UGCを使った広告で顧客獲得単価は23%改善
村岡: UGCを活用したバナーは、他にどのようなものがありますか?
原:たとえば、野菜ジュースが入ったグラスを商品が囲んでいるものや、グラスと商品が並んでいるUGCなどをユーザーの許諾のもとに選び、バナーを作成しました。UGCでバナーを作る際は、商品ロゴが後ろを向いている写真など、オフライン広告の宣材写真ではあり得ないようなクリエイティブも積極的に活用しました。

村岡:具体的な成果が気になるところです。いかがだったのでしょう?
原:UGCを使ったバナーの顧客獲得単価は、通常のバナーと比べて23.1%改善することができました。また、広告遷移後のランディングページ上での成約率は1.62倍に向上しました。
村岡:高い成果が出た理由はどこにあるとお考えですか?
原:UGCを使ったバナーはSNS上のタイムラインになじみやすく、ユーザーに違和感なく受け入れられることが、高い成果につながっているのだと思います。よく言われていることですが、SNSのタイムラインはユーザーにとってプライベートな空間であり、流れてくる企業広告は煩わしい存在であることを認識する必要があります。広告を出稿する際は、ユーザー目線を最も重視するということですね。
UGCの活用でクリエイティブの幅が広がった
村岡:UGCの活用で、クリエイティブの制作コストなどの面でもメリットはあったのでしょうか。
原:そうですね、広告の制作コストも安くなりましたし、なによりクリエイティブ制作の幅が広がりました。今回効果の高かったUGCの写真構成なんて、私たちには到底思いつきませんから。ユーザー目線のクリエイティブを作るなら、やはりUGCが有効なのだと思います。そして、どんどんPDCAを回すことで、クリエイティブの勝ちパターンも見えてくるでしょう。
ユーザーの自発的な投稿を活用する取り組みも
村岡:今後、UGCを活用した施策としてはどのようなものを計画していますか。
原:現在は主にリターゲティング広告においてUGCを活用しているのですが、今後は新規顧客獲得のための広告クリエイティブにも活用していきたいですね。また、YDNやGDNといった他のメディアのクリエイティブへの活用や、ランディングページへの応用なども試してみたいです。
村岡:Facebook以外のメディアにもUGCを活用するには、媒体に合ったUGCを集められるかが課題になりそうです。モニターを募集してUGCを集めたり、Instagramなどにユーザーが自発的に投稿したコンテンツについて、ユーザーから使用許諾をとって広告に使ったり、といった手段も有効になりそうですね。
原:そういうこともできるんですか?
村岡:はい。たとえば、投稿されたコンテンツのコメント上で企業から直接コンタクトをとって、許諾を得る手法があります。米国では活発に行われており、日本でも少しずつ増えてきています。
原:広告を介して、ユーザーとの新しいコミュニケーションが生まれそうですね。
村岡:そうですね。私はUGCが浸透すれば、これまでクリエイティブ制作にもシフトチェンジが起きるのではないかと予想しています。つまり、クリエイティブの制作に費やしていたコストと時間の一部が、ユーザーを巻き込んだ良質なコンテンツづくりに費やれるようになるわけです。
企業がUGCの生まれやすい環境を整えることで、クリエイティブに活用できる良質なUGCを増やしていければ、新しいマーケティングの可能性が出てくるのではないでしょうか。
原:生活者とどのようにコミュニケーションをとっていくのか、当社も次のステージとして考えていきたいと思います。
村岡:ぜひ、新しいコミュニケーションやマーケティングのかたちを体現していただけたらと思います。本日はありがとうございました。