How to動画の発明とこれから目指すもの
菅野:How to動画の中だと、特に人気が高いものに傾向はありますか?
森川:見た目がどうしても大事ですね。「やる前とやった後でこんなに変わっている」ということが非常に重要です。それから、誰でもできるということ。「How to動画だけど、こんなこと普通はできません」というものは意味がありませんので、「こんなに簡単にできる」が重要だと思います。
たとえばファッションでいわゆるハイブランドのコーディネートの紹介をしても、欲しいとは思われても、行動には移されないんです。それよりは、「しまむらのアイテムを使ってこんなおしゃれになります」というほうが、数字は上がるんですよね。いかに一般の方の目線で、かつそれがリッチに見えるのか、というのが重要なんです。

菅野:個人的には、去年の朝ドラで暮しの手帖の創業者がモデルになった『とと姉ちゃん』を見ていて、これは女性のためのHow toの原点だと思ったんですよね。それが今、C CHANNELでは簡単な動画で見ることができる。女性ユーザーに対して提供している価値は似ているのかなと。
森川:そうですね。今投稿も強化しているのですが、そのような動きは世界中にあるじゃないですか。みんなに投稿してシェアしてもらいたい。人の知恵をシェアするというのが、元々検索の概念としてあるんですよね。
Q&Aの形もNAVERが最初に始めたんですよ。僕がNAVERの初期にいた頃に『知識plus』というのをやっていたのですが、それを色々な企業などが真似しはじめて(笑)。C CHANNELはいわゆるキュレーションメディアではなく、個人の知恵を動画で蓄積できるメディアとして、価値を高めたいと考えています。
菅野:オリジナルコンテンツでアーカイブ性にこだわっているのも、そのような理由からなのですね。動画の百科事典とでも言うべきでしょうか。機能的な価値を提供しているところが、今のネットビジネスでのストック型の価値に繋がっていくということですね。
10年で世界的なメディアグループへ
菅野:既存メディアとの連携は進んでいますか?
森川:そうですね、たとえばTBSさんと連携し、ドラマの広告主のコンテンツをC CHANNELでも一緒にやったりしています。
菅野:テレビ局とはどこまで深い連携ができると思いますか? テレビ局にはテレビ局の大きなビジネスがあり、携わる立場によってはスマートフォンに視聴者がいってしまうということについて危機感もあると思います。協力できるポイントはどんなところにあるんでしょう?
森川:テレビは100%の人にはリーチできません。特に若い人のリーチがどんどん減っていくということで困っているので、そのような点では一緒に組んでいきたいと言われることが多いです。作り手側としても、スマートフォンで動画を見ることがどんどん一般的になっているので、両方で連携してコンテンツを作りたいという話は結構いただいています。僕は元々テレビ局出身で話がわかっていますし、よく相談をうけます。狭い業界でみんな悩みは一緒なので、一緒に解決しようという動きにもなりそうな気がしています。

菅野:そうした連携は、すぐに当たり前になるとみていますか?
森川:そうですね。単純に昨年2016年とそれ以前を比べると急激に変わっていますので、2017年はおそらくもっと速いスピードになるのかなと。早ければ1年で変わるような気がしますね。遅くとも3年以内には、ダイナミックに変わるような気がします。
菅野:創業当初からおっしゃっている、10年で世界的なメディア企業になるというお話も見えてきますね。
森川:おそらく既存メディアからデジタルメディアへの移行はさらに進むと考えられるので、既存のマスメディアと連携しながら新しいデジタルメディアの価値を作っていきたいと考えています。