データから新たな価値を作り出し、人の心を揺さぶる
MZ:今、世の中にモノが溢れてコモディティ化しているので、改めて自社やブランドが提供できる価値を見直す企業は少なくないと思います。その動きとリンクしそうですね。新しい価値だったり、今まであったものを伝え直す装置としてデータテイメントが役に立つ。
原:そうですね。先に挙げたコーヒーメーカーやイルミネーションもそうですし、たとえばドライヤーに何らかのデータがあれば、乾けば何でもいいという人たちに対して、単純に髪の毛が乾くだけじゃなくてさ、みたいなことが言えるかもしれない。僕らはそれを探してスゴいモノ作りをしていくことが、すごく面白いんじゃないか、と思っています。
佐々木:これまでのデータ系のクリエイティブ領域は、データからアウトプットへ変換する部分を主に指していたと思うのですが、それに加えて、入力のところで誰も気付いてないけど価値がありそうなデータを見つけ、そのデータをどうやって取得するか、その行為自体もユーザーにとって、新しい体験や認識のアップデートになるかを考えるところまでクリエイティブの領域として捉えていくと面白いと思います。
MZ:すると、どんなデータを探せばいいのかも気になってきます。皆さんはどんなデータが使えて、楽しいものになりそうだと感じていますか?
馬場:さっき原さんが言っていたピザトラッキングの2017年版みたいなものは見てみたいですけどね。たとえば宅配便とか。企業側では追跡ができていて工程を把握し開示してるつもりだけど、利用者は事情を汲むことができないから、無慈悲に“おっせえなー”と思っちゃう、そんな課題を持っている企業には可能性がたくさんあります。
他にも、こういう使い方があるんじゃないかっていうデータが、企業にはたくさんあると思います。僕らはデザインだけでなくテクノロジーも知っているので、企業のどこかに眠っている「これ使ってないな」というデータや、求めたいデータを楽しくリアルに提供してもらう手段をうまく組み合わせて、どんな新しい価値が提供できるか、どんな表現手段がいいんだろうかとか考えることができます。
原:技術的に可能だからデジタル化したものってあると思うんですよ。ネットに送信できるボタンや機能をつけたものの、さてどうしよう、みたいなもの。そういうものを束ねると、面白いことができるんじゃないか。僕らとマーケターや開発者が掛け合わさって化学反応が起きるのは間違いないと思います。
佐々木:僕らも、より多くのリアルなデータを活用する道が開けて、そこにデザインとテクノロジーが掛け合わさることで、デジタルの場でもリアルの場でも、もっとすごい楽しいことがいろいろとできるんじゃないかとワクワクしているところです。
「データテイメント」におけるデータの立ち位置は、従来のクリエイティブにおけるデータのそれとは少し異なりそうです。では、具体的にどのようなアウトプットが生まれているのでしょうか?
来月から3回に渡って、事例をベースに企画の背景や、利用したデータ・技術について深掘ってご紹介したいと思います。お楽しみに!