭義のCMSに絞った機能でも、たとえば、ユーザーの視聴環境にあわせて、デバイスごとに最適なコンテンツを自動提供する、多言語に自動翻訳するといった機能もあります。細かなニュアンスチェックに専念するだけで、簡単にグローバル対応のサイトが完成します。同じクリエイティブで素早く各国向けにサイトが用意できると、グローバル展開をしている企業を中心に高い評価を得ています」(安部氏)

 一元管理による恩恵にあやかりたいという企業の中には、すでに導入しているプラットフォームやシステムとの併用を希望するところも少なくない。

 「サイトコアは、システム全体をすべて変えるような使い方ではなく、必要としたい機能にあわせて導入する使い方にも対応します。消費者主導のマーケティングが強く求められる時代だからこそ、私たちはコンテクストに重きを置いたプラットフォームの強みを発揮したいのです」(堀内氏)

 「一人ひとりのユーザーに寄り添うという考え方のもとで、日頃使っているツールで実践してほしい。サイトコアがそのツールの選択肢となり、みなさんのビジネス活動のサポーターになれればと考えています」(安部氏)

 的確にコンテクストに基づければ、新規顧客の獲得と、既存顧客のロイヤルカスタマー化の両方にリーチできる。デジタルにとらわれず、広くマーケティングプランを立てやすくするのが、サイトコアのプラットフォームだといえそうだ。

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この記事の著者

遠藤 義浩(エンドウ ヨシヒロ)

 フリーランスの編集者/ライター。奈良県生まれ、東京都在住。雑誌『Web Designing』(マイナビ出版)の常駐編集者などを経てフリーに。Web、デジタルマーケティング分野の媒体での編集/執筆、オウンドメディアのコンテンツ制作などに携わる。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2016/11/11 08:00 https://markezine.jp/article/detail/25485