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企業とライターがWin-Winな市場目指す、クラウドソーシングの「サグーワークス」は他社と何が違う?

2017/03/28 08:00

 オウンドメディアに取り組む企業が急増する一方、記事情報の不正確さや制作姿勢が問題視されるなど、改めてWebコンテンツのつくり方やメディアの在り方についての議論も多い。どうすれば質を担保しながら、ユーザーにとって価値ある記事を制作し続けられるのか。企業のコンテンツマーケティングを支援するウィルゲート専務取締役の吉岡諒氏に、Webマガジン「MarkeZine」編集長の押久保剛が聞いた。

問われるWebコンテンツの品質

押久保:2016年末のキュレーションメディアに端を発したWeb上の記事の質や作成フロー、著作権などについての問題は、各方面に大きな影響を与えました。コンテンツマーケティングの支援事業を展開するウィルゲートさんはどのような印象をお持ちですか。

右:株式会社ウィルゲート 専務取締役 コンテンツマーケティング事業部 最高責任者 吉岡諒氏、左:株式会社翔泳社 MarkeZine編集長 押久保剛
右:株式会社ウィルゲート 専務取締役 コンテンツマーケティング事業部 最高責任者 吉岡諒氏
左:株式会社翔泳社 MarkeZine編集長 押久保剛

吉岡:「起こるべくして起きた」でしょうか。今回問題になったキュレーションメディアでは、クラウドソーシングを利用して安価な報酬で記事を作成し、著作権のチェック等の基本的な品質担保をしっかり行っていませんでした。私は以前から、そのような姿勢に疑問を感じていて、いつか問題化すると懸念していました。

押久保:確かに、記事調達の方法が一因となっている印象があります。クラウドソーシングを利用する上で、何が問題だったとお考えですか?

吉岡:クラウドソーシングを利用する上で大事なことは、依頼する記事のテーマに精通しているクラウドワーカーに書いてもらうこと、そしてクラウドワーカーが作成した記事の品質を担保するためのプロセスを踏むことです。プラットフォーム型のクラウドソーシングサービスでは多くの場合、クラウドワーカーと利用企業が直接やり取りをするので適切なライターを見つけられるかどうかは企業次第となりますし、企業側がしっかりと記事の品質をチェックすることが必要になります。ですから、依頼側である企業に管理・編集スキルがない場合、品質の管理が難しくなるのです。

押久保:仰るとおり、システムだけあっても、優れたコンテンツを制作できるわけではありませんからね。

吉岡:はい。どうしても、その点が抜けがちだと思います。ただ、今回の一件で「記事の品質管理が重要だ」と認識を新たにされた企業様も多く見受けられるので、そういう意味では一つのターニングポイントになったのではないかと思います。

始まりはEC運営、コンテンツの重要さは身にしみている

押久保:御社でもクラウドソーシングサービスを提供していますが……。

吉岡:当社の記事作成特化型クラウドソーシングサービス「サグーワークス」は、ライターにはプラットフォームを利用してもらいますが、利用する企業様には「受託型」という形態をとっています。当社で企業のニーズをしっかりとヒアリングし、記事とマッチングするライターをアサインすることで、コンテンツの品質を担保できるソリューションとしてサービスを提供しているのです。

プラットフォーム型と受託型の違い
プラットフォーム型と受託型の違い

押久保:受託型のクラウドソーシングは管理にも手間がかかり、効率化も大変だと思います。なぜ、サグーワークスを始められたのですか?

吉岡:まず弊社の創業の経緯ついてお話させて下さい。代表の小島と私は小学生からの友人で、高校を卒業した2005年、18歳の時に2人でEC事業を始めました。当時はお金がないので広告費はほとんど捻出できず、自前のSEOだけでマーケティングを行っていたんです。それでも一度だけ、外部のSEO会社に依頼してみたことがあるのですが、成果が出ないことに加えて、誠実な対応をして貰えなかったと感じ、結局自分たちで試行錯誤する道を選びました。

 そうしてノウハウを蓄積していくうちに、次第にSEOの効果の高さと可能性を感じ、「まっとうなSEOソリューションをつくろう」とSEO支援を本業とすることを決めました。後発参入ではありましたが、多くのお客様にご利用いただき、社員数も2008年の10名から2012年には100名を超えるまでになりました。こうした中、2012年以降日本でもGoogleのパンダアップデートが実施され、検索エンジンマーケティングにおけるコンテンツの重要性が高まりました。弊社でもこの変化を強く感じていましたし、お客様からのご要望も急増したことから、記事作成支援の事業化を検討し始めました。

 そこで多くのワーカーの力を借りることができるクラウドソーシングに目を付けました。しかし、資産となり得る良質なコンテンツを提供し、企業に対して適切なコンテンツ支援をするためには、記事の企画から納品物の品質担保までを行わなければなりません。そこで、多くのクラウドワーカーの力を借りながら、ウィルゲートが間に立って品質担保を行う「受託型」のクラウドソーシング「サグーワークス」を2012年12月に立ち上げるに至りました。

押久保:なるほど、身を以て高品質なコンテンツ制作の必要性を実感されていらっしゃるわけですね。

吉岡:はい、良い記事を作成するための試行錯誤や陥りがちな失敗など、一通り経験しています(笑)。

良質な記事はライターのマッチングがカギ

押久保:記事の品質を管理するために、具体的にはどのようなことを行っているのでしょうか?

吉岡:まずはお客様が求めるレベルや分野などに応じたライターの選定から行います。当社には15万人のライターが登録していますが、文章スキルによって、レギュラーライターとプラチナライターに分けられています。プラチナライターは合格率1%のスキルテストに合格した方々で、得意分野や職業、保有資格などの属性情報も登録してもらっています。

 コンテンツのレベルや内容に応じて、社内ディレクターが文章力・属性・実績をもとにライターを選定し、適切な執筆形式で募集が開始される仕組みとなっております。つまり、ライターは好きなこと、得意なことを書くことで報酬を得られ、企業様は「その道に詳しい人が書いた」品質の高い記事を得られるというわけです。さらに専門性の高いコンテンツに関しては、専門家による記事監修もできるようにしています。

押久保:「どんな人が書くか」は重要だと思います。ライティングスキルだけでなく、属性でマッチングしていることがユニークですね。

吉岡:やはり好きなこと、得意なことについての記事を書いたほうがいい原稿になりますからね。そのために、ライターのバックグラウンドも詳しく聞くようにしています。また、記事自体の品質チェックも重要視しています。

 具体的には自社開発した文章チェックシステムでコピーコンテンツの有無を自動的に検出するだけでなく、常駐する約20名の専属チェッカーが目視で校閲作業や一般的な事実確認を全記事に対して行っています。こうしたチェックプロセスをすべてパスするまで記事はクライアントに納品されない仕組みです。当然、このプロセスの中でSEO対応のチェックも行います。

社内外でのチェック体制
社内外でのチェック体制

押久保:メディア事業において校閲や事実確認は必須作業だと思います。ただ、メディア運営の経験がないと、その考えが抜けがちでした。サグーワークスでは、まっとうな編集機能が作用していますね。

吉岡:私たちとしても品質向上は重要なテーマなので、日々精進を重ねています。また、ライターの教育にも力を入れています。たとえば、講師を招いての勉強会などを定期的に実施しています。ですから、プラチナライターの記事ならば、一般的な編集プロダクションにも引けを取らない良質なコンテンツをご提供できると自負しています。

記事の提供からメディア立ち上げまで、実績は1,200社以上

押久保:どのような企業からの依頼が多いのでしょう?

吉岡:コンテンツ制作のノウハウの有無というより、自社でライターを抱えて全てを内製で行うことが難しいという事情によるご相談が多いです。

 規模は多様で、既にオウンドメディアをお持ちの企業様に対して記事を提供する、ゼロの状態からメディア立ち上げのコンサルティングを行うなど、フレキシブルに対応しています。

 例えば、キュービック様は転職総合メディア「HOP!」等、メディア事業を展開する中で多くのライターを自社で抱えられていました。今後2年間で多数の新規メディアを立ち上げていくにあたり、ライターの数が足りないことや、記事の品質や納期管理にまつわる社内のディレクションの工数が大きな負担になっていることを理由にサグーワークスを導入していただきました。その他、ポータルサイトをはじめ多くの大手企業の運営サイトにも記事を提供しています。

 現在ではSEOコンサルティングで延べ2000社、「サグーワークス」で1,200社にご利用いただいています。

効果的なクラウドソーシングの使い方とは?

押久保:受注型のクラウドソーシングとはいえ、企業の依頼方法によって効果も変わってくるかと思います。企業側はどのような依頼をするのが望ましいのでしょうか。

吉岡:企業によって異なりますが、やはり最短で大きな効果が出やすいのは、会社の戦略としてのオウンドメディアの位置づけやコンテンツを通じて伝えたいことが明確で、編集長が社内にいらっしゃるケースですね。

 発注側で記事の方向性が明らかになっているので、そこに従って良質なコンテンツを量産すれば、早く効果が上がります。たとえばオーマイグラス様ではECサイト「Oh My Glasses TOKYO」のオウンドメディアとして「OMG PRESS」を既に立ち上げていて、SEOなども含めてリーチを高めたいというご要望に対してトータルにご支援させていただきました。その際は、目に見えて明らかな効果が得られましたね。

 それから効率性という意味では、業界への深い造詣が必要なコンテンツは営業やマーケティングなど自社内の担当者が作成し、比較的専門的な情報がなくても制作できるコンテンツはサグーワークスのライターが担当するという分業も有効です。

押久保:社内のリソースやコンテンツマーケティングの進捗といった状況に合わせて、フレキシブルにサービスを利用できるのは、企業側には望ましいことですね。

企業とライターが「Win-Win」になる世界に

押久保:今後、コンテンツ制作の現場では、どのような対応が求められていくのでしょうか。また、御社ではどのような取り組みを進めていかれるご予定ですか。

吉岡:シンプルにいえば、企業とライターがともに「Win-Win」になる、そんな業界にしていきたいと考えています。冒頭で、キュレーションメディアで起きた問題の一因として「発注企業側のプラットフォーム型クラウドソーシングの利用方法の誤り」を挙げましたが、もう一つ、Webライターの意識の問題も大きいと考えています。「興味もない分野の記事を安い値段で無理に書く」のでは、ライターのモチベーションが上がるはずがありません。

 依頼側のニーズに意欲的に応える、自分の強みを発揮することで適正な報酬が支払われる。そうした健全な市場をつくるには、双方の適切なマッチングが不可欠です。今後もサグーワークスとしてはデータ蓄積や機械学習を通じてマッチングの精度を上げることでコンテンツの品質が高まり、それがWebライターの社会的地位向上にもつながれば嬉しいです。

押久保:それは頼もしいですね。Webメディアに関わる人間として、コピーのしやすいWebの世界であっても、創作に対するリスペクトはもっとあって然るべきだと感じています。では、企業側からのニーズに対してはどう応えていくお考えでしょうか?

吉岡:はい、企業様のご期待に応えることも今後の大きなテーマです。昨今特に多いご要望として、メディア戦略やコンテンツの全体企画、編集といった上流工程までを担えるエキスパートをアテンドしてほしいと言われることが増えてきました。現在登録しているライターのスキル向上を行いながら、そうした職能を持つ方々のネットワークづくりも図っていきたいと考えています。

押久保:業界や会社の枠を越えて、メディアやコンテンツマーケティングの世界が大きく変化していることを実感します。私たちWebメディアもうかうかしていられませんね(笑)。大変刺激になりました。このたびは、ありがとうございました。

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