新たな可能性を切り開いたInstagramの台頭
UGCをマーケティングに活用する動きが活発化しているもう一つの理由として、Instagramに代表されるビジュアル中心のSNSの利用者が急激に増えていることが挙げられます。世界中で毎日投稿される膨大なUGCの中に、生活者の購買意欲を喚起する優れたコンテンツが数多く存在することに、企業が注目し始めているのです。
日本国内のInstagramのユーザー数は、2016年10月末時点で1200万人に達しており、直近6カ月で約300万人も増加しています。利用者の拡大に伴い、日々、膨大な量の写真や動画がインターネット上に投稿され、その中には広告のクリエイティブに使える水準の写真も数多く存在します。
Instagramは、コンテンツを軸にユーザー同士がつながっているのが特徴です。ユーザーは、「誰と繋がるか」よりも「どのコンテンツをフォローするか」を重視する傾向にあります。そのため、「1枚の写真で、自分の想いをいかに上手く表現するか」に知恵を絞り、1回の投稿のために数百枚の写真を撮影することも珍しくありません。こうしたプラットフォームの特性上、Instagramに投稿される写真のクオリティーは総じて高く、ビジネスへの活用の可能性も秘めているのです。
企業にとって、オンライン広告のクリエイティブに使用するビジュアル・コンテンツを安価に、大量に確保することは難しい課題の一つですが、その課題を解決する方法の一つがInstagram上のコンテンツの活用というわけです。Instagramユーザーの多くは、投稿した写真が広く注目を集めることを目指しているため、広告への使用許可をきちんとお願いすれば、企業の広告のクリエイティブに使用されることを好意的に受け止める傾向もあります。こうしたことも、企業のUGC活用を後押ししているようです。
検索対策の次はUGC対策
これまで説明してきたように、生活者がクチコミによって商品購入の是非を判断するようになる中で(下図参照)、近年どんどんUGCへのアテンションが増加し、従来型の広告や検索エンジンへのアテンションは相対的に減ってきています。さらに、アドブロック機能や広告配信最適化技術の発達などもあり、企業が一方的に発信する従来型の広告の反応率は、総じて低下傾向にあることも事実です。これは、企業のマーケティング活動を根本から変えるトレンドの変化ではないでしょうか。

オンライン・マーケティングに取り組む企業の多くは、SEOやリスティング広告といった検索エンジン対策に取り組んでいると思います。こうした取り組みが今後も重要であることは間違いありませんが、今後は、UGCを活用して生活者に商品を認知させたり、通販サイトに誘導して注文につなげたりする「UGC対策」も求められるのではないでしょうか。そのための具体的な方法の一つは、FacebookやInstagramといったSNSを活用するマーケティグです。そして、それらのSNSのフィード広告を中心に、広告のクリエイティブにUGCを活用する取り組みが求められているのです。
次回は、UGCを広告に活用するメリットや、UGCを広告クリエイティブに活用している企業の成功事例など、より実践的な内容に踏み込んでUGCの可能性を解説します。