直接観戦できない99%の人に経験を届ける
パム氏は、ファンに関するデータを明らかにした後、具体的なマーケティングにおけるアクションを紹介した。パム氏によれば、「私たちのアドバンテージはテクノロジーにある」という。NBAでは10億人が試合を直接、もしくはテレビやスマートフォンなどを通じて観戦している。しかしながら、直接試合をアリーナで観戦できるのは、1%にも満たない。
そこでNBAでは、できる限り多くの人に試合を見てもらえるよう、様々な技術を使い接点を作っている。たとえば、NBAリプレーセンターと呼ばれる映像判定に使用する映像を管理、配信する組織を構築。そして同組織の撮影した動画は、Web上にアーカイブされており、タイムリーな試合のリプレー映像を見ることができる。
さらに放送局の取り扱いがない国の人、もしくはテレビ以外でも試合を観戦したい人向けの動画配信サービス「NBA LEAGUE PASS」も提供している。また、ソーシャルメディアでも積極的に先ほどのリプレーセンターでの映像や様々なコンテンツを展開。中国ではWeiboなどの活用も行っている。
「私たちは多くのNBAのファンに対し、売りたいもの、伝えたいこと、経験させたいことがあります。それをAdobe製品の活用をはじめ、様々な施策を通じてファンとの関係を強固なものにしています。さらにはデータも管理し、適切なメッセージ、人、チャネル、タイミングでのコミュニケーションを提供しています」(パム氏)
NBAは、コートで繰り広げられる試合、またコート外での活動をテクノロジーとデータを駆使して世界中のファンに伝えている。最後にパム氏は「私たちは感情的にファンとつながる方法を探してます。今度は皆さんとNBAのプレーオフ、ファイナルでお会いできたらいいですね」と講演を締めくくった。
良い経験を届けられる人材を雇用
パム氏による講演の後、2日目のKeynoteの進行を務めたジョン メラー氏(John Mellor)が登場し、パム氏に対して2つ質問を投げかけた。1つ目は、「顧客にものではなく、エクスペリエンス(経験)を製品として提供するNBAの人材はどういった基準で選んでいるのか」というものだ。この質問に対し、パム氏は冗談を交えながら答えた。
「世界とコミュニケーションが変化している中で、データを活用できる人材を求めています。Adobeの方でNBAに移りたい方がいればぜひ(笑)。真面目に話すと、社内でも良いエクスペリエンスを提供するのに必要な人材を採用します。アートディレクターやライターはもちろん、データサイエンティストやリサーチャーのようなデータ活用に強い人材も求めています」(パム氏)
そしてジョン氏は、もう1つの質問として「直接試合の見れない99%の人に良いエクスペリエンスを提供するのは大変なことではないですか?」と尋ねた。これに対しパム氏は、「アメリカに住んでいないと直接観戦するのが難しい分、私たちは様々なテクノロジーを活用した製品やサービスを展開しています。これにより、世界中のファンが見たいタイミングでNBAの試合や選手に関するコンテンツ、経験を届けられるようにしているのです」と語った。
