クロスチャネルで顧客接点を増やすべき
第2部に登壇したデジタルを主な領域としている印象の強いMAツールベンダーたちも、デジタルとアナログを分断するのではなくクロスチャネルでマーケティングを進めることの重要性を語る。一色氏も言及した「Marketo」を提供するマルケトの小関氏は、デジタルもアナログも顧客との接点の一つに過ぎないと語る。
「マーケティングプラットフォームの全体像をイメージする際に、常に中心にいるのは顧客です。初めに様々なデータを通じて顧客を知ることからスタートするのですが、その際にマーケティング上最も重要なのは、訴求したい自社の製品などに対して顧客がどのような気持ちを抱いているかです。
このようなデータを貯めるための接点としては、アナログで名刺交換をしているかもしれないし、デジタルで資料請求を受け付けたのかもしれない。アウトプットとしてもアナログなDMやFAX、営業かもしれませんし、デジタルではメールやアプリかもしれません。デジタルもアナログもあくまでも顧客との接点の一つにすぎず、実際に顧客がそうあることを望んでいると思います」(小関氏)
デジタルとアナログを組み合わせた、いわゆるクロスチャネルについて、オラクルの中嶋氏は実例を挙げて推奨する。
「BtoCにおいてMAは、オラクルの製品でも『Oracle Cross Channel Orchestration』と名付けているように、クロスチャネルのキャンペーンマネジメントを実施するツールという位置づけです。クロスチャネルは一番の課題であり成功のポイントでもあるので、そのように呼ばれているのだと思います。当社としては、デジタル、アナログ関係なく複数のチャネルで適切なタイミングで適切なコミュニケーションしましょうと、一貫してお伝えしています。
クロスチャネルの効果を立証する例として、BtoB向けのMA製品である『Oracle Marketing Automation』を活用した事例も数多くあり、たとえば米国の金融サービスにおける休眠顧客の復旧キャンペーンの場合、メール、SMS、ダイレクトメールを組み合わせることで、反応率が約2.1倍になりました」(中嶋氏)
ブレインパッドの東氏は、クロスチャネルでマーケティングを行う上での、MAツールの活用法を語った。
「MAの役割は、お客様をいかに効率的かつ効果的に売り場にお連れするかだと思っています。お連れするための方法にメール、プッシュ通知、LINEといったデジタルや、電話、DM、チラシといったアナログという区別はもはや必要ありません。デジタル、アナログ関係なく顧客接点を増やしていく方が効果が高いのは明らかなので、あとは“このお客様には、このチャネルとこのチャネルを組み合わせて接点を作るのが最適だ”という解を、トライアンドエラーで見つけていけば良いのです。その際の作業負荷を減らすためにも、MAツールを活用していただければと思います」(東氏)