「商品の訴求」では、ファンはついてこない
プルデンシャル生命保険のFacebookページは、なぜこれほどの人気があるのか。『日出ずる国の営業』のコンテンツ作りのこだわりについて伺った。

「企業ページを作ろうと思った時、最初から『保険の話題』をするつもりはありませんでした。これは先ほどお話したように、Facebookに限らず、弊社の広報広告でも言えることです。加えて『日出ずる国の営業』は、『日本の営業を元気にしよう!』という大きなテーマがあります。ですから、ターゲットは生命保険業界に限定されません。むしろ、業界外の営業パーソンなのです。
もともと、営業職というのは、人気がない職種ですよね。生保の営業といったらなおさらです。しかし、弊社の営業職であるライフプランナーは、新卒採用を行っておらず、異業界で頑張ってこられた方が『日本の生命保険業界を変えよう』という志をもって転職し、誇りをもって仕事をしています。彼らの仕事ぶりを配信することで、『営業って素晴らしい仕事だよね』『営業っておもしろい仕事なんだ』『営業って、これだけ社会に貢献しているんだ』と思ってもらいたい。毎日、苦しい思いをしている営業職の方々に、その日の朝に記事を見ていただき『今日も一日頑張ろう』という人を増やしていきたい、と思って配信しています。
最初は社員から広がりましたが、そのような(特定の企業や商品の宣伝ではない)『元気が出る』コンテンツが、今や様々な営業パーソン・ビジネスマンにご支持いただいているのではないでしょうか。このページのファンになっていただいて、もし興味を抱いたら、『このライフプランナーに会ってみたい。どこで働いている人なのだろう?』と、読者の方に弊社を探していただきたい。つまり、ご自分で検索をするくらい、最もホットな状況で弊社に辿り着いていただきたいのです」
ターゲットは、働き盛りの20~40代の営業職。記事では主に、同社のライフプランナーの中でトップクラスの役職であるエグゼクティブ・ライフプランナーが登場し、苦しい時にどう乗り越えたかといった、モチベーションやマインドに関するコンテンツが展開されている。こうした「共感」や「実践的なノウハウ」などを配信してファンを形成し、カスタマージャーニーに則した訴求を行っていく戦略だ。
「特に力を入れているのは、『共感』『感動』の要素です。営業をやってきた経験で、商品を成約いただく際は必ず『共感』や『感動』といったストーリーが必要だと感じていました。だから、いわゆる『商品の説明ページ』や『小手先の営業ノウハウ』のようなコンテンツは配信していません」
「営業職のイメージを変える」 副次的な効果も
営業マンたちのストーリーで、確実にファンを築き上げてきたプルデンシャル生命保険の「日出ずる国の営業」。今後はどのような展開を検討しているのだろうか。
「『日出ずる国の営業』を始めたことで、弊社の営業職に対するポジティブなイメージを築くことができてきています。また2016年には、東北大学、青山学院大学、慶應義塾大学、中央大学などで、「営業」をテーマとした寄付講座を開講しました。もちろん、新卒採用を狙ったものではありませんが、これから営業職に配属される方向けに、エグゼクティブ・ライフプランナーが営業の知識やスキルをテーマにした講義を行っており、好評をいただきました。今後はビジネスマン向けの講座などのイベントも検討していきたいと思っています。4万を超えるフォロワーがつく媒体になりましたから、これを活用して色々な面白い仕掛けができると思っています」
直接商品を販売するのではなく、じわじわと潜在意識に訴求し、『共感』『感動』に訴えるマーケティング戦略。一般的に「効果が見えにくい」とされるコンテンツマーケティングにおいて、”時間の奥行き”を意識して訴求をするという戦略は、一つのモデルケースとなりそうだ。
日出ずる国の営業
プルデンシャル生命保険のライフプランナーが、自らのスキルやマインドを共有する公式Facebookページ。「営業パーソンが集い、相互研鑽する場」を目指し、2012年7月に解説し、43,000以上のいいね!を獲得するなど、ファンを広げている。また、過去の記事はブログで閲覧することができる。編著に『アメリカ本国を驚愕させた、プルデンシャル生命の売る力』『アメリカ本国を驚愕させた、プルデンシャル生命の売る力2』(プレジデント社)などがある。
