SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

直近開催のイベントはこちら!

MarkeZine Day 2025 Retail

SNS起点で生まれるマーケティングトレンド

「拡散するニュース」に学ぶ、生活者が“語りたくなる”コンテンツのポイント

生活者は、どんなニュースをシェアしたくなるのか

 実際には、どのようなニュースがエンゲージメントされやすいのでしょうか? 2017年1月の1ヵ月間で調べてみると、特にエンゲージメント数が高かったニュースの一つに、横浜市教育委員会の教育長による「いじめ認定」に関する発言があります。これは、原発事故で横浜市に自主避難してきた生徒が、いじめによって同級生に150万円もの大金を払わされていたにもかかわらず、教育長が「いじめと認定することは難しい」旨の発言をしたというニュースです。

 これに対してSNS上では、教育長の認識について疑問を呈する声が数多く上がり、エンゲージメント数が31.5万エンゲージメントにまで達しました。

 今回のニュースが多くのエンゲージメントにつながった要因は、基本的には、「教育長」の立場にある人物の見解が、あまりに市民感覚とずれていたことによる「失言に対する炎上」だと考えられます。ただし、加えてこの話題が3.11以降、長らく続く「原発いじめ(被災者に対しての科学的根拠のまったくない誹謗中傷やいじめ)」に関連するトピックだったことも注目に値します。

 「原発いじめ」は、今回のニュースに限らず定期的に顕在化している社会問題です。本件のエンゲージメントは、元々生活者が抱えていた事象への「興味」や「不満」、「問題意識」などを刺激し、事象について“何か発言したい”という能動的な行動を強く喚起したことが、大きな要素となっていると考えられます。

議論を呼び、高いエンゲージメントを叩き出した事例

 「いじめ認定」に関する発言のニュースの他には、おもしろ絵本作家ことキングコングの西野亮廣さんがブログで発表した自作の絵本『えんとつ町のプペル』全ページ無料公開のニュースも波紋を呼びました。

 先ほどの、「原発いじめ」のようなニュースとは別次元の内容ですが、2017年1月のなかでは27.9万エンゲージメントと最多クラスのエンゲージメント数です。西野さんは炎上芸人と揶揄されるなど、自身のTwitterやブログを通じて、定期的にWeb上でバッシングを受けるような発言をしています。

 しかし、西野さんの発言がここまでエンゲージメントされるのは、単に炎上芸人としての要素だけでは説明が難しいでしょう。むしろ、議論を呼ぶ「アクの強いオピニオンリーダー」として、発言に注目が集まっているからではないでしょうか。

 今回のブログ記事でも、言葉の良し悪しは別として、「言っていることには一理ある」と思わせるような“これからのクリエイター論”を発信することで、異論、反論、賛同が入り乱れた議論を呼び、非常に高いエンゲージメント数につながったと考えられます。

次のページ
ポイントは、生活者が“語りたい”と思えるかどうか

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
関連リンク
SNS起点で生まれるマーケティングトレンド連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

物延 秀(モノノベシュウ)

スパイスボックス 副社長。2006年スパイスボックス入社。プロデューサーとして大手企業のデジタル・コミュニケーションをワンストップで支援し、2012年以降はソーシャルメディアを中心とした「共感」と「話題」を生むコンテンツのプランニングとプロデュース、自社ソリューション開発を統括。2016年に事業統括責任者および執行役員に就任。2017年より現職。自社サービス:インフルエンサーマーケティング支援「TELLER」、コンテンツマーケティング支援「BRAND SHARE」、ROI分析プラットフォーム「THINK」、自社メディア:「newStory」自著:『新ヒットの方程式』~ソーシャルメディア時代は、「モノ」を売るな「共感」を売れ!~(宝島社)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2017/02/27 09:00 https://markezine.jp/article/detail/26102

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング