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MarkeZine Day 2025 Retail

成果につなげるアプリ運用

「なんとなく運用」はもう終わり!自社アプリのゴール、正しく設定できていますか?

販売チャネルとしてアプリを機能させるには

 2つ目の「セールス」アプリ内での売り上げ増加をアプリのゴールと位置づけた場合、Webサイトや店舗など他の販売チャネルと同様、アプリ単体で収益を上げるためにユーザー数やコンバージョン率の増加、商材の最適化などを行うことが重要です。

 たとえば小売企業のアプリの場合、アプリのゴールである売上を構成する要素は以下のようになります。

実店舗を持つ小売企業のアプリで「売上」がゴールの場合のKPIツリー

KPIと施策の例

 売上をアプリのゴールとした場合、売上を構成する要素はアクティブユーザーの数(DAU、MAU等)と1ユーザーあたりの平均単価(ARPU)に分解できます。小売企業のアプリであれば、ARPUは商品を購入するユーザー1人あたりの平均購入単価(ARPPU)に購入するユーザーの割合(Paid User Rate)をかけたものになります。

 ARPPUを構成する要素は商品の単価、1回あたり購入数、購入頻度であり、ユーザーあたりの売上を伸ばすためにはこれらの指標をプッシュ通知やアプリ内メッセージなどによって高める必要があります。

 アプリからの売上を増やすためにアプリならではの機能を提供している例としては、米ドミノ・ピザが2016年春にリリースした「Zero Click」というアプリがあります。その名の通り「クリック」すらする必要がなく、アプリの初回起動時に注文するピザ、住所、支払方法を登録しておけば2回目以降はスマホからアプリを立ち上げただけでピザが注文できるというものです。

 このように注文プロセスを極限まで省略することで、ユーザーがふとピザが食べたくなったときの迅速なサービス提供を実現しています。

米ドミノ・ピザのアプリ「Zero Click」はアプリを起動するだけで
注文が完了する

CRM目的のアプリ活用でLTVを向上

 顧客が常に持ち歩くスマートフォン。スマホ利用の中心であるアプリはCRMとしても活用することができます。

 CRMの目的は3つ目のゴールである「リテンション」、つまりLTV(顧客生涯価値)の向上です。そして、LTVを向上させる施策として現在注目を集めているのは、DMPなどにより管理されている自社の顧客データベースとアプリのユーザー属性や行動データの連携です。

 なぜなら、アプリ以外にも顧客接点から得られる情報を活用することによって、顧客の興味や関心、特性に基づいた情報、サービスの提供が可能になるからです。

KPIと施策の例

LTVを高めることをゴールとした場合は、顧客のサービス利用期間、サービスの利用頻度、購入単価を上げることが重要です。先ほどのDMPなどを活用し各顧客に最適化した施策を展開するのはもちろん、プッシュ通知やアプリ内メッセージなどを活用してLTV向上に貢献することも必要です。

 たとえばゴルフに特化したEC、予約、メディアなど様々な事業を展開しているゴルフダイジェスト・オンラインでは、自社ECサイトの購買履歴をもとにまだECサイトを利用したことのないユーザーに対してアプリのプッシュ通知でクーポンを送り、既存顧客の単価アップにつなげました。

アプリ内でクーポンを発行し、そのクーポンを1週間以内に利用していないユーザーには
さらに限定クーポンをプッシュ通知で配信。結果、ECサイトの利用者数は2倍になった

 このWebからアプリといった例のように、チャネルを横断した施策によって、顧客の囲い込みやロイヤル化が可能になります。

 初回となる今回は、自社事業のどこを伸ばす役割としてアプリを運用しているのかを明確にする必要性について解説しました。

 次回はアプリの成長において最も重要な指標の一つである継続率の重要性についてご説明し、アプリ運用の現場でよく起きやすい「アプリのリリース直後はDL数の増加が重要」という誤解を解いていきたいと思います。

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この記事の著者

伊藤 直樹(イトウ ナオキ)

 新卒で朝日新聞社に入社し、ニュースサイト「朝日新聞デジタル」のWEBディレクターとしてWEBサイトとアプリの改善に従事。2016年1月にアプリの解析・マーケティングツールを提供するRepro株式会社にジョインし、マーケター兼インサイドセールスとしてアプリマーケティング市場の啓蒙から見込み顧客の獲得まで幅広く行う。...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2017/02/21 09:00 https://markezine.jp/article/detail/26086

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